高級腕時計を所有者から預かり、貸し出すシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社が1月に突如解散した件で、警視庁は業務上横領容疑で元代表の男を指名手配した。詐欺容疑も視野に入れ、組織性の有無についても捜査している。男はテレビ番組で芸能人と共演、サービスを紹介していた。この事件にかぎらず、芸能人が広告塔になったり、著名人の写真や名前が悪用されたりする詐欺などの手口も横行している。利用者がだまされてしまう心理とは―。
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運営会社の「ネオリバース」は1月31日に解散を発表。元代表、小湊敬済こと福原敬済容疑者(42)は同日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに向け成田空港から出国した。直前にキャンペーンを実施し、多くの時計を集めていた。
警視庁は5日までに27件の被害届を受理しており、腕時計約70本(時価1億円相当)が売却された。6日時点で866本(計18億4000万円相当)の腕時計が未返却となっている。
トケマッチは腕時計の査定額に応じた使用料を所有者に毎月支払い、利用者からレンタル料を受け取る仕組みだった。警視庁は業務上横領容疑で捜査しているが、今後は会社の財務状況や返済の意思の有無を調べ、組織的に腕時計をだまし取った詐欺容疑も視野に入れている。