渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

寒到来

2024年08月07日 | open
 
 
中学生の時、雪が積もると
大喜びだった。
現在はびっしりと住宅が
建ち並ぶ場所だが、当時
首都圏の我が家の住宅街
の裏は建設前の空き地が
広がり、そこに大雪の日に
は積雪があり、それで雪
だるまをいくつも作るの
だ。
なぜ雪だるまを作るかと
いうと、模擬刀で石仏切
りのように「ためしもの」
をするためだ。
使用するのは真剣は用い
ない。深い疵だらけにな
ってしまうからだ。使用
は模擬刀を用いる。
刃筋が立って手の内が冴
えると、やや氷状になった
雪だるまでも一切飛沫が
飛ばずにサクッと切断で
きる。
逆に少しでも刃筋が狂うと
飛沫が飛ぶ。
これは、中学の時には冬
にはやりまくった。
萬屋版ドラマ『子連れ狼』
の「首斬り朝右衛門」と
「寒到来」編の影響だ。
達磨切りは本当にかなり
やった。袴を雪でビシャ
ビシャにしながら。
また、夏には「水切り」を
やった。
これは水面に映る月を斬る
のだ。
これも刃筋が通らなければ
月が真っ二つに切れない。
抜刀斬撃と円滑瞬息納刀を
修練するのはずっと後年だ
が、抜刀後の刀法について
は小学生の時からやって
いた。物を斬る事を。竹刀
剣道だけではなく、手の内
と刀法の習得として。
日本剣道形についても、木
剣ではなく刀でやらないと
駄目だし、実際に刀で切る
事に疎くて竹刀打ちだけ
進化させても無意味だろう
と小学生の時から感じてい
た。
試し切りは小学生からやっ
ているが、中学の時には
本当に実践試斬を多くやっ
た。
結果それは活きて来て、
後年、古流抜刀剣法を本筋
に就いて学んだ時も、最初
からスパスパ切れた。
また、刃引き真剣日本刀で
の巻き畳表切断なども話に
ならない位に簡単だった。
そんなもんだ。人により手
筋の良し悪しもあろうが、
要諦は「斬り覚えよ」だ。
しかも刀を曲げる事なく
百太刀振れば百太刀正しい
斬り下ろしで。

刃引き康宏による畳表切断。
しかも畳表は刺していない。
「置き斬」である。
これは刀の刃で物を切らず、
刀身を使った刀術で切るの
で可能となる。
刃引き稽古は斬刀術の稽古
としてやっている。
刀の刃が立っていると刀が
切ったのか自分の腕で切っ
たのかの判別が難しいから
だ。切断できたかどうかなど
という低次元の事柄には一
切拘泥しない。「どう狙っ
た切りが達成できたか否か」
を自分に問うために試斬を
する。術の達成度を己が確
認するためにやる。


これは研ぎ上げ後に刃を付け
の試し。備後二重畳表二巻
き=通常の畳表四巻きのやや
細程度。巻き方は真巻き。
こちらも実践斬刀術の己の技
試しだが、刃付け後の斬
鉄剣小林康宏刀の具合の
試刀も兼ね
ている。
いわゆる「様(ためし)」。

 
刀は刃の立ち具合で切るの
ではない。
刀術者は「刀術」で切るの
である。
術至らぬ者は刀の刃付け頼
り、刀身の長大幅広さ頼り
になる。
それは剣術でも刀術でも抜
刀術でも何でもない。
モグラたたきのハンマーを
改造するようなものだ。
それらを行使するのは剣士
ではない。



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