「戦国時代の日本で黒人奴隷が流行」は定説になりつつある…トンデモ説が欧米で"史実"扱いされる恐ろしい理由
■NHKや外務省も拡散 ロックリー准教授の説を拡散しているのは欧米人だけではない。なんと日本の報道機関も、この説を拡散している。 NHKは2021年、声優の増田晋氏の語りで『Black Samurai 信長に仕えたアフリカン侍・弥助』という番組を放映しているが、この番組はタイトルからわかる通り、ロックリー氏の説に基づくものだ。 なお産経新聞の報道によると、NHKは「番組自体は多くの専門家への取材で構成されている。問題があったとは思っていない」との見解を示しているという。 日本政府関係者さえこの説を広めている。 2018年時点の在モザンビーク大使である池田敏雄氏は、大使館ホームページに掲載された「あいさつ」で、「1581年イタリア人宣教師ヴァリニャーノは織田信長に謁見した際に,従者として連れていた黒人を信長が召し抱えたいと所望したため献上しました。その黒人はモザンビーク出身であり,信長は弥助と名付け武士の身分を与えて家臣にしたと伝えられます」と、ロックリー説を鵜呑みにした「歴史的事実」を拡散している。 ■「ネトフリのアニメ」や「ブロードウェイミュージカル」も… ロックリー説の拡散はとどまるところを知らない。 先に挙げたUBIのゲーム『アサシン クリード シャドウズ』のほかにも、ロックリー准教授の著書を下敷きにしたゲームやアニメが続々と作られている。 ネットフリックスのアニメ『YASUKE ヤスケ』(2021年)は、戦国時代を舞台にしているが、主人公はアフリカ出身の「ヤスケ」となっている。 また、2026年からブロードウェイミュージカルとして上演予定の『Yasuke: The Black Samurai』(舞台監督は日本人の母親を持つ著名振付師のジョアン・ハンター氏、音楽監督は日本のミュージカル脚本家・作曲家の藤倉梓氏)も、ロックリー説を基にしているという。 世界ではロックリー説こそ定説になりつつあり、もはや「弥助エコノミー」とでも呼ぶしかないほどの大規模かつグローバルな展開が進んでいるのだ。