展開・因数分解は中学校で学習します。
いくつかの「公式」がありますが、実はそれぞれの公式は同じ考え方で成り立っており、因数分解の手順も基本的には同様です。
正しく理解できているか、問題に挑戦してみましょう。
問題
次の式を因数分解しなさい。
x^2+8x+16
因数分解をするためには、「積が16、和が8」になる二つの数を探さなければなりません。
まずは自分自身で答えを出してみましょう。
解説
今回の問題の答えは、「(x+4)^2」です。
どのように考えるのかを順に解説していきます。
因数分解のよくあるパターンの一つが次の公式を利用するものです。
x^2+(a+b)x+ab = (x+a)(x+b)
これを今回の問題に適応すると、
a+b=8
ab=16
(積が16、和が8)
となります。
この条件を満たすaとbを考えます。
「積が16」となる掛け算をすべて書き出してみます。
1×16
2×8
4×4
上記の3パターンのみです。
この中で「和が8」になるのは、「4と4」のときです。
したがって、因数分解をすると
(x+4)(x+4)
となります。
しかし、これを答えとするのは、適切ではありません。
「(x+4)(x+4)」というのは、同じもの(x+4)を二回掛け算する式です。
同じものを複数回掛け算するときは、累乗を用いて表さなければなりません。
以上より、
x^2+8x+16
=(x+4)(x+4)
=(x+4)^2
因数分解の公式として以下のものを始めに紹介しました。
【1】 x^2+(a+b)x+ab = (x+a)(x+b)
しかし今回の問題は、実は次の公式の形になります。
【2】 x^2+2xy+y^2 = (x+y)^2
教科書やテキストなどでは、それぞれ別のものとして紹介されることが多い公式ですが、本質的には式【1】だけで完結しています。
それぞれの意味をきちんと理解していれば、公式を丸暗記する必要はありませんね。
まとめ
答えの形は異なるように見えても、解き方の手順や考え方は同じということがあります。
このようなそれぞれの式の繋がりを意識すると、さらに数学は楽しくなります!
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
因数分解の問題にもう一問挑戦!