橋本愛はしもとあい
女優
連続テレビ小説 あまちゃん(2013)
足立ユイ役
インタビュー
東北・北三陸の小さな町を舞台に、ヒロインの天野アキ(能年玲奈、現のん)が祖母に憧れて海女を目指し、やがて地元のアイドルになっていく物語。私が演じたのは、アキの高校の同級生で、ローカルアイドル「潮騒のメモリーズ」を一緒に結成するユイちゃんでした。
役が決まったときは、それほど出番が多くないと思い込んでいて、伸びやかにやれるかなと楽にとらえていたんです。でも演じるうちに、思ったよりもユイちゃんの役割が大きいことに気づいて、それからは役の重要さに震えていました(笑)。
当時の私はお仕事への意識も、役への向き合い方も今とは全然違っていました。丸裸のまま、動物的に演じていたような感じだったので、振り返ると「よくやれたな」と思います。恥ずかしいですね。どうお芝居していいかも分からない中で演じていたので、どのシーンも難しかったですが、気合いで乗り切っていたのを覚えています。
なかでも苦労したのが、ユイちゃんの笑顔の場面。アイドルを夢見る女の子らしく、作り笑顔で周囲に愛想を振りまくシーンが多かったんですよ。でも私自身は愛想を振りまくのが苦手なタイプなので「どうやったらいいの? うまく笑えてるかな?」といつも気になっていました。だからというワケではないのですが、ユイちゃんが途中でヤンキーになったところは、楽しく演じられました。「こっちのほうが楽だな」って(笑)。
ずっと変わらず周りの人に勇気を与え続けてくれるアキちゃんに対し、ユイちゃんは変わり続けることで人の心を打つ子でした。当初は地元でも有名な美少女として描かれていましたが、アイドルを夢見て上京しようとするも挫折。母親の失踪や父親の介護を抱え、ヤンキーになって荒れた生活を送ったりもします。状況がコロコロ変わり、逆境に立たされるユイちゃんを演じるのは難しかったけれど、その分、本当に楽しかったです。
橋本愛はしもとあい
女優
1996年、熊本県出身。主な出演作品に、ドラマ『同期のサクラ』『パレートの誤算〜ケースワーカー殺人事件』『35歳の少女』、映画『リトル・フォレスト』シリーズ『PARKSパークス』『ここは退屈迎えに来て』『私をくいとめて』など。NHKでは連続テレビ小説『あまちゃん』大河ドラマ『西郷どん』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『長閑の庭』などに出演している。