今から500年近く前、1人の背の高いアフリカ人男性が日本に到着した。イエズス会の宣教師に同行していた彼は、当時、最も勢いのあった戦国武将・織田信長に拝謁。信長に気に入られ、家臣に取り立てられた。弥助(やすけ)として知られるこの男性は、武士の地位を手に入れた最初の外国人となった。その数奇な人生は、ハリウッドで映画化も進むなど、多くの人を引きつけている。

ドキュメンタリー『Black Samurai ~信長に仕えたアフリカン侍・弥助~』5月15日、BSプレミアムで放送 (C)NHK
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きょう15日午後9時からは、NHK・BSプレミアムでドキュメンタリー『Black Samurai ~信長に仕えたアフリカン侍・弥助~』(後9:00~10:30)が放送。ハリウッド映画に先駆けて、世界190ヶ国以上で利用されている世界最大級の動画配信サービス「Netflix」では、アニメシリーズ『Yasuke -ヤスケ-』を製作。4月29日より配信開始となり、話題を呼んでいる。
弥助がやって来た当時の日本は、各地で戦国武将たちよる権力争い・領国侵攻が日々のように行われていた。そんな中、最も勢いのあった戦国武将・織田信長の家臣となった弥助。2人の主従関係は「本能寺の変」によりわずか1年3ヶ月で終わったとされるが、その前後の弥助の足取りはこれまで謎に包まれている。
しかし近年の研究により、アフリカからアジア、日本へ到る弥助の人生が次第に明らかになりつつある。『Black Samurai ~信長に仕えたアフリカン侍・弥助~』では、弥助の研究者として知られる歴史家のロックリー・トーマス氏が登場。イエズス会文書なども取り寄せ、弥助の生きざまに迫っていく。
一方、Netflixのアニメシリーズ『Yasuke -ヤスケ-』は、全6話構成のファンタジー時代劇。戦国時代の日本を舞台に、一度は隠居の身となったアフリカ出身の侍が、邪悪な力から不思議な少女を守るため、刀と戦(いくさ) の生活に戻ることを余儀なくされる、というストーリー。
原案・プロデューサー・監督は、アフリカ系アメリカ人のラション・トーマス (『キャノン・バスターズ』)、アニメーション制作は「MAPPA」(『ドロヘドロ』、『進撃の巨人 The Final Season』、『呪術廻戦』)、キャラクターデザインを務める
小池健(『LUPIN the Third -峰不二子という女- 』)などのクリエイティブチームにより、アフリカ人初の侍となった男の物語を、国境や文化、言語の壁を超越した、新たな形でよみがえらせた。
ラション・トーマス監督は「ヤスケは日本史に登場する魅力的な謎めいた人物で、今日まで長い間メディアの関心を引きつけてきました。日本の歴史におけるヤスケの役割について、私が初めて知ったのはおよそ10年前。来栖良夫の児童書『くろ助』に描かれた絵に、好奇心を刺激されたのがきっかけです」と、弥助との出会いを振り返る。
続けて「やがて、彼がただの架空の人物ではなく実在していたと知りました。冒険物語を描く上でまさに素晴らしい題材だったのです。この歴史的人物を新たによみがえらせた私達の作品を、長年の弥助ファン、そして初めて興味を持つ人々にも楽しんでいただきたいと、心から願っています」と、語っている。
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