「政権交代の最後のチャンス」立憲の小沢氏、代表選で泉氏以外を支援

伊沢健司

 9月の立憲民主党の代表選に向け、小沢一郎衆院議員のグループ「一清会」が6日、国会内で臨時の会合を開いた。小沢氏は次の衆院選を「政権交代の最大で最後のチャンス」と位置づけ、党内の有力議員と面会を重ねるなど精力的に動く。ただ、支援先を絞りきれておらず、同グループは小沢氏に対応を一任。19日以降に方針を決める。

 小沢グループには無所属議員を含め12人が所属。小沢氏はこの日、これまでに枝野幸男前代表や野田佳彦元首相のほか、馬淵澄夫・元国土交通相、小川淳也・前政調会長、江田憲司・元代表代行、重徳和彦衆院議員とも相次いで会談したと記者団に明かした。その上で、この6人から代表選で推す人を決めるとし「政権を取るには野党の協力体制をつくらなくてはならない。(他党と)人間的な信頼関係がないと進まない」と訴えた。

 かねて小沢氏は、政権交代には連合を基軸にした国民民主党との連携強化が不可欠だと語り、その上で日本維新の会とも協力できるリーダーが必要だと主張してきた。泉健太代表のもとでは野党共闘が進まなかったとして「泉代表では沈没じゃないか」と指摘。代表の交代を訴えている。

 代表選には泉氏と枝野氏の2人が立候補の意向を固めている。小沢氏は7月30日に枝野氏と会談。党内最大グループ「サンクチュアリ」の創設者で、枝野氏の支援に傾く赤松広隆元衆院副議長(2021年引退)とも面会した。だが、周囲には「枝野氏は代表を辞めたばかりだ」と話すなど、支援には消極的とされる。

 そこで検討されているのが「第3の候補」の擁立だ。7月19日、31日と、小沢氏は野田氏と会食を重ねた。現状、野田氏自身は立候補に消極的とされるが、野田氏周辺は「小沢氏の本命は野田氏」と明かす。

 党関係者は「小沢グループは他のグループと異なり必ず一枚岩で動く。だから他の陣営も動向を意識せざるを得ない」と話している。(伊沢健司)

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    秦正樹
    (大阪経済大学情報社会学部准教授 )
    2024年8月6日22時8分 投稿
    【視点】

    『小沢氏は次の衆院選を「政権交代の最大で最後のチャンス」と位置づけ』ておられるようですが、小沢氏ともあろう人が、どういう理屈でその認識をもつに至ったのか、私には全く理解できませんでした。 次の衆院選が、政権交代の"最大"のチャンスというのは、要は自民党の裏金問題による敵失を(少なくとも大きな好材料の一つとして)念頭に置かれているのでしょう。確かに、多くの世論調査で自民党支持率は下落していますが、それでも、最大野党の立憲民主党とは大きく水を開けられています。投票予定政党でみれば、そこそこの差まで追い詰めているように見えます。ただしこれは、あくまで比例区の話であり、小選挙区にそのまま当てはめることはできません(むしろ、小選挙区にそのままあてはめれば、相対多数の自民党に全く手も足も出ないことになります)。以上を踏まえると、次の衆院選が「最大のチャンス」とは決して言えないでしょう。 あるいは、そうした事情を念頭に置いているからこそ、野党共闘による統一候補の擁立(が可能な代表選出)を強調されているのかもしれません。確かに、国民民主党や日本維新の会とも選挙協力をして、一人でも多くの統一候補を擁立できれば、政権交代も近づくでしょう。しかしながら、私はこれまでのコメントでもたびたび主張してきましたが、現実的に言って、それは簡単なことではありません。 小沢氏は、永田町の中の「人間的な信頼関係」を大事にしろとおっしゃっていますが、大事なことは、それぞれの野党支持者全体が本当に統一候補にまとまって票を投じるかという問題です。これもたびたび申し上げていることですが、立憲民主党をはじめとするリベラル系支持者と、日本維新の会や国民民主党の支持者とでは、政治的な志向性・イデオロギー・多くの争点態度で全くと言っていいほど異なります。それどころか、最近の私の調査では、維新支持者は、立憲民主党を含む政権枠組みになるくらいなら、自民党政権の方がまだマシだと考えているようです。 とはいえ、私も、"今の段階では"、維新と立憲が手を組まなければ、政権交代は現実的ではないとも考えています。ただし同時に、任期満了まで最大でもあと一年しかない中で、特に立憲を毛嫌いする馬場代表を丸め込むだけでなく、先述した支持者の考え方の違いを埋めることも極めて難しい(し、あまり現実的と思えない)。さらにいえば、立憲+維新の枠組みで政権をとったところで、維新に大幅に譲歩すればリベラル系は離れるし、逆であれば維新は自公に付くでしょうから、直に瓦解するのは目に見えています(だからこそ、泉代表は「ミッション型内閣」を訴えているのでしょう)。したがって、仮に、野党全体で自公に競り勝ったとしても、実質的な政治的意味はほとんどないように思います。 そしてもう一つの、"最後の"チャンスというのは、さらに理解に苦しみます。前回、小選挙区で勝てずに比例復活に甘んじた、しかも82歳という高齢の小沢氏にとっては、「最後」という覚悟なのかもしれません。しかし、立憲民主党にとっては、(希望の党騒動のような、よほどのことがない限り)、次の衆院選が最後のチャンスでも何でもなく、むしろ中長期的な戦略があるはずです。 上の点とあわせて考えれば、少なくとも立憲民主党にとっては、次の衆院選のために、急ごしらえの選挙協力で数だけ揃えたところで、ハリボテの政権になるだけでなく、そのダメージを受けてさらに党が弱体化しかねないことはただのリスクでしかありません。そうした拙速な選挙協力よりも、まずは、選挙協力の交渉に臨む際に、立憲側がイニシアティブが取れるくらいの規模(およそ、泉代表が主張する150議席あたりでしょうか)になることが先決でしょうし、現実的でもあります。また、現段階では、党のリソース(とくに議席数や党の一体性、代表への集権性など)を蓄えておく方が、中長期的にみて意味があると思います。

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