最低賃金、過去最大44円上げ 中央審目安5円超え 地方審が答申

井上怜
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 秋田県内の最低賃金について、秋田地方最低賃金審議会(長岐和行会長)は7日、現行の時給853円を44円引き上げ、897円とするよう秋田労働局長に答申した。国の目安を5円上回る。引き上げられれば20年連続で、昨年の31円を超えて過去最大の上げ幅となる。異議申し出の期間を経て、10月1日に発効する予定。

 国の中央最低賃金審議会は7月28日、最低賃金の上げ幅の目安を示した。全国加重平均は41円で、秋田など13県は3段階で最も低い39円だった。

 これを受け、秋田の審議会が議論したが、労使の意見は一致せず、中立の公益委員が「地域間格差による若年者の流出に歯止めをかけるためには、目安に上乗せした金額にすべきだ」などとして44円引き上げの案を示した。採決の結果、会長をのぞく賛成9人(公益委員4人、労働者委員5人)、反対4人(いずれも使用者委員)で決定した。

 答申について、県労働組合総連合の越後屋建一議長は「秋田の実情を捉えて格差を縮める考え方を示した」と評価しつつ、「ワーキングプアの脱却にはまだ遠い」と指摘した。県商工会議所連合会の辻良之会長は「中小企業の経営に大きな打撃となりかねない。政府には賃上げに向けた環境整備を後押ししてほしい」とした上で、適用時期を来年春にするよう求めるコメントを出した。(井上怜)

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