スーパーチャージャーで充電中のテスラ車。
Justin Sullivan/Getty Images
- JDパワーの調査によると、テスラは新たなオーナーの心をつかむのに苦労しているという。
- 従来の自動車メーカーは、新たな購入者層に電気自動車を提供している。
- アメリカの電気自動車市場におけるテスラの牙城は崩れ始めている。
JDパワー(JD Power)の新しい調査によると、テスラ(Tesla)は電気自動車(EV)の新規購入者に好印象を与えるのが難しいようだ。
JDパワーが毎年実施している所有者満足度調査によると、従来の自動車メーカーが製造した電気自動車の所有者たちは、テスラの所有者たちよりも自分の車とのつながりを感じていると回答している。JDパワーによると、イーロン・マスク(Elon Musk)の自動車会社は、最も忠実な顧客の間では人気を維持しているが、新規購入者の間では精彩を欠いている。
これはテスラにとっては悪いニュースだ。特に、この1年間のEV需要の減速が、EVのリーダーであるテスラの販売に影響を及ぼし始めている。テスラは2四半期連続で売上高が減少しており、同社の数年にわたる成長を覆すものとなっている。
それに加えて、価格で競合他社を凌ぐというテスラの戦略は、もはや成長を続けるのには十分ではない。その結果、同社の2024年上半期の業績は打撃を受け、自動車関連以外の収益が最も成長している。
「EVを購入する平均的な消費者は、テスラの主力製品から離れつつあり、従来の自動車メーカーは平均的な消費者のニーズによりうまく対応している」とJDパワーの自動車ベンチマーク担当のシニアディレクター、フランク・ハンリー(Frank Hanley)は話している。
「従来の自動車メーカーは車内収納の改善や、より上質な素材、使い勝手の良い機能など、顧客が求めるものに沿った改良車を発表している」と彼はプレスリリースの中で述べている。
テスラの楽な旅は終わりを告げた
テスラは、最初はテクノロジーに精通した裕福なアーリーアダプターの特定のグループでその名を知られるようになった。
テスラの中でも特に熱心なファンには、スラングで「テスラブロ(Tesla bro)」というニックネームが付けられているほどだ。彼らはテスラのユーザーエクスペリエンスやハイテクな装備に魅了されており、使いにくい機能や初期の不具合があっても我慢強いという。
しかし、「テスラブロ」ではない人たちは、ガソリン車の体験を模倣した、より実用的なものを求めている。
JDパワーの調査結果は業界の専門家が以前から感じていたことを反映している。それは、市場により多く選択肢が参入してくるにつれて、アメリカの電気自動車市場におけるテスラの支配力が弱まるということだ。
JDパワーのこの調査は、2024年モデルの新車の所有者9万9144人を対象に、購入した日から90日後に実施した。回答は2023年7月から5月にかけて集められたものだ。
コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)によると、2024年第2四半期のアメリカの電気自動車販売台数におけるテスラのシェアは49.7%に低下し、四半期で初めて50%を下回った。1年前のシェアは55%だったという。エクスペリアン(Experian)によると、2020年には80%近くを占めていた。
EV市場が厳しさを増している中ではあるが、従来の自動車メーカーにはチャンスが残されている。
例えば、シボレー(Chevrolet)はブレイザー(Blazer)、エクイノックス(Equinox)、シルバラード(Silverado)などのすでに顧客の信頼を得ている定番車種の電動化バージョンを市場に投入しており、テスラの市場シェアを徐々に奪っている。またフォード(Ford)は、2024年第2四半期の電気自動車の販売台数は61%増加し、2024年に入ってからの販売台数ではテスラに次ぐ2位となっている。
電気自動車について、「オーナーが新車に対して抱く感情的な愛着や興奮の度合いにおいては、長年のリーダーであるテスラよりも従来の自動車メーカーが最近発売した新車が上回っている」と、JDパワーのハンリーは話している。
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