サイエンス

2024.08.14 18:00

研究者を魅了する絶滅した4種の「巨大爬虫類」(恐竜以外)

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人類とも共存? 巨大なカメ「メイオラニア」

メイオラニア(Getty Images)

メイオラニア(Getty Images)

メイオラニア(Meiolania)は、中新世中期(2000万~1000万年前)から数千年前まで存在した先史時代のカメだ。オーストララシア(オーストラリア大陸・ニュージーランド島・ニューギニア島およびその近海諸島を指す地域区分)に生息していた生物で、その大きさと身体的特徴で知られている。

現代のほとんどのカメとは異なり、甲羅は鎧(よろい)のように頑丈で、頭部に角のような突起を持つ種のほか、尾の先端がトゲの付いたこん棒のようになっている種などもいた。これらは、捕食者から身を守るために使われていたと考えられている。この恐ろしい外見は、メイオラニアが陸上で多くの時間を過ごす、重装甲の草食動物だったことを示唆している。

メイオラニアが絶滅した正確な時期については、科学界でも議論の的になっている。最後の氷河期(1万2000年前)に氷河が後退し、海面が上昇したことで、生息地が減少し(この時期、太平洋に浮かぶ多くの島々が海に飲み込まれた)、絶滅に至ったと考える科学者もいる。

しかし、メイオラニアのような巨大カメは、絶滅するまで人類と共存しており、人類による狩猟が絶滅を促した可能性があるという説もある。この説は、バヌアツやフィジーといった島国の墓地で、メイオラニアの骨が人の骨に重なっていたことを示す化石証拠に基づいている。実際、墓地で発見されたメイオラニアの骨には、切り刻まれて食べられた痕跡が残されている。

体長60cmを超える巨大ヤモリ「デルコートオオヤモリ」

デルコートオオヤモリ(Lamiot - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=50312633)

デルコートオオヤモリ(Lamiot - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=50312633)

デルコートオオヤモリ(Gigarcanum delcourti)は、絶滅した巨大ヤモリの一種で、おそらく19世紀半ばまで、ニューカレドニアまたはニュージーランドに生息していた。ヤモリの仲間としては最大で、体長は60cmを超えていた。現存する最大のヤモリであるニューカレドニアのツギオミカドヤモリ(Rhacodactylus leachianus)より50%長く、かなり重かったと推定されている。

興味深いことに、この種は19世紀に採取された剥製標本のみによって知られている(フランスにある博物館の地下室で発見された、ラベルのない剥製標本だった)。この標本の出どころは記録されていない。当初はニュージーランド原産と考えられていたが、古代DNAの解析により、ニューカレドニア原産の可能性が高いと判明した。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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宇宙

2024.05.19 12:00

人類が「タコ型宇宙人」に決して遭遇できない5つの理由

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太陽系外惑星の表面を歩く宇宙飛行士の想像図(Getty Images)

ハリウッド映画では人類に敵対したり脅威を及ぼしたりする悪役として登場することが多いため、海生生物のタコも架空の地球外生命体のタコも、多くの映画ファンを恐怖で震え上がらせてきた。その鋭い目は別として、タコの脳や姿形はどの生物種にも劣らないほど人類とは異なっている。

だが、地球上に人類が誕生する何億年も前に進化したのだから、タコの研究は、知的生命体に至る別経路を解明する試みにおいて本質的に有用なのだ。また、地球人がゆくゆくは地球外文明探査で遭遇する可能性のあるこの種の知的異星人を理解する上でも役立つはずだ。

しかしながら、タコは自身の不利に働く要素を複数持っているため、地球人が将来、タコ型宇宙人に遭遇する確率は極めて低くい。ここでは、その理由を5つ挙げて解説する。

1. 銅を豊富に含む血液を持つ

米ワシントン大学の古生物学者で作家のピーター・ウォードは電話取材に応じ、タコの大きな失敗は銅をベースとする血液を持っていることだと語った。人間の血液のような鉄ベースの血液ほど酸素を保持できないからだと、ウォードは説明する。タコは非常に大きな脳を持っているので、常に酸素欠乏の危機にさらされている。大きな脳を支えるのに十分な量の酸素が得られないため、タコの脳はこれ以上大きくなれないのだという。

