サイエンス

2024.08.14 18:00

研究者を魅了する絶滅した4種の「巨大爬虫類」(恐竜以外)

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チタノボアと人間。3Dイラスト(Getty Images)

私たちが「爬虫類」と呼ぶ動物は、約3億2000年前の石炭紀後期に登場した。現在、約1万2000種の爬虫類が存在する(鳥類は、実は爬虫類の系統に属するのだが、ここではカウントしていない)。

長い年月の間に、多くの爬虫類が現れては消えていった。最も有名なのは、約6500万年前に地球から姿を消した恐竜だ。本記事では、筆者が「クラス最高」として選んだ古代の爬虫類を(恐竜を除いて)4種紹介しよう。

史上最大のヘビ「ティタノボア」

ティタノボア(Getty Images)

ティタノボア(Getty Images)

ティタノボア(Titanoboa)は、コロンビアのあたりに生息していた巨大ヘビで、Natureで発表された2009年の論文で初めて記述された。史上最大のヘビと考えられてきたが、インドで2024年5月に発見された巨大ヘビの化石(推定体長11m~15m)が、この説に疑問を投げかけている。

いずれにせよ、ティタノボアはとてつもなく巨大で、体長は12m、体重は1トンを超えていたようだ。比較のために言っておくと、現存する最大のヘビであるオオアナコンダとアミメニシキヘビは、最も大きい個体で体長10m弱、体重約270kgだ。

ティタノボアは、現在のコロンビア北部の温暖な熱帯環境に生息していた。当時の頂点捕食者として、現代のアカオボアのように、締め付ける力を駆使して、さまざまな大型脊椎動物を捕食していた。化石証拠から、約6000万年前である古第三紀の初期に生息していたと考えられている。

古代の巨大海生トカゲ「モササウルス」

モササウルス(Getty Images)

モササウルス(Getty Images)

モササウルス(Mosasaurs)は古代の巨大海生トカゲで、約1億~6600万年前の白亜紀後期に繁栄した恐ろしい捕食者だ。モササウルス科に属し、細長い流線形の体、力強い尾、先端がパドルのようなかたちをした四肢が特徴で、非常に効率よく泳ぐことができた。現代のトカゲやヘビと近い関係にある。

体長15mまで成長し、ザトウクジラに似ていたが、ザトウクジラほど重くはなかった。大きな円すい形の歯と強力な顎で、魚やイカ、軟体動物、さらには他の海生爬虫類など、さまざまな海洋生物を捕食していた。

生態系の頂点捕食者として、白亜紀の終わりに絶滅するまで海を支配していた。彼らの絶滅の時期は、恐竜が消え去った大量絶滅の時期と一致している。
次ページ > 人類とも共存した巨大なカメとヤモリ

翻訳=米井香織/ガリレオ

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宇宙

2024.05.19 12:00

人類が「タコ型宇宙人」に決して遭遇できない5つの理由

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太陽系外惑星の表面を歩く宇宙飛行士の想像図(Getty Images)

ハリウッド映画では人類に敵対したり脅威を及ぼしたりする悪役として登場することが多いため、海生生物のタコも架空の地球外生命体のタコも、多くの映画ファンを恐怖で震え上がらせてきた。その鋭い目は別として、タコの脳や姿形はどの生物種にも劣らないほど人類とは異なっている。

だが、地球上に人類が誕生する何億年も前に進化したのだから、タコの研究は、知的生命体に至る別経路を解明する試みにおいて本質的に有用なのだ。また、地球人がゆくゆくは地球外文明探査で遭遇する可能性のあるこの種の知的異星人を理解する上でも役立つはずだ。

しかしながら、タコは自身の不利に働く要素を複数持っているため、地球人が将来、タコ型宇宙人に遭遇する確率は極めて低くい。ここでは、その理由を5つ挙げて解説する。

1. 銅を豊富に含む血液を持つ

米ワシントン大学の古生物学者で作家のピーター・ウォードは電話取材に応じ、タコの大きな失敗は銅をベースとする血液を持っていることだと語った。人間の血液のような鉄ベースの血液ほど酸素を保持できないからだと、ウォードは説明する。タコは非常に大きな脳を持っているので、常に酸素欠乏の危機にさらされている。大きな脳を支えるのに十分な量の酸素が得られないため、タコの脳はこれ以上大きくなれないのだという。

