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The Works "染まる魂、染まらないモノ" includes tags such as "TSF", "ギャル化" and more.
染まる魂、染まらないモノ/Novel by シャドウチョコ

染まる魂、染まらないモノ

15,518 character(s)31 mins

前回がTS精神的BLだったので、今回はTS百合を書きました。
入れ替わりによるギャル化・・・を書きたかったのですが、何だかあんまりギャル感が出なかったです。
TS百合要素も中途半端な気がするのでタグ付けませんでした。
でもこういうお話好きなんです。
追記:ブクマ数100突破!?!?ありがとうございます!!!(2021/05/02)
追記2:オリジナルウィークリーランキングの7位に入りました!!!(2021/05/03)
追記3:うわあああああ6位になってるうううううう!!!!!(2021/05/04)
追記4:ブクマ数ついに200突破・・・!皆さま本当にありがとうございます・・・!!!(2021/05/17)
追記5:とうとうブクマ数は300を突破!!!感謝してもし切れません・・・!!!!!!(2021/10/18)

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俺は野上賢太、とある国立高校に通い難関大学進学を目指す高校2年生だ。
自分で言うのもおこがましいが、頭にはちょっと自信がある。
とはいえこの知識は決して楽して手に入れた物ではなく、
日頃のたゆまぬ勉強の成果であって、決して天才というわけではない。
そんなガリ勉くんな俺には、意外かもしれないが大切な恋人がいた。
「今日は付き合ってくれてありがとう、賢太くん。
勉強で忙しかっただろうにごめんね・・・!」
彼女が深山紫音、俺の同級生。
ある日彼女が俺に告白してきた事をきっかけに、
俺達は付き合う事になった。
最初は全く接点の無い彼女からの突然の告白に戸惑った。
こんなただのガリ勉のどこが良いのかわからなかったが、
断る理由が無かったためとりあえず承諾した。
なぜ俺の事が好きになったのかは未だにわからないが、
付き合ってみて数か月、俺の方は確実に彼女に惹かれ始めていた。
深山さんはいつも俺を気遣ってくれて、
俺が何かに悩んでいたら自分の事の様に一緒に悩んでくれた。
こんな俺なんかとは比べものにならない位の聖人と一緒にいて良いのだろうか。
「いやいや、勉強だけしてたら頭がどうかしちゃうから、
深山さんと一緒に過ごすと良い気分転換になるし楽しかったよ。
デートに誘ってくれてありがとう!」
俺が深山さんにお礼の言葉を述べると、
彼女は急に顔をかぁっと真っ赤にして
「で、ででででで、デート!?
あっ・・・、そんなつもりじゃなかったんだけど、
そっか、恋人同士なんだし、そうだよね。
今日の、デートだよね・・・!!
なんかそう思うと急に嬉しさが数倍になってきちゃった・・・!!!」
と嬉しそうに言った。
深山さん、自覚無かったの!?
言わない方が良かったのかな。
でも本人が喜んでるから良しとしよう、うん。
「それじゃ深山さん、またね!」
「あっ、うん!
おやすみなさい、賢太くん!!」
俺は深山さんに手を振って帰路についた。
辺りはもう真っ暗で、しかし土曜の夜ということで
家の中の明かりがたくさん漏れている。
・・・だからこそ、後ろから迫る影が一層わかりやすかった。
「・・・いつまで後を付けるつもりなんですか??」
俺は後ろを振り返って言った。
「あちゃー・・・、やっぱバレてたかぁ。
さすがは進学校のガリ勉くん、勘がするどい!」
物陰から姿を現したのは、髪をギラギラの金髪に染め、
肌を茶色に焼いて派手派手のメイクを施した、
今時珍しい位の典型的なギャル、といった感じの女性だった。
「・・・今日一日、ずっと俺達の後を付けまわしてましたよね?
誰なんですか、警察呼びますよ!?」
そう、この女性、俺と深山さんのデートの間からずーっと
俺の後を付きまとい続けていたのだ。
一体何の用があるんだ。
俺はこんな人一度も会った事無いのに。
まさかストーカー???
「お~怖っ!!
そんな怖い顔しないでよね、せっかくのイケメンが台無しだよ??」
「ふざけてないで質問に答えろ!!」
「別にウチはふざけてなんかないし?
でもまあこのままけーさつ呼ばれんのもめんどいなぁ。
さっさとやっちゃうかぁ。」
そう言って女性は、持っていた小さなバッグから何やら
キーホルダーの様な物を取り出した。
「えーっと、なんだっけ、何て言えば使えるんだっけぇ?
ウチ記憶力無いからなぁ。
あ、そーそー確か、
『そうる・えくすちぇんじ』??」
彼女がそう叫んだ瞬間、キーホルダーがとてつもない光を発し、
俺と彼女を包み込んだ!
「うわぁっ!!!!」
あまりの眩しさに腕で目を覆う俺だったが、
光を防ぎきれず、俺の意識は暗闇に呑み込まれてしまった。






