4.アンズ
さてチュートリアルも終わったし次は何をすべきか…?
うん、まずは杏子と合流しないといけない。
…そういや合流ってどうやるんだっけ?
このゲームの交流方法についてさっぱりわかっていない。
チュートリアルでの説明も皆無だった。
そうとなるとこのゲーム内ではまだ連絡手段がない。
一度現実へ戻って通信を入れるべきだろうか?
そしてコンソールを表示して「ログアウト」を選択しようとした時に機械的なメッセージが流れる。
『プレイヤー「アンズ」が「ニミリ」のマイルームへアクセスを求めています。許可しますか?』
「へ?」
私はあっけにとられる。
チュートリアルから解放されてすぐである。
こんなタイミングでコンタクトを取ってくるとか…私のストーカーかな?
冗談はさておきどうすればいいかわからなくて軽くパニックになる。
そう困った時はまず…「ヘルプ」でも見ますか。
---------------------------------------------
【マイルームへのアクセスについて】
マイルームの設定はデフォルトではプレイヤー本人以外の出入りは不可能です。
また、プライバシーにも関わるため知らない人へアクセス許可をしないようお願いします。
設定の変更はマイルームの設定から可能です。
---------------------------------------------
なるほど知らない人へのアクセス禁止…ごもっともである。
しかし知らない人が直接私へコンタクトをしようとするだろうか?
それに「アンズ」…他人というわけではないような気もする。
私はコンソールを操作してマイルームの設定を表示する。
内装設定やパートナー管理等いろいろあるけど今はマイルームのアクセスだね。
---------------------------------------------
【マイルームへのアクセス設定】
全体設定は全プレイヤーに対して適用されます。
変更の際は慎重にお願いいたします。
設定内容は全体設定よりフレンド設定、フレンド設定より個別設定が優先されます。
・全体設定
・フレンド設定
・個別設定
---------------------------------------------
今は個別設定を選択する。
するとコンソールに項目が表示される。
---------------------------------------------
【マイルームへの個別アクセス設定】
「アンズ」
・マイルームへのアクセス許可
不許可
・アクセス許可時間帯の設定(日本標準時)
0時~24時
・マイルームでのプレイヤーへの接触許可
不許可
・マイルームへのアイテムの操作許可
不許可
---------------------------------------------
まずはここの「マイルームへのアクセス許可」を許可に変更してみる。
すると確認メッセージが表示される。
『本当にプレイヤー「アンズ」への「マイルームへのアクセス許可」を許可に変更しますか? なお、マイルームから追い出したい場合は項目を不許可にすれば強制退去することが可能です。』
メッセージの内容が執拗である。
よほど何か問題になる事件でもあったのだろうか?
とりあえず対策も練られているようなのでOKを押す。
すると先ほど存在意義を疑ったドアがガチャリと開く。
「もう、ニミリ!何でこんな時間なのよ!」
あー杏子の声だわ。
こちらも音声は地声設定らしい。
「いやーごめんね晩御飯食べてチュートリアル終わったらこの時間で…」
お互いに顔を見合わせ絶句する。
そりゃもうゲームで推奨している以上顔は変わっているのはわかる。
ほとんど細かな点だけでありもっと変えた方がよかったんじゃと思う所はある。
髪型は私も変えた。
うん金髪のポニーテールとかホラー映画によく出てくるっぽさで杏子らしくていいと思う。
問題はだ…
「なんで杏子は衣装が競泳水着なのよ!?」
「何でニミリはこんなにスタイル盛っちゃたのよ!?」
どうやらお互い姿に突っ込みどころがあったらしい。
しばらく勢いのままにワーワー騒ぎ回り落ち着いたところで床に座り込み話を再開する。
杏子が私のマイルームにアクセスできたのはどうやら昨日のインストール時に招待コードを仕込んでいたためらしい。
後で何の特典を受け取ったのかは吐かすとして今はゲームの話をするとしよう。
「それで杏子は何で競泳水着なんて選んだの?」
「ニミリ、ゲームの中だからアンズと呼んでね。これの理由はねやっぱり水中ホラーとかの場面とかもあるじゃない?それを先読みしての選択よ。」
…何故か深読みしすぎて空回りしてそうな気がするけど気のせいだろうか?
