夏休み、子どもの勉強を見る機会が増えて、もう少し計算力をUPさせたいと願う親も多いだろう。算数の成績をあげるためにも、その基本となる「計算力」と「計算ミスを減らす」ということは絶対的に必要なことだ。そこで今回、東大卒プロ算数講師で、昨年最も売れた書籍『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の著者である小杉拓也氏に、短期間で「計算力」を“爆上げ”するためのコツと、計算ミスを減らす方法を聞いた。
計算力の向上のために「一番やってはいけないこと」
小学生が短期間で計算力を伸ばすために、まず、「最もすべきではないこと」からお話ししましょう。この点から述べることで、「優先的にすべきこと」が見えてくるからです。
最も避けたいのは、「お子さんのレベルに合っていない、難しすぎる計算問題集に取り組ませること」です。「難易度が高い計算を解けるようになってほしい」という思いはわかりますが、お子さんにとって難しすぎる問題集に取り組ませるのは、結果的には計算力の向上につながりにくいです。
計算の問題集やドリルは、それを1冊仕上げるのに、ある程度の時間がかかります。それゆえ、限られた時間で計算力を伸ばすには「どの計算問題集によって、お子さんの計算力を一番伸ばせるか」という「問題集の選択」が非常に大事です。
難しすぎる計算問題集を、お子さんに解いてもらう場合、その難しさから、1冊やり切るのに相当の時間がかかることが予想されます。では、相当の時間をかけたから、計算力が伸びるかというと、なかなか伸びにくいケースがほとんどです。お子さんにとって難しすぎる(計算レベルが合っていない)ため、なかなか本人の実力が身についていかないからです。つまり、「時間の浪費」につながることが多いのです。
また、難易度が高い計算問題集に取り組んでいるのに、計算力が伸びていかないので、お子さんのモチベーションを下げるリスクもあります。
つまり、「難しいので時間がかかる→時間をかけて頑張っているのに計算力が伸びない→本人のやる気が下がる」という悪循環を生んでしまうことさえあるのです。