「・・・・・・もしもーし、
いつまで寝てんのさ、そろそろ起きなよー。」
うーん・・・。
何で俺寝てんだっけ・・・。
何だか聞き覚えのある声がする・・・。
どこで聞いたっけ、常日頃聞いているような・・・。
って、俺の声じゃん!?!?
でも俺は何も言ってないぞ??
とにかく起きて状況を確認しなきゃ・・・!!
俺は起き上がろうとして身体に力を込めた。
しかし、その影響で喉から漏れ出た自分の声に驚いた。
「っ、うゥん・・・・・・!!」
えっ・・・?
何だ今の高い声・・・。
今の、本当に俺の声か??
「あ、やっと起きたねー。
おはよ、気分はどお???」
寝ぼけた目をこすって前を向いた俺は、これまでの人生で一番の衝撃を受けた。
なぜなら、目の前に立っていたのは、他ならぬ俺自身だったからだ・・・!!
「えっ・・・、お・・・れ・・・・・・???」
「そうだよ??
ウチは野上賢太、高校2年生。」
「ち、違う!!
野上賢太は俺だ!!お前は誰だ!?!?」
目の前に佇むもう一人の俺に向ってそう叫ぶが、
俺の喉から漏れ出るのは先ほどと同じ、
自分の声とは思えない甲高い声だった・・・。
「って、何なんだよこの声・・・!!
これじゃまるで、女の子の声じゃないか・・・!!!」
「『まるで』じゃなくて、本当に女じゃんきみィ。」
「何言ってんだよお前!正体を現せ!!!」
「だから言ってンじゃん、ウチが野上賢太だって!!」
ん???
この口調・・・、まさか!!!!
「さっきの付け回してたお前か!?!?」
「ぴんぽーん、あったりー!!
でも、正確に言えばちょっと違うかな??
自分の姿をちゃんと見てみなよ???」
自分の、すがた・・・??
俺は視線を下に下した。
「なっ・・・!?!?」
何だよこれ・・・!!!
何で俺が女の子の服着てるんだ・・・???
やたら肌の露出多いし・・・!!!
それに、その露出した肌は小麦色に染まっている。
爪は派手にネイルが付いてる・・・!!
「これじゃまるで、ギャルみたいじゃな、ん・・・???」
・・・その瞬間、俺は察してしまった。
世にも恐ろしい、自分の身体に起こった出来事の正体を。
「・・・ま、まさか、お前、」
「やっと気づいたの???
そう、お察しの通りウチとあんたの身体を入れ替えさせてもらったの!」
「はぁぁぁああぁあっ!?!?!?!?!?」
そんな漫画みたいな事があり得るわけがない!!!
でも、実際に俺は今さっきのギャルの身体になっていて、
目の前の俺がこのギャルみたいな仕草と口調で喋っている・・・!!!
「このキーホルダーはねー、
裏で取引されてるマジックアイテムなの。
これを使えば、一度だけ他人と自分の魂を交換できるってわけ。」
「ふざけんな!!元に戻しやがれ!!!」
俺は俺の身体に入ったこのギャルに掴みかかった。
「むり。
今言ったでしょ?
『一度だけ』って。
一回魂を入れ替えたら、もうその人の魂はその身体で定着するの。
例え新しいキーホルダーをゲットしたって元には戻れないから!!
残念でした~、キャハハ!!!」
俺の身体を使って、俺が絶対しない様な汚い笑い声を上げるギャル。
「そん、な・・・・・・・・・。」
残酷な真実を聞いて、俺はその場にへたれ込む。
「なんで・・・・・・、なんで俺の身体を・・・・・・!!!」
すると俺の身体に入ったギャルは、その動機を語り始めた。
「だってさぁ~、
ウチ、今まで全然勉強してこなかったから、
このままじゃ人生積んでんの。
今もてーへん高校だし??
もうぶっちゃけ小学生の内容も怪しい、みたいな??
だから人生逆転するために、賢い人になったってわけ!!!
賢太ってこの辺じゃ一番の○○高校でしょ?
まさにうってつけだもん!!!
あ、ちな男を狙ったのはイケメンとして生きてみたかったからだよー。」
・・・ふざけるな。
そんな勝手な理由で、俺の人生を横取りするつもりなのか!?!?
それに・・・。
「でも、俺の身体を奪ったからって、
お前が賢くなるわけじゃないだろ!!!
中身がそのままなんじゃ、何の意味も無いじゃないか!!」
しかし、目の前の俺は不敵に笑う。
「それが・・・、出来ちゃうんだよなぁ。
さっき、ウチが言った事覚えてる???
『ウチは野上賢太、高校2年生』。」
・・・え??
こいつは今日一日俺の後を付けていたから、
俺の名前くらいは深山さんが呼んでいるのを聞いて
知ったかもしれないが、学年の事は今日一度も話していないはず・・・!!
・・・いや。
「その位、下調べすればわかる事だろ??」
「ふーん、まあ確かにそうか。
じゃあ、これならどうかな??
『俺』は野上賢太、○○高校に通い難関大学進学を目指す高校2年生。
自分で言うのもおこがましいが、頭にはちょっと自信がある。
だけどこの知識は決して楽して手に入れた物ではなく、
日頃のたゆまぬ勉強の成果であって、決して天才というわけではない。
彼女の深山紫音はとてもいい子で、どうして俺なんかに惚れたのかわからない。」
「なっ・・・!?!?」
どういう事だ!?
今あいつが述べた言葉は、ついさっき俺が頭の中で
考えていた事ほぼそのものだった。
それに、喋り方のトーンなんかもさっきまでのギャルっぽいものと違い
普段の俺のそれにそっくりだ。
俺の背中に嫌な冷汗が流れる。
「へぇ・・・、俺、普段こんな風に考えてんだ。
しっかし、『どうして俺なんかに惚れたのかわからない』???
そんなの俺の美貌に一目惚れしたに決まってんだろうが!!
鈍感すぎか???」
憎たらしい表情で俺を煽る俺。
「何で!?どうして俺の頭の中までわかったんだよ!!!」
「そんなの簡単だ、魂が入れ替わった後はその身体に残されていた記憶を
好きに読む事が出来るんだよ。
俺はもうほとんどお前の記憶を読み終わったから、
これで今日から完璧に野上賢太として暮らす事が出来るってわけだ。
お前もやってみろよ、ちょっと記憶を探れば
『ウチ』の名前なんかすぐわかるぜ??」
「お、俺がそんなの知るわけっ・・・、」
しかし、その瞬間俺の頭の中には一人の名前がすぐに浮かび上がった。
「神田・・・七海・・・???」
「そう、よく出来まちたね~七海ちゃん。
お前は今日から神田七海として底辺高校に通い、
たくさんの男で遊んで好きに生きると良い。
安心しろ、その美貌ならその辺の適当な男にモテモテだからな。
金には困らないんじゃないか???」
「ふざけんなぁ!!!」
俺は俺に再びつかみかかろうとするが、
襟に手がかかる直前に押えられてしまう。
「だーかーらー、何をどう騒ごうが七海ちゃんはもう元には
戻れないって言ってんだろ?もう忘れたのか??
まあその身体の記憶力は虫けら以下だから、
すぐ忘れちゃうのも仕方ないな。
今は違和感しか無いだろうけど、
このままお前が七海としての記憶を読んでいけばそのうち心の底まで
『ウチ』に染まって完全な七海ちゃんになるから安心しろって!
実際、もう俺はほとんど俺に染まっちまったぜ。」
「なっ・・・!?」
俺が・・・、心までこいつに染まるだと!?
「それじゃあ七海ちゃん、こんな暗い時間にそんな格好して
いつまでも出歩いてると襲われるかもしれないから早く家に帰りなよ。
あ、それとも襲われるのを心待ちにしてたりする?」
「おい、待てっ・・・、」
「安心しろ、深山さんは俺が幸せにしてやるから、な?」
目の前の俺がそう言うと、例のキーホルダーを俺の目にかざした。
すると、どういうわけか俺の意識がまた暗転し始める。
ダメだ、ここで逃がしたらっ・・・俺はっ・・・!!
「や・・・め・・・ろ・・・。」
「おやすみ、『ウチ』。」
ここで俺の意識は途切れた。


