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大学は誰でも行ける場所ではない

今日はネガティブな「学歴コンプレックス」について書く。内容的にはとても醜いことだ。そのような記事を読みたくない人はぜひすぐに画面を閉じてほしい。










私は経済的事情で大学進学をあきらめ、短大に行った。

当時でも他の子は受験勉強のためなんらかの塾に行っていたが、私は旺文社ラジオ講座のみで、塾にも行かなかった。いや、行くお金などなかった。

ただ幸いだったのが、当時は短大卒の方が一部上場企業などの良い企業に入りやすかったことだ。おかげで私も就職には苦労しなかった。

それに、親が「高卒ではもったいない」と言い、金銭的にかなり無理をしてまで私を短大に行かせてくれた。その事には感謝しかない。

しかし、できることなら大学に行きたかった。

そのことを痛感したのは、地元で育児情報誌を作るママサークルに入った時だった。

自費出版ではなく広告も集めて商業誌と同じように書店で売る、素人が作る情報誌としてはかなりレベルの高いものだった。だからその情報誌の売り上げはよく、毎年出版するほど人気だった。

そのようなレベルの高い情報誌を作れる人にはやはり大卒が多かった。そんな中、短大卒と聞いただけで眉をしかめたり、人を馬鹿にした態度をとる人が意外と多かったことにショックを受けた。そんな差別は大卒が多い会社でも受けたことはなかったからだ。

それも偏差値的にはFランと呼ばれる大学の人にまで馬鹿にされたのが本当に悔しかった。その人の親には単にお金があっただけ。そうわかっていても悔しかった。

それでも3年あまりその情報誌に関わり続けられたのは、おそらく高飛車な大卒のご婦人方に負けない何かがあったからに違いないと自負している。でなければとっくに追い出されていただろう。

また、駐在員の妻として海外に行った時も大卒にコケにされた。特に、大学を卒業、あるいは中退して海外の「現地スタッフ」として職を転々としている女性にこちらの学歴を鼻で嗤う人が多かった。

そんなことを言われる筋合いはなかったので、毅然とした態度を取っていた。

しかしながら、私自身に「大学に行きたかったけどいけなかった」というじくじたる思いがあったため、妙なところでコンプレックスを刺激されてしまった。どうしようもなくむかむかする気持ちを持て余したことが何度あったことか。

さらに、子供が大きくなり再就職しようと思ったのはアラフォーの頃だったが、希望する職種の学歴条件に「大卒以上」が多くて驚いた。

当時は既に短大卒では就職が難しい時代になっていたからであろうが、まさか短大卒で職種が狭められるとは思っていなかったので、ここでも大卒だったらなあ……と思ったものだ。

だから、子供たちにはなんとしても大学に行ってほしかった。そしてそのために必要なら塾に行かせよう。そう思ったのだ。

その時から、私にとって子どもたちにお金の心配をさせることなく大学に進ませることは夢となった。学歴で嫌な思いをしてきた私と同じ思いはさせない。そう思ったのだ。

幸い、夫はよく働く人でぜいたくもしない。また、自分が苦学生だったこともあり、奨学金を借りることなく大学を卒業させてやろうという強い気持ちを持っていた。

そのおかげで、私たちは芸術系や私立の医療系以外ならどこでも、国公立なら大学院もOKという条件のもと、子供たちを大学・大学院に行かせ、昨年春無事に自立させることができたのだ。

また、留年も中退もせずに卒業した子どもたちが、生活のためのアルバイトをかけもちしていて中々勉強ができず、留年したりやめてしまったりした同級生を見て、「私たちは大学(大学院)を4年(6年)で無事に卒業できた事は当たり前ではない。恵まれている」と私たちに話してくれた。その言葉を聞き、どれほど私たち夫婦が嬉しかったことか。

親の夢を子供に託すことが時に子どもにとって重い枷になることは重々承知だ。しかし、短大を卒業させてもらった私ですらそう思うのだから、大学に行きたかったけど高卒で働き始めた人は、私よりももっと強くその思いを抱いている事だろう。

だからこそ、大学を卒業できた人には強く言いたい。

せっかく高いお金を払って、あるいは苦学していった大学を卒業したこと、いや、卒業できた事を決して無駄だと思わないでほしい。あなたが知らないだけで、学歴格差は大きいのだ。大学を卒業したことのアドバンテージは計り知れない。

先日もうちの子が言っていた。「高卒で8年勤めていた人と自分とほとんど変わらない給料だ。大卒がこれほど優遇されているとは思わなかった」と。

その事に気づかず大学なんて意味がない……と言うなんて、罰当たりにもほどがある。そんなに無駄だと思うなら、何故大学に行ったのか。お金がもったいない。高校を卒業してさっさと働けばよかったではないか。

また、大学を卒業後、せっかく学歴的に優遇されて入った会社が特にブラックでもないにもかかわらず、「自分がやりたい仕事ではなかった」程度のねぼけた理由で、せっかく入った会社を辞めるような人間を私は強く軽蔑する。その会社に入りたくても入れなかった人もいるのだから。

親の立場になって痛感したことだが、子供を大学に行かせるにはものすごくお金がかかる。誰もが簡単に行ける場所ではないということを、若い人はもっと肝に銘じてほしい。

そして、大学を出たという計り知れないアドバンテージを大いに利用し、甘い考えを捨てて大卒以上にしかできない事にもっと真剣に取り組むべきだ。でなければ、大学に行った意味がなくなってしまう。

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コメント

楓
nーts様 ありがとうございます。金銭的に可能な限り、子どもの希望をかなえたいですよね。それには仰る通り親が口を出さないことが大事ですね。その点においては私もかなり気をつけてはいましたが、多少口出ししたこともあり反省しています。
atr
興味深い記事でした。
誤字報告、しくじ→じくじ
楓
atr様 ありがとうございました。(*´▽`*)
のぶくん
僕は、経済的理由で大学進学断念して新聞記者を夢を諦めた発達障害当事者で一般雇用で働く就職氷河期世代に高卒正社員です。
高校生の当時は、中国地方の田舎町に住んでいて新聞記者になるため関関同立・南山や西南学院等の東海地方以西にある難関私大受験合格のため勉強していましたが予備校へ行かして貰えなかったので上記の難関私大どころか滑り止めで受験しょうとした成蹊や武蔵・日東駒専と神奈川や立正等の滑り止め大学すら不合格になりました。
子供がいたら、中高一貫の学校に通わして大学進学を無事に達成させてあげたいです。
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子育てが終わってからライターを始めました。それからだいぶ経ちアラ環になりましたが、まだライターを廃業していません(笑)
大学は誰でも行ける場所ではない|楓
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