自分の純度を高めること。
家と仕事を手放して、車で日本を巡っている女性A様が熱海に来た。絵を描いたり占いをしながら、流れるままに移動をしている。何も予定がない日々は新鮮で、自分の中にある生命力に気付かされる。だけど、自由になりたくて旅をはじめたのに、お金の不安や焦りが追いかけて来て、ちょっとくらい稼がなきゃとか、もっと色々なものを見なきゃとか考えてしまう。旅はしたいけど、忙しく生きたい訳じゃない。だけど、いつも頭の中に小石がジャラジャラしている感覚があって、心の底から楽しむことができていない。A様は、そのようなことを話した。
A様は続けた。お金がない訳じゃないのに、お金がなくなることが不安で、スナックでバイトをした。条件はよかったが、店長の男性からセクハラを受け、毎日「やらせろ」と迫られた。住み込み先も与えられたが、店長と同じ部屋で眠らなければならなかった。面接を受けた時、どことなく嫌な感じはあった。だけど、条件の良さに負けてしまった。自分の浅はかさが嫌になる。A様は、このようなことと、ここには書けないようなことを、笑いながら話した。自分の辛さや苦しみを誤魔化すような、辛い笑いだった。本当は泣きたいのではないかと思った。
その後、A様は家に来た。家に来た瞬間「うわあ」と言い、しばらく経った後に涙を流した。そして「私みたいな人いますか?突然泣く女」と言った。この時の笑顔は、さっきまでの苦しい笑顔とは違う、綺麗で、透明な笑顔だった。戦い続けた人間が、戦うことをやめた笑顔、戦わなくて済むことを知った時の笑顔に見えた。そして「本当は嫌だったんだな」と言った。A様は、苦しいことがあっても、笑うことで乗り越えてきた。出来事をネタ化することで平気な振りをしていたが、本当は嫌だったと気付き、悪いことをしてしまったと自分の体に謝った。
ランプの炎を眺めながら、A様は「間違ったものを求めていたのかな」と言った。そして「こういう時間が欲しかったんだな」と言って、涙を流した。動き続けて、頭は忙しく、常に興奮状態にあり、静けさを感じる時間がなかった。スナックで起きた出来事の数々を、A様はどのように受け入れたらいいのかわからなかった。アクシデントだと思えばいいのかなと聞かれたが、私は何も答えなかった。A様は「まさか、この年になってこんなことが起こるなんて」と言った。再び、苦しい笑いに戻っていた。本当は年齢なんて関係ないことを知っているのに、歳を取っているように見せる方が楽だから、年齢を武器にして、自分を守って、自分を誤魔化して、自分を濁らせる。その濁りに惹きつけられて、醜悪な人々が寄ってくるように思った。
笑える出来事と、笑えない出来事がある。笑えない出来事を笑うと、自分の体を傷つける。明るいのだが、脆くなる。旅の日々も、旅とは無縁の日々も、大事なことは変わらないと思う。静と動のバランスを取ること。条件に惑わされず、人柄を良く見ること。注意深くあること。呼吸に意識を向けること。自分の純度を高めること。自分の嫌いを誤魔化すと、自分の好きもわからなくなる。直感が「そっちじゃない!」と言った声を、打ち消さない。ちゃんと聞く。直感が「そっちだ!」と言った声には、怖くても従う。嫌な目に遭う怖さと、やりたいことをやる時の怖さは、質が違う。A様から「坂爪さんは、これからも旅の日々を続けるのですか」と聞かれた。私は、前提が違うなと思った。飽きたらやめればいいことと、死ぬまでやりたいことがある。静と動のバランスを取る。その、精度を、純度を、高めたいだけなのだと思う。
坂爪さん
突然の申し出にも関わらず、温かく出迎えてくださり、ありがとうございました。
坂爪さんは、立ち姿から住まいから持ち物から態度まで、とにかく潔い。ずっと、茶道や武道のような「道」を感じていました。
余計なことは言わないし、言葉を反応で出さない。そのことも学びになりました。
その清らかさ潔さに、これまでの体験や今の混乱や、静と動のバランスの乱れを整えてもらったと実感しています。
温かい手で手当てしてくれたおかげで、安心して眠ることができました。
海に連れてってくれたこと、重たいスーツケースを終始引っ張ってくれたこと、1人でずんずん海に入って水浴びする豪快さ。
かと思えば、時折屈託のない笑顔をこぼす。
魅力的な少年のようでした。
改めて、記憶に残る夏休みをありがとうございました。
忘れ物のこともありますが、一生覚えていることでしょう。
お互い、ますます楽しい人生を送りましょうね。
ありがとうございました!
おおまかな予定
8月10日(土)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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