再び目を覚ました時、目の前にいた巡回のお巡りさんに叩き起こされ、
俺は職質を受ける事になってしまった。
「はぁ・・・、またあなた??
七海さん、一体何度あなたに注意したら気が済むの???
未成年が夜中に遊び歩くなっていつも注意してるじゃない!!!」
どうやら、口ぶり的にこのお巡りさんは夜遊びをしている七海を
常日頃注意しているようだ。
しかし、そんな事言われても中身は俺なのだ。
全く身に覚えが無い。
・・・と言いたい所なのだが。
俺の頭には、このお巡りさんに今まで注意されてきた記憶が
はっきりと浮かんできた。
『そんなのウチの勝手じゃん、
お巡りさんに言われる筋合い無いもん。
ほうりつ?ウチ馬鹿だからわかんないわ!!』
七海はいつもこんな風にこのお巡りさんを困らせていたようだ。
「・・・いつも困らせてすみません。」
ふと、俺の口からは七海の声でそんな言葉が紡ぎだされた。
「あら、今日はやけに素直なのね。
ちょっとは反省したのかな?」
「・・・すぐ帰ります。ご迷惑をおかけしました。」
俺はぺこりと一礼し、その場を去った。
・・・どうせこの人に『七海と身体を入れ替えられた』なんて言っても、
狂人扱いされるだけだろうから言わなかった。
それより、つい勢いで帰るなんて言ったけど、俺の家に帰るわけには行かない。
悔しいけど、そっちにはもう七海が入った俺が帰っているだろう。
クソッ、あいつ父さん母さんに変な事してないだろうな??
「七海の家に・・・帰るしか無いよなぁ。
どこにあるんだ・・・。」
ちょっと頭の中を探すと、『ウチ』の家への帰り方を思い出す事が出来た。
「・・・って、俺今頭の中で『ウチ』って!!!」
ヤバい、あいつの話じゃ七海の記憶を読めば読むほど
俺の心は七海になってしまうらしいから、
もう既に浸食は始まってるってのか!?
ヤベぇよ・・・、そんな事になったら・・・。
俺はこれ以上何も思い出さない様に頭の中を空っぽにするよう
心がけながら七海の家に向った。

