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遺産相続の紛争は調停で早期に解決!

複雑な遺産相続に強い弁護士

松野絵里子

複雑な遺産相続に強い弁護士 松野絵里子さん
松野絵里子さん 仕事風景

#chapter1

遺産相続は調停で早期解決を

 弁護士・松野絵里子さんの東京ジェイ法律事務所は、東京の中心・千代田区の高層ビル「霞が関ビル」にあります。
 複雑な家事事件を得意とし、遺産相続は注力分野の一つです。海外に資産がある場合も含めて複雑な相続案件を担当してきました。

 遺言がない、遺言ですべてが決まらない、効力のない遺言といった場合、遺産分割・相続は当事者の話し合いでは解決せず、紛争に発展することも多くあります。複数の不動産や海外に相続財産を有するなどの富裕層ではなおさらです。遺産分割において、「もらうべきものをもらっていないという立場なら、弁護士報酬が発生しても、迷わず早めに弁護士に相談を」と松野さんはアドバイスします。

「早期解決には、家庭裁判所での調停をお勧めしています。調停は公正な話し合いの場です。身内同士の話し合いは冷静になれないですし、言いたいことが言えないという人も多いでしょう。裁判所では中立の立場の調停委員が間に入り、代理人弁護士は自分の利益を守ってくれます。また、複雑な問題があった時には、担当裁判官の意見も聞いて“交通整理”ができるメリットもあります。

 相続財産があるなら、誰しも自分の権利を知りたいでしょう。例えば親の介護で苦労したというなら、それがどう評価されるのか、兄弟ですでに多額の資金援助をしてもらっている人がいるならそれはどう考えればよいのか……いろいろな疑問があるはずです。調停では弁護士に任せ、必ずしも当事者が調停に出る必要はないので忙しい方にもおすすめです。調停そのものにかかる費用は若干の印紙代程度。当事務所での弁護士費用は遺産分割協議でも調停申立でも同じです」

 早期解決のために松野さんが実践するのは、次の点です。
「『すべてお金でほしい』など、これだけは譲れないという点とプライオリティを依頼者にお尋ねして、あとはフレキシブルに対応します。『どうせ、だめ』と結論を決めつけて希望を言わない方も多いのですが、『こうしたい』というものがあるかどうかで、解決のスピードは全然違います」

#chapter2

東京では複雑な遺産相続案件が増えている

 特に最近は、認知症等で判断能力が衰えた親の預金を同居の親族が勝手に引き出す、あるいは、引き出していないのにそのように思い込まれて紛争に発展する事例が増えているそうです。こういう紛争を未然に防ぐためには、後見人を早めにつけることを松野さんは勧めます。

 一方、投資物件をもっている家庭も多いこの頃では、兄弟の共有財産にするなど、相続税の節税対策がかえって遺産分割のときには障害になることもあり、「相続税対策と遺産分割は別のルール」と注意を促します。

 また、東京都心において、親が資産価値の高い一軒家を持っていたが、預金額などはあまりない場合などは、当事者での分割はとても難しい事案だそうです。
「例えば、長男家族が亡くなった親の家に住んでいる場合ですが、土地建物1億円だとしたら、3人兄弟ならおよそ3300万円ずつもらう権利があります。でも、長男はそこに住み続けたいなら、兄弟2人に6600万円を支払わなければなりません。そこで考えられるのは、一つは賃貸契約を結び、長男が兄弟に月々の賃料を払っていくという解決法です。また、銀行でお金を借りて兄弟には一括で払う方法もあり得ます。きちんと考えず、審判で家が共有財産になってしまったら、兄弟2人から共有分割請求訴訟を起こされるという別のトラブルに発展するおそれもあります。調停で各自に代理人弁護士がいれば、各自の言い分を反映させた解決を目指せますし、支払を確保するための担保設定や同時履行などの仕組みの設定も検討できます。そういったことは素人の協議では実現できないことです」

 相続人全体の言い分も考えながら、多角的な見地で、迅速に現実的に相続問題を解決するのが、松野さんの大きな強みです。

松野絵里子さん 仕事風景

#chapter3

家事事件の解決にはクリエイティブな能力が必要

 東京大学法学部卒業後、外資系証券会社に2年間勤務。その後、弁護士を志し、平成12年に弁護士登録。最大手の渉外事務所では、企業の上場、ファンド組成など様々なプロジェクトや国内外の契約書作成に携わってきたため、一般企業の法務、海外進出、海外企業との取引などにも精通。また、相続に関しては、海外に預金口座や不動産があるケースにも対応できます。

 多方面で強みを発揮する松野さんですが、「家事事件では、特にクリエイティブな能力が要求される」と話します。「それは、ブロックで家を作るのと似ていますね。ブロックが法律だとすると、ブロックのはめ方、色の組み合わせでいろいろな工夫ができる。家事事件の弁護士の対応も小さな工夫で意外な結果が出ることもあります。私は既存条件の中での創意工夫が好きなのかもしれません。自分の能力を生かせる分野だと感じています」

 弁護士としての松野さんに信頼を感じました。

(取材年月:2017年12月)

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松野絵里子プロ

弁護士

東京ジェイ法律事務所

資産の種類が多い複雑な遺産相続でも、裁判所の調停において、幅広い知見で依頼人のために相手の代理人とともに総合的かつ早期の解決を図る。

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