女性の私から見ても現実とスタイル変えてないはずのアンズの水着姿は前は黒のため胸と腰のボディラインがくっきりしており、背中から見たら上の部分は紐のため肩とうなじが目立つし、引き締まったお尻が可愛く思える。
一般的に見ればどう考えても扇情的すぎて狙ってるとしか思えないが、友人の私から見れば明らかにテンションが上がりすぎて正常な感覚が狂ってしまった上での選択をしてしまったのだろうと確信する。
…うん、気のせいにしておこう。
「まあ杏子があるかどうかもわからない水エリアに備えて水着を選択したのはわかったわ。…ところでだけどこのゲームどうだった?」
「ニミリ、ゲームの中だからアンズと呼んでね。それとだけど私まだオープンワールド行ってないよ?」
そっか本名ばれにつながっちゃうもんね気を付けないと。
そして後半部分が意外だった。
真っ先にゲーム突貫しているものと思ったのに私の予想が外れた。
「だってオープンワールドの最長接続時間は一日二時間までですからね、無駄にはできないのですよ。」
なるほど…今までおあずけ状態で待たせてしまっていたわけか。
それはまあ…私がいつ来るかといじいじともだえながら待っていた事だろう…。
「すいません長らくお待たせしてしまいました。深くお詫び申し上げます。」
「本当にひどいわ…どれだけ待たされたと思ってるのよ…って嘘、冗談よ。無理に誘ったのこっちなんだから。」
ショートコントはすぐに終わり話はゲームの話に戻る。
「まあ待たせてしまったしとりあえずゲームしよっか?最初は一番下の難易度の「heaven」にアクセスでいいかな?」
「ええ、そうしましょう早速行きましょう。」
目がらんらんと輝いて完全に無邪気な笑顔のアンズ。
そういうのは女性ではなく杏子を狙っている大学の男性陣に向けてあげたほうがいいと思うんだけどな…。
私は立ち上がるとマイルームのコンソールを操作する。
「そういやアンズはマイルームに戻ってからでないとオープンワールドに行けないのでは?」
「あら、ニミリ大丈夫ですよ。マイルームの同室内にいるプレイヤーは同行可能なのですよ。」
さすが先に待たせてしまっただけあって調べる時間はいっぱいあったのだろう。
非常に詳しくて頼りになる反面ここまで待たせやがってと怒られている気がして後ろめたい。
私はコンソールを操作して「ワールドアクセス」を選択する。
---------------------------------------------
【ワールドアクセス】
・「heaven」
channel1 - 満員
channel2 - 満員
channel3 - 満員
channel4 - 混雑
channel5 - 満員
channel6 - 混雑
・「veryeasy」
channel1 - 快適
・「easy」
channel1 - 快適
・「normal」
channel1 - 快適
・「hard」
channel1 - 快適
・「veryhard」
channel1 - 快適
---------------------------------------------
さすが難易度が天国なだけあって大人気のようである。
まあサービス初日だしこの偏りは当たり前なのかな?
「アンズ。ほとんど満員だから空いてる所に行くね。」
「はい、いつでもいいですよ。」
私は「「heaven」channel4 - 混雑」を選択しアクセスボタンを押す。
するとアンズの目の前にメッセージが表示され、何かを迷いなく選択する。
きっと同意を求めるようなメッセージだったのであろう。
そして私達はヒュンという音と共にオープンワールドへと転送されるのであった。
ここまで書いてまだゲーム本編が始まっていないという…。
本当に展開が下手で申し訳ありません。
そしてこの場を借りましてブックマークへの登録及び過分な評価をいただき大変ありがとうございます。
御礼申し上げます。
今朝気づいてフリーズした後で評価が過大すぎてがくがく震えています。