「ここ、かぁ・・・。」
この汚いボロアパートが七海の家らしい。
「えーっと、『ウチ』の部屋は2階の4号室だよね~!
あったあった、ここだわ!
・・・って、まただ!!
俺また七海の口調にぃ・・・・。」
とにかく、俺はバッグの中に入っていた七海の鍵を使って部屋に入った。
当然真っ暗だったので電気をつけてみると、
中はグッチャグチャに散らかった、いわゆる汚部屋ってやつだった。
一人暮らしゆえの気楽さか、教科書や食べ物が辺り一面に散乱している。
その代わり、着替えやメイク道具はちゃんと整えられている。
そりゃーそうでしょ!
おしゃれに必要なやつは散らかしちゃめんどうだもんな~!
・・・って、ダメダメ!!
「ああ、また今七海に染まってたよ・・・。
この部屋にいると嫌でも七海の記憶が蘇ってくる・・・!!!」
このままじゃ、俺は本当に七海になってしまう。
これ以上この部屋について考えるのは危険だ。
「仕方ない、何も考えない様にもう寝よ・・・。」
俺は電気を消し、色々な物が乗ったベッドに入った。
とにかく、何も考えるな。
七海に染まっちゃダメだ。
きっと、いつかどうにか出来る方法が見つかるはず。
それまで俺は俺を見失っちゃダメなんだ・・・。
俺は必死に何か思い出さない様にしながら眠りに就いた。
ああ、全部夢だったら良いのに・・・。
父さん・・・。
母さん・・・。
深山さん・・・・・・。



「ん~、良く寝たぁ!!」
『ウチ』は布団から出て洗面所に向かい、顔を洗った。
鏡には、『いつも通り』のかわいいかわいいウチが映っている。
ギラッギラに染めた金髪!
日サロでこんがり茶色に焼いた肌!!
当然まだメイクはしてないけど、すっぴんでもウチってかわいいなあ。
顔が整ってるよね!
あ~、今日は日曜かぁ。
時計見たら、もう11時だって!
キャハッ、もう昼じゃん!
しょーがないよね、ウチ朝弱いもん!
でもちょーどいいかも、そろそろお昼時だから
町には良い男どもがたむろしてんじゃないの???
そんじゃあ『いつも通り』、男狩りに行きますか~!!
その前にまずはちゃんとメイクしなきゃね。
思えば、『中2の頃からずーっとギャルメイクして』んだよね~ウチ!
『もう3年もやってるから、手慣れたもんでギャルメイクは何も見なくても
出来ちゃう』んだよな。
「よしっ、完成!!ウチ今日もキマッてる!!」
鏡には、付けまつげをガンガンにつけて派手なメイクを施し、
ネイルもばっちりつけてる完璧なウチが映っていた。
うんうん、これならその辺の性欲にまみれた男どもはイチコロだよね~!
さ、服も肌いっぱい出てるかわいいやつに着替えてぇ・・・。
うん、準備完了!!
さっそくてきとーな男に昼飯おごらせよっ!!!
・・・と、テンション爆上げ中のさなかに
ウチのスマホが鳴り始めた。
しかも非通知じゃん!誰だよこんな時に!!
「はぁ~??まじムカつくんだけど!!
今一番良い所なのに!!!」
ウチはマジギレしながら電話に出た。
「ちょっとさぁ!!
誰なのか知らないけど、今いそがしーの!!
ウチの邪魔すんなっつの!!」
『へぇ・・・、一晩ですっかり染まったなぁ。
昨日の抵抗っぷりが嘘みたいだな。』
はぁ・・・??
誰だよこの男の声。
何かいみふめーな事言ってんだけど。
「あんた誰だよ、もしかしてウチと寝た事ある??」
『・・・ま、思い出せないならそれで良いか。
好きに男漁りを楽しみな。じゃあな!』
は?切れたんだけど。
いた電か???マジうぜぇ。
さ、気を取り直して男狩り行くぞ~!!!


お昼時なせいか、町にはウチが思ってた以上に人混みがすごい・・・。
うわー、これじゃ一人一人に声かけづれぇ。
「おっと失礼。」
うわっ、後ろから知らねーやつに押されたんだけど!!
何だよあいつ!!
あーあー、バッグ落ちて中飛び出ちゃったよ。
スマホ大丈夫かこれ??
「あの・・・。」
「あん・・・??」
急に、知らない女がウチに声をかけてきた。
「大丈夫ですか!?私、拾います!!!」
何だ、ただの良い人だったわ。
「あ、あざぁっす・・・。」
その女と一緒に、ウチのバッグのこぼれた中身を拾う。
何かまじめそーな子だなー。
多分賢いよこの子。
カレシに一途、って感じ。
ウチとは住む世界が違う子だ。
「はい、これで全部ですよね。」
「はは・・・、ありがと、助かったわ。」
「それじゃ、私はこれで・・・。」
女はウチに一礼すると、その場から離れて行った。
あの浮つきよう、カレシと待ち合わせかねぇ。
・・・それにしても、今の女の顔を見ていると、
ウチが何か大事な事忘れてるような気がしてくる。
なんだろー・・・。
忘れちゃいけない、めっちゃ大事な事だったような~・・・。
『今日は付き合ってくれてありがとう、賢太くん。』
突如、ウチの頭の中にあの女の声が響いた。
何だこの声・・・。
賢太って誰だよ・・・。
そんなやつ、ウチ知らな・・・。
『で、ででででで、デート!?
あっ・・・、そんなつもりじゃなかったんだけど、
そっか、恋人同士なんだし、そうだよね。』
・・・いや、知ってる。
ウチは、あの子を知ってる。
あの子は・・・、あの子の名前は確か・・・!!!
「・・・み、深山さんっ!!!」
ウチの口からは、知らないはずなのに知っている『深山さん』という
名前が飛び出した。
「っ・・・、え、どうして私の名前を?
もしかして、どこかでお会いした事ありました・・・??」
深山さん(?)は、ウチの声に反応して戻ってきてくれた。
「あのっ・・・、その、ウチ・・・。」
「・・・???」
ウチは、彼女に何か伝えたい事があるのかしどろもどろになって
頭の中でその言葉を探した。
何だっけ・・・。
ウチは深山さんに何か伝えたいはずなんだ・・・。
えっと・・・。
ええっとぉ・・・・・・。
『やっと気づいたの???
そう、お察しの通りウチとあんたの身体を入れ替えさせてもらったの!』
『今は違和感しか無いだろうけど、
このままお前が七海としての記憶を読んでいけばそのうち心の底まで
『ウチ』に染まって完全な七海ちゃんになるから安心しろって!』