なぜタコは、鉄ではなく銅を利用する方向に進んだのだろうか。

鉄も使えたが、生理学的には銅を使う方が有利だと判明したからだと、ウォードは指摘する。これは、鉄の生物利用可能性(どれだけ生物体内に取り込まれやすい形態で存在するかの指標)とは無関係だった可能性があるという。そうではなく、どのようなタンパク質が利用可能だったかと、生理機能がすでにどのように働いていたかに全面的に基づいている可能性があると、ウォードは述べている。
ヒョウモンダコ(Kris Mikael Krister/Unsplash, CC BY)

ヒョウモンダコ(Kris Mikael Krister/Unsplash, CC BY)

今日知られているタコが、約5億年前に巻き貝に似た単純な生物から進化を始めたとは想像もつかないだろう。

だが、ここが問題なのだ。
次ページ > タコは知能を十分に発揮できるほど長生きできない

翻訳=河原稔

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サイエンス

2024.07.08 14:00

絶滅から50年後に「再発見」された大型のムササビと飛べない鳥

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BY MANTELL, GIDEON ALGERNON, 1790-1852, MANTELL, WALTER BALDOCK DURANT 1820-1895 - HTTPS://WWW.BIODIVERSITYLIBRARY.ORG/ITEM/260400#PAGE/11/MODE/1UP, PUBLIC DOMAIN

地球上に900万種の動植物が存在すると推定されている中で、少なくとも1万5000種(おそらくそれよりずっと多く)が絶滅の危機に瀕している。国際自然保護連合(IUCN) によると、同組織が追跡を始めて以来、850以上の動物種が絶滅している。

そのため、絶滅したとされていた種が野生で再発見されることは、歓迎すべき報せだ。そんな例を2つ紹介する。

1. ウーリームササビ(70年間絶滅とされた後、1994年に再発見) 

その印象的な大きさにも関わらず、このムササビは最長30m滑空することができる(RICHARD LYDEKKER via Wikipedia)

その印象的な大きさにも関わらず、このムササビは最長30m滑空することができる(RICHARD LYDEKKER via Wikipedia)

ウーリームササビ(Eupetaurus cinereus)は、パキスタン北部およびインド北西部の山岳地帯を原産とする非常に大きなムササビ類で、体長は最大90cmに達する。

20世紀初めに絶滅したと信じられており、科学者たちは保存されていた1800年代後半のわずかな皮膚と検体をもとに研究した。しかし、1990年代にピーター・ザーラー率いる研究チームが、パキスタンのカシミール地方に同種が生息していることを確認した。

ザーラーがウーリームササビを再発見した経緯は、再発見そのものと同じくらい印象的だ。彼は1992年に、伝統的な捕獲方法を用いてこの失われたを探していた。アーモンド、はちみつ、穀物などのおいしい餌でおびき出そうとしたが、罠をしかけて2カ月間、何も見つからず、ザーラーは帰国した。

1994年に再びパキスタンに渡ったが、同様の結果だった。最後の最後までは。資金と時間がなくなりつつある中、ザーラーの同僚が注目すべき手がかりを見つけた。絶滅したムササビのものと思われる前足が、 崖の上で見つかったのだ。それはおそらくワシミミズクによる食べ残しだと考えられた。

数日後、チームはが別の目的でムササビを探していた現地の2人組の男に出会った。彼らはムササビの尿を集めて現地の市場で売っていた。それが媚薬になると信じられていたためだ。1日もたたないうちに、男たちは1匹の雌のムササビを袋に入れて戻ってきた。ザーラーたちは男たちに謝礼を支払い、謎は解決した。
次ページ > ニュージーランドの飛べない鳥

翻訳=高橋信夫

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