2024年08月07日( 水 )

東京都知事選結果で激震! 前安芸高田市長・石丸氏が元参議院議員・蓮舫氏を圧倒

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 任期満了にともなう東京都知事選挙は、7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が290万票超を獲得し、3回目の当選をはたした。

予想に反し、石丸氏が2位に

 今回の都知事選では、無所属新人の前広島県安芸高田市長、石丸伸二氏、立憲民主党や共産党が支援した元参議院議員・蓮舫氏、元航空幕僚長・田母神俊雄氏など、過去最多の56人が立候補した。投票率は60.62%で、前回を5.62ポイント上回った。

 小池氏の得票数は、291万8,015票(得票率42・77%)で、前回2020年都知事選の366万1371票より約74万票減らした。次点は、前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏(41)で165万8,363票(24・30%)だった。

 元参議院議員・蓮舫氏(56)は128万3,262票(18・81%)で、石丸氏に抜かれ、3位にとどまった。4位以下は、元航空幕僚長・田母神俊雄氏(75)が26万7,699票、AIエンジニアの安野貴博氏(33)は15万4,638票を獲得した。

 小池氏・石丸氏・蓮舫氏の3人以外、得票が有効投票総数の10分の1に達しなかったため、供託金300万円は没収される。

 今回の都知事選は、当初、自民や公明、都民ファーストが支援する現職の小池氏と、立憲、共産党などが支援する元参議院議員・蓮舫氏による与野党対決の構図になるとみられていた。

 自民党派閥の政治資金事件を追い風に、4月の衆議院3補欠選挙、5月の静岡県知事選などで連勝し、勢いづいた立憲は、小池氏と同じくテレビキャスターを務め、党内有数の知名度を有する蓮舫氏を擁立した。これまで都知事選で、現職に新人が勝った先例はなく、蓮舫氏は、衆議院への転身を念頭に置いているともみられていた。

共産との連携に疑問の声

 今回、立憲は都知事選候補者の選定段階から市民団体を介して共産と連携した。立憲、共産両党は、蓮舫氏の「推薦」は見送ったが、街頭演説では立憲と共産幹部が並び立ち、蓮舫氏を応援しており、共産党が配布したチラシで蓮舫氏支援が載っていたことなどを、左派色を嫌う保守層や無党派層が敬遠したものとみられる。支持団体である連合の芳野友子会長は、共産との共闘を否定し、連合東京は小池氏を支持した。

 共産との共闘を推進したのは、立憲都連の会長の長妻昭政調会長や幹事長・手塚仁雄氏であったという。長妻氏は、3月に福岡市内で講演した際、記者団に対して「保守とかリベラルとか関係ない」と述べていたが、有権者はそのように受け止めなかった。結果として、小池氏に大敗し、政権交代の空気が萎む状況となった。

堀江氏が石丸氏に激励メッセージ

 一方で、中盤から前広島県安芸高田市長・石丸伸二氏が伸びはじめ、蓮舫氏は失速していった。石丸氏は、「東京を動かそう」をテーマに、政治再建を第一の政策として掲げ、メガバンクで海外勤務も経験したことなどをアピールした。支援を受ける企業家らと積極的に街頭活動を展開。各所で分刻みの演説を行いながら、SNSを駆使した発信を展開した。

 とくに堀江貴文氏との対談動画の反響は大きく、堀江氏は石丸氏の決起集会にメッセージを寄せた。「石丸さんに限らず、若い人たちはどんどん政治にチャレンジして、粗削りでもいいので世の中をばんばんかえていくということは、僕は大歓迎なので、石丸さんも応援している。頑張ってください」と激励した。今回の石丸氏の躍進で、堀江氏自身も政界への思いが強く芽生えたのではないだろうか。

 既成政党の支援を受けていないと報じるメディアもあったが、石丸陣営で選挙対策本部長を務めたのは、松下政経塾出身で、TOKYO自民党政経塾塾長代行などを務める小田全宏氏。また、自民党本部で政務調査役を務めた田村重信氏も石丸氏を応援した。

 各種世論調査をみると、石丸氏に投票したのは、20代・30代の若者が多く、高齢者は、小池氏や蓮舫氏に投票した人が多かった。安芸高田市のYouTubeチャンネルで、居眠りをする市議を叱責するなど、賛否両論はあるが、現状に不満を持つ若い世代の石丸氏への期待が大きかったことは間違いない。

崩れ始めた既得権体制

 自民党の稲田朋美幹事長代理は、7日のNHK番組で、小池氏の勝利に「我が党として一定の成果だ」と述べたうえで「わが党も良いところは残しつつ、変わっていかなければならない」と指摘していたが、石丸氏の結果について与野党の衝撃は大きかったようだ。

 都知事選と同日投開票の都議会議員の補欠選挙は、政治資金問題で処分を受けた萩生田光一前政調会長の地元・八王子で敗れるなど厳しい結果となり、小池氏の勝利を自民の勝利と受け止める向きは少ない。

 今回の都知事選と都議補選の結果は、今後の政局に影響を与えることは間違いないが、石丸氏が蓮舫氏を圧倒したのは、長年、停滞した日本の政治状況が変わりつつあることを示しており、若い世代から野党を含めた既得権体制への反乱が起こり始めたと受け止めるべきだ。次期衆院選では、与党に厳しい結果が出ることは間違いない。

■東京都知事選開票結果
小池百合子 291万8,015票
石丸伸二  165万8,363票
蓮舫    128万3,262票
田母神俊雄   26万7,699票
安野貴博氏   15万4,638票

【近藤将勝】

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