「・・・・・・あ。」
「ん???」
「あ、あ"ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?!?」
ウチは、周りの目を気にせず叫びだした。
そうだ。
ウチは、神田七海じゃない!!
ウチは野上賢太だ!!!
今よーやく昨日の事を全部思い出せたよ・・・。
ってかさぁ!!
何なんだよ朝起きてからのウチの行動!!
男漁るとか・・・。
手慣れたメイクとか・・・!
もう完全に七海に染まってんじゃん!!
口調も完全に七海のギャルっぽいのになってるしぃ・・・。
賢太だった頃の口調にしよーとしても、
お、お、おr・・・。
ダメだっ、なぜか全然直せねぇ。
それにさぁ!!
あのウチに電話かけてきた男はどー聞いても
賢太の声じゃねーかよ!!!
ちっくしょあいつ煽りやがって!!!
「あ・・・の・・・。
大丈夫、ですか???」
深山さんが様子のおかしくなったウチを心配してくれてる。
「だっ・・・、だいじょーぶ。
心配してくれてさんきゅ・・・。」
「何だか顔色が悪いですよ・・・??
病院で見てもらった方が・・・。」
「いやマジで大丈夫だから・・・。
ウチの事は気にしないで、
・・・・・・ん?」
そうだっ!!
深山さん、多分だけどあの浮かれっぷりは
ウチ・・・じゃなくて賢太と会おうとしてるよなこれ!!
ヤバいぞ・・・。
今のあいつがさ、深山さんに何するかわかったもんじゃないよなぁ!?
その辺の知らねー人には信じてもらえなくても、
深山さんならウチの事、信じてくれるかもしれない!!
「・・・あのさっ、話したい事あるんだけど。」
「えっ、なに・・・??」
ウチは一度深く深呼吸をして、深山さんをまっすぐ見ながら言った。
「深山さん・・・。
ウチはっ・・・!!!
野上賢太なんだっ・・・・・・!!!!!」
「・・・・・・はい???」
深山さんが困惑した表情で首を傾げる。
「しっ、信じられないと思うけど、ほんとなの!!
ウチは昨日深山さんと別れた後、
この身体の持ち主の神田七海ってやつと身体を入れ替えられちまったんだよ!!」
「ええっと・・・、あの・・・、どういうご冗談で・・・。」
ああ、ダメだ。
深山さんがますます困惑している。
「そりゃあこんな突飛な話信じられないよなぁ???
ウチだって信じられない!!
けどほんとにほんとなんだよ!!
深山さん!!
このまま今のウチ・・・、賢太と会っちゃダメなの!!!」
「煩いなぁ、俺の彼女に何の用だよ???」
「っ・・・!!!!」
き、来やがった・・・・・・!!
全ての、元凶・・・!!!!
「け、賢太くぅん!!!」
本物のウチが入った・・・、野上賢太ぁ・・・!!!
「もう大丈夫だよ、深山さん。」
「賢太くん、この人、変だよぉ!!!」
深山さんは怖がって賢太の身体に身を寄せた。
「あっ・・・、ダメだよ深山さん!そいつに近づいちゃさぁ!!!」
賢太が深山さんを庇って、ウチの前に立った。
「・・・あのさ、君、昨日一日中俺達を付けまわしてた
ストーカーだよね??
あれだけ注意したのに、今度は深山さんに危害を加えようとするなんて・・・。」
「何言ってんだよ!!
ウチがこんなことになったのも全部!!
全部テメぇのせいじゃねーかぁ!!!!!」
ウチの罵声に、賢太はやれやれと言った表情をして言った。
「・・・ここじゃ目立つな。
ちょっとこっち来ようか。」


