終盤に入ったパリ・オリンピック。競技場だけでなく街角の飲食店からも連日歓声が聞こえるなど、パリ市内は盛り上がっている。
一方で五輪のために再開発され、住民の「強制排除」があったとされる地区などを取材すると、移民の受け入れや都市開発のあり方など、フランスが直面する課題も垣間見えた。
「ジャパンに追い出された」。西アフリカ・コートジボワール出身のジュリアンさん(17)は、取材に憤った。
ジュリアンさんは「いい暮らしがしたい」と密航ボートなどを乗り継ぎ、約1年前に1人でパリにたどり着いた。
フランスでは不法入国者であっても未成年は社会的な保護を受けられる。だが、未成年とは認められず、法廷で争っているという。
行政から住宅支援は受けられず、当初は路上や橋の下で寝泊まりをしていた。今年4月、同じ境遇の若者ら100人以上でパリ市内にある公共施設を占拠し、行政に住宅支援などを求める交渉を始めた。
ジュリアンさんによると、まもなくパリ市は「ジャパンが五輪で使用する」と言い始め、7月上旬に施設から「追い出された」。
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