なぜタコは、鉄ではなく銅を利用する方向に進んだのだろうか。

鉄も使えたが、生理学的には銅を使う方が有利だと判明したからだと、ウォードは指摘する。これは、鉄の生物利用可能性(どれだけ生物体内に取り込まれやすい形態で存在するかの指標)とは無関係だった可能性があるという。そうではなく、どのようなタンパク質が利用可能だったかと、生理機能がすでにどのように働いていたかに全面的に基づいている可能性があると、ウォードは述べている。
ヒョウモンダコ(Kris Mikael Krister/Unsplash, CC BY)

ヒョウモンダコ(Kris Mikael Krister/Unsplash, CC BY)

今日知られているタコが、約5億年前に巻き貝に似た単純な生物から進化を始めたとは想像もつかないだろう。

だが、ここが問題なのだ。
次ページ > タコは知能を十分に発揮できるほど長生きできない

翻訳=河原稔

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サイエンス

2024.07.08 14:00

絶滅から50年後に「再発見」された大型のムササビと飛べない鳥

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BY MANTELL, GIDEON ALGERNON, 1790-1852, MANTELL, WALTER BALDOCK DURANT 1820-1895 - HTTPS://WWW.BIODIVERSITYLIBRARY.ORG/ITEM/260400#PAGE/11/MODE/1UP, PUBLIC DOMAIN

地球上に900万種の動植物が存在すると推定されている中で、少なくとも1万5000種(おそらくそれよりずっと多く)が絶滅の危機に瀕している。国際自然保護連合(IUCN) によると、同組織が追跡を始めて以来、850以上の動物種が絶滅している。

そのため、絶滅したとされていた種が野生で再発見されることは、歓迎すべき報せだ。そんな例を2つ紹介する。

1. ウーリームササビ(70年間絶滅とされた後、1994年に再発見) 

その印象的な大きさにも関わらず、このムササビは最長30m滑空することができる(RICHARD LYDEKKER via Wikipedia)

その印象的な大きさにも関わらず、このムササビは最長30m滑空することができる(RICHARD LYDEKKER via Wikipedia)

ウーリームササビ(Eupetaurus cinereus)は、パキスタン北部およびインド北西部の山岳地帯を原産とする非常に大きなムササビ類で、体長は最大90cmに達する。

20世紀初めに絶滅したと信じられており、科学者たちは保存されていた1800年代後半のわずかな皮膚と検体をもとに研究した。しかし、1990年代にピーター・ザーラー率いる研究チームが、パキスタンのカシミール地方に同種が生息していることを確認した。

ザーラーがウーリームササビを再発見した経緯は、再発見そのものと同じくらい印象的だ。彼は1992年に、伝統的な捕獲方法を用いてこの失われたを探していた。アーモンド、はちみつ、穀物などのおいしい餌でおびき出そうとしたが、罠をしかけて2カ月間、何も見つからず、ザーラーは帰国した。

1994年に再びパキスタンに渡ったが、同様の結果だった。最後の最後までは。資金と時間がなくなりつつある中、ザーラーの同僚が注目すべき手がかりを見つけた。絶滅したムササビのものと思われる前足が、 崖の上で見つかったのだ。それはおそらくワシミミズクによる食べ残しだと考えられた。

数日後、チームはが別の目的でムササビを探していた現地の2人組の男に出会った。彼らはムササビの尿を集めて現地の市場で売っていた。それが媚薬になると信じられていたためだ。1日もたたないうちに、男たちは1匹の雌のムササビを袋に入れて戻ってきた。ザーラーたちは男たちに謝礼を支払い、謎は解決した。
次ページ > ニュージーランドの飛べない鳥

翻訳=高橋信夫

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