Long COVIDは深刻な健康問題として認識されています。最新のNEJMでLong COVIDの新定義が発表されました。3か月以上続く症状、多様な器官系への影響、そして患者の声を尊重した包括的アプローチが特徴です。この定義は、患者ケアの向上、研究の促進、そして社会的認識の拡大を目指しています。 背景: COVID-19パンデミックは当初、主に急性感染症として認識されていたが、その余波として「Long COVID」と呼ばれる慢性的な健康問題が浮上した。米国では約7%の成人と1%以上の子供がLong COVIDを経験しており、世界では6000万人以上が影響を受けていると推定される。既存の定義の不十分さから、国立科学工学医学アカデミー(NASEM)に改善された定義の開発が依頼された。 プロセス: NASEMは、患者の経験と専門家の知見を重視した包括的なプロセスを採用した。フォーカスグループ、質問票、パブリックコメント募集、公開会議とシンポジウムを通じて、幅広い視点を収集し、定義の各側面を検討した。 定義: 1. Long COVIDを感染関連慢性疾患として位置づけ 2. 症状が少なくとも3か月間続くことを要件とする 3. 身体的症状(呼吸困難、疲労感など)、認知機能の低下("ブレインフォグ")、精神的健康の問題(不安、うつなど)を含む 4. 直接的な器官障害(間質性肺疾患など)から複雑な症候群(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群など)まで幅広い状態を含む 5. 無症候性のSARS-CoV-2感染後にも発生する可能性を認識 6. 症状の重症度や経過が個人によって大きく異なることを強調 7. "Long COVID"という用語を採用し、患者コミュニティの声を尊重 比較: NASEM定義は、他の主要な定義(米国CDC、英国NICE、WHO成人・小児など)と比較された。NASEM定義の特徴として、3か月間の症状持続期間要件、公平性に関する明示的な声明、潜在的な重症度と期間の強調、以前のSARS-CoV-2感染の証明を要求しないことなどが挙げられる。 制限: 1. 確定的なバイオマーカーの不在により、診断が主に臨床的判断に基づく 2. 3か月という閾値が早期介入を遅らせる可能性 3. 包括的な定義による偽陽性のリスク 結論: 著者らは、この定義がLong COVIDに関する理解、研究、臨床実践を大きく前進させる可能性があると結論づけている。科学的知見の急速な進展を考慮し、3年以内に定義の再評価を提案している。最終的に、この定義はLong COVID陽性者へのケアを改善し、この複雑な疾患に対する社会的認識と支援を高めることを目指している。著者らは、この定義が患者、医療提供者、研究者、政策立案者の間のコミュニケーションを促進し、より効果的な治療法の開発につながることを期待している。 リンク nejm.org/doi/full/10.10