「マジ!?」検察に衝撃が走った 「裁判所との全面戦争になる」

 事件捜査に関わった現役検事が、特別公務員暴行陵虐罪で刑事裁判にかけられる異例の事態となった。大阪高裁が8日、田渕大輔検事(52)を同罪で審判に付す決定を出すと、法務省や検察庁に衝撃が走った。

検事「取り調べはインタビューではない」

 「マジ!?」

 ある検察幹部は、動揺を隠せなかった。「褒められた行為ではない。ただ、刑事裁判にかけるべき問題なのか……」

 法務省幹部の一人は「今後の裁判次第で、田渕検事は職を失って『犯罪者』となってしまうかもしれない。取り調べが不適切であることと、検事を『犯罪者』とすることは別の話として考えるべきだ」と話した。

 今回の高裁決定によると、田渕検事は被疑者を取り調べた際、約50分間にわたり一方的に責め続けた。うち15分間は「検察なめんなよ」などと大声で怒鳴ったという。

 捜査経験のある中堅検事は「捜査の見立てと客観証拠が矛盾したら、取り調べで追及するのはあるべきこと」と指摘しつつ、「こうした取り調べが検察全般で行われているわけではない」とも語った。

 今回の決定で、捜査現場に影響が出るのか。ある検察幹部は「取り調べはインタビューではない。その中で相手をカチンとさせてしまったら刑事被告人になりうる、という決定だ。取り調べの現場は必ず萎縮し、捜査権の行使に影響が出るかもしれない」と強調した。

 現役検事や検事出身の弁護士の間では、田渕検事一人に責任を押しつけるべきではないとする声も出る。「当時の上司も全員辞職すべきだ」との指摘もあった。

 田渕検事の刑事裁判では、裁判所が選んだ弁護士が検察官役となる。東京地検特捜部に在籍経験のある弁護士は、今後の裁判の行方をこう推測した。

 「検察と裁判所の全面戦争になるだろう」

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