世界中に生息し、海の生きものの食物連鎖の頂点に立つといわれるシャチ。日本の水族館では千葉県の「鴨川シーワールド」と愛知県の「名古屋港水族館」、兵庫県の「神戸須磨シーワールド」の3館でしか見られないことを知っていましたか?
今回は、迫力満点のパフォーマンスやトレーニング、シャチを見ながら食事を楽しめるレストランなど、それぞれの水族館での楽しみ方を紹介。記事を読めばきっと、実際にシャチを見に行きたくなりますよ!
シャチとはどんな動物?
オスの体長は7~10mにもなり“海の王者”とも呼ばれる
シャチは水族館でおなじみのバンドウイルカと同じ「マイルカ科」に属する海洋大型動物。オスの体重は3~7t、メスは2~4tにもなり、世界中の海に生息しています。
体の色はパンダのような白黒で、背ビレと胸ビレの裏側は黒、尾ビレの裏側は白になっています。海の上から見ると背側の黒が海中の暗い青色になじみ、海底から見ると腹側の白が太陽の光に反射して水面に溶け込んで見えるため、獲物に見つかりにくくなっているんです。
目の後ろの白い部分はアイパッチと呼ばれ、これは諸説あるものの、母方の血筋で結ばれた群れで行動するシャチが、仲間の位置を確認する役割を果たしているものと考えられています。
魚や鳥、アシカ、アザラシ、さらに自分よりずっと大きなクジラまでも捕食するため、シャチは“海の王者”の異名も持ちます。
日本で飼育されているシャチは合計7頭
2024年7月現在、日本でシャチを見ることができるのは、千葉県の「鴨川シーワールド」と愛知県の「名古屋港水族館」、そして兵庫県の「神戸須磨シーワールド」の3カ所だけ。
“海の最強生物”として、自然界ではほかの生きものから恐れられる存在のシャチですが、水族館で見るその姿には愛くるしい一面もあるんですよ。
ここからはそれぞれの水族館にいるシャチを紹介します♪
【千葉県・鴨川市】鴨川シーワールド
水しぶきがスゴイ!シャチのパフォーマンスに注目
千葉県の房総半島にある「鴨川シーワールド」は、1970年にオープンした歴史ある水族館。太平洋に面した細長い敷地内で、シャチやイルカ、ベルーガなど大型の海洋生物を中心に多彩な生きものを飼育・展示しています。
“海と世界との出会い”というコンセプトのもと、ペンギンの生息する北極圏や南極圏を再現した「ポーラーアドベンチャー」、冷たい海流の流れるアメリカ・カリフォルニアの海岸を再現した「アシカ・アザラシの海」など、それぞれの生きものが生息する本来の自然環境を再現しているのが特徴です。
「鴨川シーワールド」で会えるシャチは3頭
飼育されているのは、「ララ」と「ラビー」の姉妹、「ラビー」の娘である「ルーナ」。日本初となる1998年の繁殖から数えると、「ララ」と「ラビー」の姉妹は第2世代、「ルーナ」は第3世代にあたります。
前列はズブ濡れ必至!大迫力のパフォーマンス
同館ではシャチ、イルカ、ベルーガ、アシカの4つのパフォーマンスを実施。中でもその迫力で多くの来館者を虜にしているのがシャチのパフォーマンスです。
青空の下に開かれた「オーシャンスタジアム」を舞台に、シャチたちがスピード感あふれる泳ぎや豪快なジャンプなど、トレーナーと息ぴったりのパフォーマンスを客席の目の前で披露してくれます。
「鴨川シーワールド」のシャチのパフォーマンスといえば、何といっても水しぶき!「ズブ濡れゾーン」といわれる前列は、水しぶきというより水の塊に見舞われる人気席です。場合によっては後方でもしっかり水がかかるので、服や持ち物には注意しましょう。
毎年夏に行われる「夏期限定サマースプラッシュ」では、シャチが巨大な尾ビレで客席に大量の水を浴びせかけると、歓声を超えて絶叫が聞こえてくるほど…!想像を超えた水量にきっと驚きますよ。
深海にいる気分で食事ができるレストラン
館内のレストランは3つ。そのうちのひとつ「オーシャン」は、シャチを見ながら食事ができるレストランです。店内はさらに、水中や白い砂浜をイメージしたカフェテリア方式のレストランと、洞窟をイメージしたフルサービスのレストランに分かれ、地元・房総の食材を多彩な料理で味わえます。
泳ぐシャチが見える窓側の席は全体の半分以下のため、席を確保したい場合は11時頃までの入店がおすすめ。早めにランチを食べて午後はシャチのパフォーマンスを観覧するなど、館内での過ごし方をあらかじめ決めておくとよさそうですね!
ぬいぐるみからお菓子までシャチグッズも豊富
お土産はバザールコート「ラオイ」と、帰り際の立ち寄りにも便利なギフトショップ「マリンマーケット」(土・日・祝のみの営業)の2カ所で購入できます。
特に館内ショップの中で最大の広さを持つバザールコート「ラオイ」は、ぬいぐるみから文具、エコバッグ、お菓子類までシャチ関連のグッズも種類が豊富。本物のシャチに感動した後は、ついついあれもこれも欲しくなってしまいます。シャチのぬいぐるみが必ず当たる「シャチくじ」は、特大の1等からミニサイズの5等まで、どの大きさのぬいぐるみが当たるか、くじを引いてのお楽しみ。店舗横で購入できますよ!
