パリから届く五輪の国際映像を見ながら、改めて観客席の力を実感した。　体操男子団体は最終種目の鉄棒で日本が中国を逆転する劇的な展開だった。観客席の関心が結末へ向かって一気に加速する中で、優勝に手をかけていた中国選手が突然、2度も落下。一転して…

■記者コラム　「多事奏論」　編集委員・岡崎明子　テレビから「お盆なので、帰省して親孝行します」というインタビューが流れる時期が今年もやってきた。　考えてみれば、お盆とは不思議な言葉だ。ルーツは仏教の「盂蘭盆会（うらぼんえ）」で、餓鬼道に落ち…

広島と長崎で、原爆が投下された日時に合わせ毎年開かれる式典は、犠牲者を悼みつつ惨禍を思い起こし、再び核兵器が使われてはならないという決意を新たにする場だ。　二つの被爆地は思いを共有してもらおうと、広く海外の関係者に招待状を送ってきた。原爆を…

タイに真の民主政治は根付くのか。深い疑念を抱かせる事態である。　タイの憲法裁判所が、下院で最大勢力の革新系野党・前進党の解党を命じた。２０２３年の総選挙で、王室に対する不敬罪の改正を公約に掲げたことが、立憲君主制の転覆をはかる憲法違反にあた…

ペリー来航の翌年、１８５４年のことだ。伊豆・下田沖に、プチャーチン率いるロシアの軍艦ディアナ号が通商を求めて停泊していた。午前９時ごろらしい。船が突然はげしく揺れた。逆立つ波が、船をもてあそびながら、陸へ押し寄せる。南海トラフ沿いを震源とす…