「ぐあぁっ・・・・・・!!」
賢太に強制的に服を引っ張られ路地裏まで連れていかれたウチは、
そのまま壁に勢いよく投げられた。
賢太の後ろで、深山さんは怯えた目でウチを見ている・・・。
そんな目で見ないでよぉ・・・。
「・・・なに、俺とお前が入れ替わった??
何言ってんだお前、頭どうかしてんじゃないか??」
こいつっ・・・。
いけしゃあしゃあと嘘つきやがってぇ!!!
「う、ウチはほんとに・・・野上賢太だったんだよぉ・・・!!!
マジでガチで賢太なんだぁ・・・!!!!」
賢太は、昨日ウチに見せたのと同じ位汚い表情で笑って言った。
「それなら、今から俺が出す問題に答えてみろよ。
中身が俺ならさぁ、お前も○○高生なんだろ?
それ位余裕だよなぁ???」
「・・・や、やってやろうじゃないの!!!」
ここでウチがただのギャルじゃないって所を見せれば、
深山さんもウチの事を少しは信じてくれるかもしれない!
よーし、間違えるわけにゃ行かないね!!
元ガリ勉くんなとこを見せてやる!
「じゃあ第1問。
4a+2b=10、この方程式のaとbを埋めてみろ。」
「何だ、そんなのかんたんじゃん!!
えーっとぉ、4aがぁ・・・。」
・・・あ、あれ??
ほーてーしきって何だっけ???
aとか、bとか、なんで算数の式に英語が混じってくるわけ!?
おかしい・・・、ウチ、絶対こんな問題とっくの昔に
習ってるはずなのに。
「どうした?こんな中学生レベルの問題も解けないのか??」
「ちゅ、中学レベルぅ???
うっそぉ・・・そんな簡単なレベルの問題なのぉ・・・?」
「はい10、9、8・・・、」
うわああああああやばいやばい!!
ぜんぜんわからん!!!!
aとbの意味がさっぱりわかんない!!
もー!まぢイライラするぅ!!!
「3、2、1、はい終了~!!!
はっ!こんな問題も解けないとかお前どんな頭してんだよ!!!」
ああ・・・、深山さんがウチの方をゴミを見るみたいな目で見て来るぅ・・・。
その後も賢太は色んなジャンルの問題をウチに出してきたけど、
アホのウチはこれっぽっちもわからなかった。
何で・・・!?
ちゃんと賢太の頃の記憶も取り戻したのに!!!
どーして口調だけじゃなくて知能まで七海のになっちゃってんの!?!?
「・・・ま、こんなもんだろ。
これでわかったな、お前が自分の事を野上賢太だと自称する
ただの異常者だって。」
「クソッ・・・、くそぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ウチはやけくそになって、賢太の足に縋り付くように手を伸ばした。
けど、
「ぐへっ!!!」
賢太は思いっきりウチの腕を足で踏みつける。
「無様だな、俺みたいに毎日きちんと勉強してたら
そんな低能にはならなかっただろうに。
勉強しないからそうなるんだ。」
「ウっ・・・、ウチの記憶を読んで手に入れた知能の癖に!」
ウチのその言葉が癇に障ったのだろうか。
「っ・・・!!黙れこの馬鹿ギャルがぁっ!!!」
と、急に声色を変えてウチを思いっきり蹴った!
「ぐぎゃっ・・・!」
痛い。
苦しい。
「さ、深山さん。
この異常者を警察に突き出そうか。
110番してくれ。」
ああ・・・、ウチはもお、ダメだ。
もうすぐ警察に突き出される・・・。
捕まったら、もうウチと賢太の入れ替わりの事をぜってー信じてもらえない。
ウチはただの頭がおかしい奴として、一生生きなきゃいけなくなる・・・。
自分が惨めで、涙があふれ出した・・・。
「ううっ、ううう、うえぇぇぇ・・・。
助けてぇ、だれか・・・ウチを助けてよぉ・・・・・・。」
もう顔中涙でぐっちゃぐちゃ。
メイクもおしゃかだろーな。
・・・こんな状況になってもメイクの心配してるなんて、
ウチ、ほんとに心の底から七海なんだな。
確かにあいつの言う通り、ウチはもう自分を賢太だと思い込んでる
ただのヤバい奴なのかもしれない・・・。
ウチは、涙で歪む視界のまま深山さんの方を見つめた。
今、深山さんがどんな顔してウチを見つめてんのかわかんないけど、
きっとさげすんだ目でウチを見下してんだろうなぁ。
完璧に賢太に染まったあいつとは出来れば別れて欲しいけど、
無理だろぉなぁ・・・。
せめて、深山さんにはずっと笑っててほしかったよ・・・。
ばいばい、深山さん。
どうか、幸せに・・・・・・。






