暗算が苦手という方は、ぜひ「インド式計算法」について勉強してみましょう。
いくつかのポイントを掴むだけで簡単に計算ができるようになります。
今回は、インド式計算法の中でも基本的なものを紹介します。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
78×72
まずは、自分自身で答えを出してみましょう。
暗算で計算するのは難しく感じるかもしれませんが、インド式計算法を学べば、誰でもできるようになります。
解説
今回の問題の答えは「5616」です。
ここではインド式計算法を用いた計算方法を紹介します。
インド式計算法は、計算式の条件に合わせてパターン化された計算をする方法であり、今回は以下の条件を満たす計算で利用可能です。
・十の位が同じ(どちらも7)
・一の位の和が10(8+2=10)
計算の手順は次のとおりです。
(カッコ内の計算は、今回の問題の数字を使っています。)
【手順1】
十の位の数とそれより1大きい数を掛け算する。
(7×8=56)
【手順2】
一の位どうしの掛け算をする。
(8×2=16)
【手順3】
手順1、2で出た答えを並べると、元の計算の答えになる。
(56と16なので、答えは5616)
使っている計算は、簡単な九九だけです。
慣れないうちは戸惑うこともあるかもしれませんが、何度か練習すると、暗算でも計算が可能になるはずです。
計算が成り立つ理由
以下では、今回の計算が成り立つ数学的な証明をしています。
知らなくても計算は可能ですが、ここまで知っていると計算ミスもなくなるはずです。
興味がある方は、ぜひ数式で確認をしてみください。
(1) 2つの数の十の位が同じ。
(2) 2つの数の一の位を足すと10になる。
この条件を満たす2つの数を10a+b、10a+cとする。
※a,b,cは一桁の自然数
※b+c=10(一の位の和は10)
このとき
(10a+b)(10a+c)
=100a^2+10ac+10ab+bc
=100a^2+10a(b+c)+bc
=100a^2+100a+bc (※b+c=10を代入した)
=100a(a+1)+bc
よって、
上二桁は「十の位の数と、それより1大きい数の掛け算、a(a+1)」、
下二桁は「元の数の一の位の掛け算、bc」
となっていることがわかります。
まとめ
今回紹介したのは「十の位が同じで、一の位の和が10になる」という二つの数の掛け算です。
限られた条件でしか使えないと思われるかもしれませんが、この条件を満たす計算式は全部で81通りあります。
81通りというのは、九九と同じですね。
小学生のときに苦労して覚えた九九と同じだけの計算が、やり方一つ覚えるだけで簡単にできてしまいます!
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
二桁の掛け算にもう一問挑戦!