小林憲正
自然科学者1954年岡崎生まれ。1973年神奈川県立湘南高等学校卒。1982年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。米国メリーランド大学化学進化研究所研究員(1982〜1986)などをへて2003年横浜国立大学工学研究院教授。2020年同名誉教授。主な著書は「地球外生命」(中公新書,2021),「宇宙からみた生命史」(ちくま新書, 2016),「生命の起源 宇宙・地球における化学進化」(講談社, 2013),「アストロバイオロジー 宇宙が語る生命の起源」(岩波書店,2008)など。共著では「宇宙には,だれかいますか?」(河出書房新社,2017),「地球外生命9の論点」(ブルーバックス,2012)など。
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ご指摘のように,水などの流体がない(非常に薄い)宇宙環境では,通常の意味での「泳ぐ」ことはできません。そこで,真空中で移動するためには,何かを後方に放出する必要があります。そうしますと,作用・反作用の法則で人や物体を前方に進めることができます。ロケットが噴射により移動できるのも,全く同じ原理です。後ろ向きに放出された物体(噴射ガス)と移動する物体の運動量(質量と速度の積;向きにより正負の記号がつきます)の合計が保存される,と考えるとよりわかりやすいかもしれません。宇宙遊泳では,宇宙銃というガス噴射装置が用いられています。
本当に何か新しい分野で研究をしてみたいならば,是非,その熱意を持って,関連する分野の先生に相談してみてください。社会人が,筆記試験なしで,口述試験のみで入学できる大学院(研究科)は結構あると思います。何がやりたいか,何を勉強したいかがはっきりしている必要があります。
科学の世界には基本的に国境はないので,海外で研究する研究者が増えることは,むしろ望ましいことです。しかし,日本の場合は大学などの研究環境がどんどん貧弱になっているため(特に独立法人化以降),海外から優れた研究者を呼んでいっしょに研究することが難しくなっています。頭脳流入が頭脳流出とつりあっている,あるいは流出以上に流入があれば,全く問題はないのですが,そうなっていないのが問題です。さらに博士課程に進む学生が激減しており,流出できる若い頭脳も減っているのも大問題ですね。
現在興味をもっている分野の専門家になりたい,というご希望と考えます。また,今は学部生ですよね。
大学院の修士課程に行くことは考えていますか。その場合,学部で得た知識を持って,大学院で別な分野を勉強すると,2つの専門をもった,他の人と違ったバックグランドの専門家になれます。今,水産を勉強しているのなら,水産業に詳しい経営学,マーケティング学の専門家をめざすというのはどうでしょうか。これからは,人と同じような勉強をしているだけですと,他の人との差別化が難しいです。2つの分野に精通した専門家をめざしてはどうでしょうか。