緊急車両用道路を通って地区外に出る住民の車両の列。左側が崩落現場=11日午前9時ごろ、出雲市大社町日御碕
緊急車両用道路を通って地区外に出る住民の車両の列。左側が崩落現場=11日午前9時ごろ、出雲市大社町日御碕

 7月の記録的大雨で道路が崩落し、全面通行止めとなっている県道大社日御碕線近くに設けられた緊急車両用道路で11日、出雲市の指定を受けた地区住民の車両通行が始まった。約1カ月ぶりに車で移動できるようになり、住民からは「ようやく前進した」と安堵(あんど)の声が漏れた。

 緊急車両用道路は私有地を通り、崩落現場を迂回(うかい)する全長約200メートル。地区の要望に応じ、市が指定する住民などの車両に限って片側交互通行を認める。市によると300台以上の車が指定を受けた。県が傾斜を緩やかにする工事を進めていた。

 午前9時に通行ができるようになり、30分以上前から待機する車があった。仕事で松江市内に向かう出雲市大社町宇龍の会社員阿部純也さん(50)は、地区外で泊まって出勤する日があったとし「かなり不便だったので、ようやく一歩進んだ」と喜んだ。一方で「観光が基幹産業になっている地域でもあり、早く一般車両が通れるようにしてほしい」と願った。

 県は、観光客らが通行できる一般車両用の仮設道路設置を目指しているが、開通時期の見通しは立っていない。出雲県土整備事務所の門田修二土木工務第一部長は「一日も早い迂回路の完成を目指す」と述べた。

(佐野卓矢)