「・・・違う。」
え?
「ん?どうしたんだい?深山さん。
早くこいつを通報しないと・・・。」
「私に近づくなっ!!!」
「っ!?」
ウチは驚いた。
深山さんが、どういうわけか近づいてくる賢太を遠ざけようとしたからだ。
「違うっ・・・!!
あんたは、賢太じゃない!」
「な、何言ってるんだよ深山さん。
俺はどっからどう見ても俺だろ?」
「私の知ってる賢太くんは、泣きながら助けを求める相手を
ひたすら痛めつけるような奴じゃなかった!
むしろ、そういう人に手を差し伸べる所に私は惹かれたの!
なのに今の賢太くんは、その人を痛めつけるのを楽しんでた!!!
泣いて苦しむその人を見て嘲笑ってた!!!
そんなのっ・・・、賢太くんじゃないよ!!!」
「み、みやま・・・さん・・・?」
もしかして・・・、ウチの事、信じてくれたの・・・???
賢太は、深山さんには聞こえない様な小さな声で
「チッ・・・しくったな。」
と呟くと、今までの態度をころっと変えて喚き始めた。
「深山さん、お前には失望したよ。
深山さんなら俺の良い彼女になってくれると思ってたのに。
俺を疑って、よりによってその異常者を庇うなんてな。
まさか本気でその馬鹿ギャルが賢太だとでも思ってるのか?」
「・・・まだ、この人が本当に賢太くんなのかはわからない。
けど今のイカれたあんたから私を遠ざけようとしてくれたり、
少なくともあんたなんかよりはよっぽど賢太くんだと思ったもん!」
そう言って深山さんは、ボロボロになったウチを起こしてくれた。
「あっ・・・、ありがと・・・。ありがとぉ・・・深山さぁん・・・!」
「賢太くん・・・?ほんとに賢太くんなんだよね・・・???」
「うんっ・・・、身も心もこんなんになちゃったけど、
ウチは賢太なんだよぉ・・・!!!」
ウチらの光景を見ていた賢太は、顔をこれでもかと歪ませながら怒鳴った。
「・・・もういい。
もう勝手にしろぉ!
ああそうだよ!!
俺は神田七海!!!
その馬鹿ギャルの身体の持ち主だ!!
この賢太の身体は、俺がいただいた!!!
今更俺の正体に気がつこうがもう遅い!!!
俺の完全勝利だぁ!!!
何しろ、もう何やっても俺も七海も元には戻らねぇからな!!!
ギャハハハハ!!!
残念だったなカス共!!
深山も七海も、勝手に寄り合って傷を舐め合ったら良いさ!!
けどな、今の七海はただの底辺高の低能ギャル!
低学歴で自分を野上賢太だと思い込んでる異常者を、
社会は受け入れちゃくれねえだろうなぁ!!!
七海・・・、いや、賢太!!
お前の人生はもう終わってんだよバーカ!!!
それじゃあお前の身体は頂いてくぜ!!
せいぜい身体でも売って生きるんだな!!!
ギャ―ッハッハッハ!!!!!!」
いよいよおかしくなったらしい賢太の中の七海は、
そうやって喚き散らしてウチらの下から去って行った・・・。


賢太から解放されたウチと深山さんは、
傷の手当てのためとして深山さんの家に招かれた。
思えば、賢太だった頃から含めて深山さんの家に来るのは初めてだっけ。
「いっ、痛てててて!
痛いっ、痛いよぉ!!!」
「大丈夫大丈夫!
はい、消毒終わり!!」
深山さんはウチのケガをていねーに消毒してくれた。
その笑顔は、ウチが賢太だった頃のそれと変わり無かった。
「・・・ありがと。」
ウチは口角を上げた。
「それにしても・・・、変な感じだよね。
目の前にいるのはかわいいギャルの女の子なのに、
中身は賢太くんなんだから。」
「・・・けど、もうウチはほとんど賢太じゃないよ。
喋り方も知能も、全部ウチらの仇・・・神田七海になっちゃってる。
一番憎らしくて許せないやつになるなんてっ・・・!
今のウチは、深山さんの知ってるウチじゃないっ・・・!!!」
改めて自分に起こった出来事を振り返ると、悔しくて悔しくて
また涙が止まらなくなってきちゃった・・・。
「全ての元凶はあいつだけど・・・。
ほんとは全部ウチが悪いんだよぉ・・・!!
ウチがあいつに、七海に身体を奪われなければこんな事には
ならなかったのにぃ!!!
ごめんね深山さんっ・・・、ううっ・・・・・・。」
すると・・・。
「んあっ・・・?」
深山さんがウチを抱きしめながら言った。
「ううん、賢太くんは何にも悪く無いよ。
それより、私は一度賢太くんを疑ってしまった。
ごめんなさい、もっと早く気が付いていれば
こんな怪我を追わせなくて済んだのに・・・。
それにね、例え身体も心も七海さん?って人になっても、
賢太くんが賢太くんである事に変わりは無いよ。
だって完全に賢太くんに染まった筈の七海さんも、
結局性根までは染まってなくてボロが出ちゃってたもん・・・!!!」
「・・・確かに、そーかもね。
見た目も中身も七海になったウチがもし性根まで完全な七海になっていたら、
男漁りが趣味なウチが今こうして深山さんにトキめいてる事は
きっと無かったと思うから・・・。」
「賢太くん・・・?」
ウチと深山さんはお互いの顔を見合わせて、じっと見つめ合った。
ウチも、深山さんも、顔が熱くなって赤い。
「賢太くん。
今更かもしれないけどさ、私があなたを好きになったのは外見じゃないの。
私は、あなたの"心"が好き・・・。
だから身体が変わった今、改めて言わせて。
私と・・・付き合って下さい。」
「・・・ウチで、良いの?」
「うん、私はあなたが良い。
賢太くん・・・、ううん、七海。」
「深山さん・・・、いや、しーちゃん。」
深山さんがウチを七海として受け入れて呼び方を変えたのを機に、
ウチも深山さんを『紫音』から取って『しーちゃん』と呼ぶ事にした。
七海は友達によくあだ名をつけていたらしいから。
ウチは今日から本当の意味で七海になるんだもんな・・・。
「「んっ・・・。」」
ウチとしーちゃんは、熱い口づけを交わす。
しーちゃんのウチを思う気持ちが、ウチに直に伝わってくる。
・・・そして、ウチは誓った。
必ず本物のウチよりも幸せになってやる、って!




