洗濯をなんとか終えて部屋に戻るとルイズは、まだ眠っていた。
(・・・・・マヌケな顔だな)
戦場で生きていたサイトと違いルイズは、なんの警戒もなくスヤスヤと眠っていた。そんなルイズを見て多少の殺意が生まれたが我慢して肩を揺さぶり呼びかけた。
「ルイズ、朝だぞ。とっとと起きろ」
「ふぁ・・・・アンタ誰?」
「おい!人を勝手に呼び出しといて忘れんじゃねーよ!」
寝ぼけているルイズにサイトはツッコミをいれた。ルイズも目の前の男を見て昨日、召喚した使い魔だということを思い出した。
「・・・・夢じゃなかったのね」
「どういう意味じゃコラ」
自分が召喚した使い魔は平民だったのがよっぽどショックだったのかルイズは肩を落としそれを見たサイトは、軽くキレた。
「で、どうすんだ?次はなにすればいいんだ?」
ルイズは、タンスの中にある制服を取り出すよう命令した。サイトも指示された通りタンスの中から制服を取り出しルイズに渡した。しかし、服はサイトの手元に返し立ち上がった。
「何してんのよ、早く着替えさせなさい」
「・・・・・何してんだろオレ」
深いため息を吐きながらサイトは、ネグリジェ姿のルイズを着替えさせた。さすがに学校の準備はルイズが自分でやっており、その間にサイトはショットガンとハンドガンなどの装備を確認していた。準備を終えて部屋から出るとそこには真っ赤な髪と服からチラッと見える胸が特徴的な褐色肌の少女がいた。
「あら、ルイズじゃない」
「キュルケじゃない」
ルイズはキュルケと呼ばれる少女を見ると不機嫌そうな顔になった。
(へー、なかなかいい体をしてる女だな)
サイトは、そう思いながらルイズをチラッと見た。
(反応的にルイズとタメなのか?ルイズの見た目はだいたい15くらいだから・・・・・・・こいつ15でこんなエロい体してんのか!?)
キュルケのスタイルの良さは、少なくとも少女というより女性と呼べる体だった。サイトの世界では滅多に見れないタイプの女性だったので驚愕しているとキュルケが近づいて来た。
「ふーん。平民を使い魔にしたから少し揶揄うつもりだったけど、平民の割には中々情熱的な顔をしてるじゃないの。けど、私のフレイムほどじゃーないわね!」
そう言って自慢し始めた。
キュルケの足下には尻尾の先が燃えているでっかいトカゲがいたのだ。
「うおっ!なんだこのでっけートカゲ!?」
「なにそれ?サラマンダー?」
ルイズは不服そうな顔で訊くと。
「そうよ、良いでしょ?しかも火山山脈にしか住んでないレア物よ。あぁ、でも平民を召喚した【ゼロのルイズ】には負けるかもね」
「なにキュルケ、そんなに私に喧嘩を売りたいわけ?」
「あら、誉めてるだけよ?」
2人はバチバチと睨み合っている中、サイトはサラマンダーを見て。
「にしてもでけーな。それにうまそうだ」
そう言った。それを聞いたルイズとキュルケはギョッとした顔でサイトを見た。
「あ、アンタ、なに言ってんのよ!?」
「ん?いや、でかいし食ったらうまそうだし腹持ちも良さそうだなって思って」
「サラマンダーが食べれるわけないでしょ!!それ以前に人の使い魔を食べようとしないでよ!!アンタどういう生活してたのよ!?」
「アハハハハハッ!あなた、面白いわね」
サイトの発言にルイズは激怒しキュルケは、大笑いした。
「名前を教えてくれるかしら?」
「平賀才人だ」
「ヒラガ・サイト。変な名前ね。でも、気に入ったわ。私は、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケでいいわ」
キュルケは「また会いましょ」と、言ってフレイムを連れてその場を離れた。ちなみに恥をかかせたという理由でサイトの今日の朝食は無しになったが戦場では、絶食も当たり前だったので全然罰になっていなかったとか。
朝食を終えたルイズはサイトを連れて教室に来ていた。教室には大勢の男女が予習をしていたり友人と雑談などをしていた。
(これ、確かコミックで見たことがあるな。コミックだけの話だと思ってたけど、まさか異世界でこの風景を見れるなんて・・・・チッ、平和ボケしたクソどもが)
サイトは、嫉妬に近いものを感じながらルイズの席の近くに腰を下ろした。
「なぁ、ルイズ。ここにいる生物は、全部使い魔ってやつなのか?」
「・・・・・そうよ。人間の使い魔はアンタだけよ」
そう言ってルイズは大きなため息を吐いた。
