教官

教官  「はい、ウィンカーだして」


吉川  「はい」


教官  「確認」


吉川  「歩行者いません」


教官  「じゃ、ゆっくりとワープ開始」


吉川  「え……」


教官  「総員ワープに備えろ!」


吉川  「総員て二人しかないのに」


教官  「アテンションプリーズ」


吉川  「ワ、ワープて……」


教官  「なんだ、ワープ教習まだやってない?」


吉川  「やってないと言うか、初めて聞きました」


教官  「とんだズブの素人だな」


吉川  「すみません」


教官  「いまどきワープくらいみんな無免でやってるぞ」


吉川  「そうなんですか!?」


教官  「俺も若い頃はノーヘルでノーブラでやってたよ」


吉川  「ノーブラは関係あるんですか?」


教官  「……揺れちゃうだろ!」


吉川  「えー! そうなんだ。そういうもんなんだ」


教官  「じゃ、ワープボタン押して」


吉川  「ワープボタンて……このワって書いてあるやつですか?」


教官  「バカッ! それは笑い声ボタンだ!」


吉川  「なんですか、笑い声ボタンて」


教官  「スベッた時とかに押すと自動的に笑い声がでる」


吉川  「なんて切ないボタンだ……」


教官  「安心してスマッシュジョークが決められる」


吉川  「別に決めなくていいですけど」


教官  「ワープボタンはその右!」


吉川  「あの……このプってマジックで書いてある?」


教官  「そうそう、それ」


吉川  「ポチッとな」


教官  「バカッ! 急に押すな」


吉川  「え、押しちゃった」


教官  「まだブラのホックが!」


吉川  「そんな理由で怒られたのか」


教官  「総員ワープ体勢!」


吉川  「体勢って……ブラですか?」


教官  「揺れるぞ!」


吉川  「いや、ブラは結構です」


教官  「ワープ完了!」


吉川  「え……。もう?」


教官  「6cmはワープした」


吉川  「短っ! ワープいらないじゃん」


教官  「バカッ! 公然とブラをつけられるチャンスじゃないか!」


吉川  「そんなチャンスいらないですよ」


教官  「ブラはいいぞー。よせてあげたり。適度な締め付け感が」


吉川  「なにをよせてあげるんだ。まったく共感できない」


教官  「ブラがないとブラブラしちゃうじゃないか!」


吉川  「……」


教官  「ポチッ」


笑い声 「ワハハハハハ……」



暗転



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