「七海、大学合格おめでとう!!!」
「ありがと~、しーちゃん!!
でも合格できたのはしーちゃんのおかげだって!
ウチはただ教わってただけだし!」
「でも遅れた分、ちゃんと毎日勉強頑張ってたじゃん!
成果が身を結んだんだもん、もっと誇って良いって!!」
「そ、そうかな~!!
ウチ、ちゃんと頑張ってた???」
「頑張ってた頑張ってた!!
私が保証するよ!!」
今日はウチの大学合格記念のささやかなパーティ!
ウチが七海として、しーちゃんと改めて付き合い始めて2年。
あれからウチは、かつての『ウチ』の遅れを取り戻すために
しーちゃんに家庭教師してもらいながら、
小学生の内容からやり直したんだよ~!
これまでほんとぉぉぉぉぉに微塵も勉強してこなかったウチの頭に
急ピッチで詰め込むのはきつかったし、何度も投げ出したくなった。
だけど、そのたびにしーちゃんがウチを励ましてくれたから、
ウチはついに大学に現役合格できちゃったってわけ!!!
まあ、流石に賢太の頃に狙ってた大学と比べると
遥かに下のランクの大学だけどね~。
それでも一応とある国立大学だよ??
すごくね???
あ、すごいってのはしーちゃんの教える力の事ね!
ウチの学力じゃないよ!!!
これもう本出版出来るでしょ!
『成績終わってるギャルを国立大学に入れる方法』って!!
「・・・それにしても。」
「ん?」
しーちゃんが改まった様子でウチに切り出した。
「その、さ。
元の七海・・・、つまり今の賢太は、
勉強が出来ないのが嫌で賢太と入れ替わったんでしょ?
それであの子は実際に賢太の知識を手に入れた。
なのに、奪われた方が大学に入って、
本人は行方不明って何だか皮肉だなぁって。」
・・・そう。
賢太・・・、つまり元のウチは、入れ替わってすぐのころは
しーちゃんの学校にちゃんと顔を出していた。
幸い、賢太はしーちゃんに何も手を出さず、一切口を聞かなかったらしい。
で、そんなウチと入れ替わった賢太は、あろうことか
しーちゃん以外の学校中の女の子に手を出し始めたらしいよ!?
多分、ウチとしーちゃんへの見せしめの意もあったんだと思う。
けど流石に派手にやりすぎたのかとうとうせんせーにチクられて、
停学を食らったんだって!
それでやけを起こしたのか、停学期間が終わっても学校に来なくなって、
やがていつの間にか退学して行方をくらました・・・!
・・・もう、それ聞いた時はブチ切れたよねマジで!
あいつ何してくれてんの!?
ウチの身体奪ったくせに賢太としての人生崩壊させやがって!!!
奪われたウチの身体が浮かばれねぇよこれじゃあ!!!
家にも帰ってなくて、ウチの・・・じゃなくて
賢太のパパとママは今も急にいなくなった賢太の事を案じて
気を病んでるとか・・・。
ごめんな、パパ、ママ・・・。
あんたらの息子は、ほんとはここにいるのに・・・。
「・・・結局さ、心の持ちようの問題だったと思うの。
身体を入れ替えて心と記憶を取り込んでも、
自分が本当の意味で変わらない限り意味が無いんじゃないかな。
だから今の七海はこうして大学に入れた。
賢太くんの身体を使いつぶしたのは絶対に許せないけど、
ああなるのも自業自得なのよ!!!」
「・・・今頃どうしてるかな、本物のウチ。」
「さあね。
けど、ロクな末路じゃないと思う。
・・・それより!
七海!大学にも受かった事だし、お願いがあるの!!」
「お願い?
うん、そりゃあウチに出来る事なら何でも!!」
「あの~・・・、私もさ、やってみたいんだよね。
そういう、その、えーっと・・・。
ぎゃ、ぎゃ、ギャル的な、メイクを・・・。」
顔を真っ赤にしながらもじもじしてウチにお願いするしーちゃん・・・。
あ~・・・、恥ずかしがるしーちゃんもかわいいな~!!
「そんなのもちろんオッケーに決まってるじゃん!!
ウチに任せて!!!
しーちゃんに似合う、さいっこうのメイク施してあげるから!!!」
「ありがと~、七海!!!」
しーちゃんとウチは、高らかに笑い合った。
まるで、かつて奪われた幸せな時間を取り戻す様に・・・。

Comments

  • KCA(嵐山之鬼子)

    個人的には、ある意味、理想の「ざまぁ」です。GJ!

    May 7th
    Display Replies
  • クーイングCP

    まさかのハッピーエンド こういうのもありですね 読んでて楽しかったです!

    July 17, 2022
    Display Replies
  • 沢渡びちこ
    May 9, 2021
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