「どうも新二年生の皆さん。私はミス・シュヴルーズです。皆さん其々使い魔を召喚できて良かったと思います。一人ばかり個性的な使い魔がいらっしゃいますが」
しばらくすると太った女性が教室に入り教壇に立った。おそらく教師なのだろう。生徒達が召喚に成功しているのを見て無事、進級したことに微笑んでいると。
「おいゼロのルイズ!召喚できなかったからって平民やとってんじゃないぞ!」
と、太った少年がいちゃもんをつけて来た。教室にいる生徒達も爆笑した。
「はぁ⁉ちゃんと召喚したわよ!」
「いくらでその平民・・・・いや、乞食を雇ったんだ。ゼロのルイズ!」
「黙りなさい!この風邪っぴきのマルコルヌ!」
「誰が風邪っぴきだ!僕は風のマルコルヌだ!」
(くっだんね)
ルイズと太った少年のくだらないケンカをよそにサイトはどうしたら元の世界に帰れるか考えていると。
「おやめなさい!ミス・ヴァリエールもそれ以上騒がしくするなら彼と同じように口に粘土を突っ込みますよ!」
太った少年の口に粘土が突っ込まれていた。そのおかげなのかルイズも大人しくなりルイズを笑っていた生徒達も黙った。
「ゴホン、それでは授業を始めます、魔法には【火】【水】【風】【土】に失われた系統である【虚無】を含め5つあるのは皆さんも既にわかっていることでしょう」
「・・・・・・・」
「特に土は私達の生活に身近な存在と言えるでしょう。あ、私が土系統のトライアングルメイジだからと言うわけではありませんよ?」
「・・・・・・・」
「土の魔法に置いてもっとも基本的で象徴的な魔法はやはり【錬金】でしょう」
太った女性は呪文を唱え錬金をすると石は姿を変わった。それを見て生徒たちもサイトも驚愕した。
「も、もしかしてゴールドですか!?」
「違いますよ、これは銅と亜鉛の合金、真鍮です」
金だと思ったのかキュルケは一瞬、興味を持ったが物が分かるとすぐに興味を失った。
「ゴールドを錬金するにはスクウェアクラスのメイジでなくてはなりません。私はトライアングルなので真鍮ですね」
「ルイズ、さっきからアイツは何を言ってんだ?」
「メイジの実力のことよ。メイジは実力によってはいくつかの系統を累乗させたり合わせたり出来るの。例えば一つしか使えないなら【ドット】、二つなら【ライン】ってね」
「ふーん。興味ねーや」
「んなっ」
自分に訊いておいて興味ない発言にルイズは怒りを覚えそのまま怒りそうになると。
「講義中に使い魔とお話とは随分余裕ですね。ミス・ヴァリエール」
「す、すいません」
アンタのせいで怒られたじゃないのと、言いたげにサイトを睨みつけたがサイトはどこ吹く風だった。
「そんなに余裕があるのでしたらぜひ前で実演してもらいましょうか」
教師がそう言うと教室にいた人間全員が慌て始めた。キュルケも慌てて立ち上がると。
「ま、まってください先生!彼女の話は他の先生から聞いてないんですか!?」
と、言った。
「聞いていますよ?大変素晴らしい成績を修めていると。さぁ、前に来なさいミス・ヴァリエール」
「分かりました」
ルイズはそう言って教壇に向かった。すると突然、生徒は席の下に隠れた。
「?」
「サイト、こっちに隠れなさい」
「あ?」
キュルケは、サイトを呼ぶとサイトは首を傾げながらキュルケの席に隠れた。
「どうしたんだ、そんな慌てて?」
「まぁ見てなさい。けど、ある意味ラッキーだわ。これで今日の授業の休講は決定ね」
「?」
「サイト。何であの子がゼロって呼ばれるか分かる?」
「知らねーし興味もねー」
「あの子はね、勉強は出来るし誰よりも努力しているのよ。試験は、いつも首席なのだけど・・・・あの子には重要なものが欠けていたのよ」
「重要なもの?」
「そろそろ」
背が低い青髪の少女がそう言うと。
ドゴーン!!
「!?なんだ!?」
爆音と衝撃波が襲いかかった。サイトは襲撃と思い思わずハンドガン(M1911)を抜き構えた。席から顔を出して確認すると。教室はメチャクチャになっていた。
「けほ!」
咳き込むルイズと眼を回して気絶している教師の姿があった。
「少し、失敗したわね」
『何が少しだゼロのルイズ!』
ルイズの一言に生徒達は、ブチギレた。
「魔法に関する知識は私達よりもあるわ。でも実技となるとなんの系統もダメ。なにやらせても爆発するのよ。んで、成功確率はゼロ、付いたあだ名はゼロのルイズよ」