04-7093-4803
千葉県鴨川市東町1464-18
9時~16時(変動あり)
不定 ※公式HPを確認
1DAYチケット【高校生以上】3300円【小・中学生】2000円【4歳以上の未就学児】1300円【60歳以上】2700円(要証明証) ※ほか2DAYチケットあり
安房鴨川駅より無料送迎バスで10分 ※時刻表は公式HPを確認/館山自動車道 君津ICより45分
あり(有料)
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【愛知県・名古屋市】名古屋港水族館
トレーニング中のシャチをゆったり観察
名古屋の港エリアにある「名古屋港水族館」も、シャチが見られる貴重なスポット。地上3階建ての建物は南館と北館に分かれ、日本近海や世界中の海から集まった500種類以上の生きものに出会えます。
縦4m、横29mの大きな観察窓越しに、ゆうゆうと泳ぐイルカを見られる「水中観覧席」や、幻想的な「マイワシのトルネード」、クラゲの水槽を鏡や照明で演出した「くらげなごりうむ」など、癒やし度の高い展示が多いのも魅力です。
「名古屋港水族館」で会えるシャチは2頭
「名古屋港水族館」ではオスとメスのシャチをそれぞれ1頭ずつ見ることができます。オスの「アース」は「鴨川シーワールド」の姉妹のうちの1頭「ラビー」を母に持ち、「ルーナ」とはきょうだいにあたります。「リン」は「名古屋港水族館」で生まれ、ずっとここで暮らしています。
毎日行われる「シャチの公開トレーニング」
毎日行われる「シャチの公開トレーニング」では、時速50kmともいわれる力強い泳ぎや、大きな体が宙へ飛び出す様子をスタジアムから観覧できます。
トレーニングでは普段あまり知ることのないシャチの生態について、トレーナーが詳しく教えてくれます。実物を見ながら聞くことができるので、いっそう理解が深まりますね!
トレーニング中のシャチたちの動きはスタジアム正面の大画面でも映し出しているので、いきいきとした動きや表情もよく伝わってきます。
土・日・祝やゴールデンウィーク、夏休みなどは客席が早めに満席になってしまうことも多いので、公式ホームページで当日のトレーニング時間を確認して、早めに席を確保しましょう。大きなプールでのびのびとトレーニングしているシャチの姿を、ぜひ一度見に行ってみてくださいね。
名古屋のご当地土産も揃うショップ
館内に2カ所あるミュージアムショップには「名古屋港水族館」の人気者たちのぬいぐるみや、オリジナルキャラクターのグッズがずらり。海の生きものをモチーフにしたユニークな文具なども揃っています。
さらに、名古屋名物のういろうなどお菓子類が豊富に揃っているのもポイント。シャチのグッズと合わせて、名古屋旅行のお土産もぜひ探してみてください。
052-654-7080
愛知県名古屋市港区港町1-3
9時30分〜17時30分 ※GWと夏休みは〜20時、冬季は〜17時
月 ※祝日の場合は翌日休 ※GW、7〜9月、春・冬休みは無休
【高校生以上】2030円【小・中学生】1010円【4歳以上の未就学児】500円 ※GW・夏休みなどの夜間営業日は17時以降専用チケットあり
名古屋港駅より徒歩5分/名古屋高速道路 港明ICより10分、または伊勢湾岸道路名港中央IC・知多半島道路 大高ICより各20分
あり(有料)
「名古屋港水族館」の詳細はこちら
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【兵庫県・神戸市】神戸須磨シーワールド
シャチについて学べる「オルカラボ」も誕生
“スマスイ”の愛称で親しまれ、2023年5月に営業を終了した「神戸市立須磨海浜水族園」の跡地に、2024年6月1日(土)にグランドオープンしたのが「神戸須磨シーワールド」です。須磨海浜公園再整備計画の一環として完成しました。
大きな館内はシャチが見られるオルカスタディアム、イルカが見られるドルフィンスタディアム、その他さまざまな生きものを観賞できるアクアライブから構成され、「ドルフィンラグーン」を備えたホテルも併設しています。
展示やデジタルツールでシャチについて紹介するエリア「オルカラボ」もあり、シャチについてより深く学べるのも特徴。最寄駅のJR須磨海浜公園駅から徒歩5分とアクセスもよく、神戸の新たな観光スポットとして早くも注目を集めていますよ!
「神戸須磨シーワールド」で会えるシャチは2頭
「神戸須磨シーワールド」では2頭のシャチを見ることができます。「ラン」は「鴨川シーワールド」にいる「ララ」と「ラビー」の姉妹にあたり、「ステラ」は現在、国内の水族館にいるシャチの中で最年長。どちらも毎日開催中の「オルカパフォーマンス」で活躍中です。
パフォーマンスでは水しぶきに大興奮!
シャチのパフォーマンスが行われているのがオルカスタディアムです。当日のパフォーマンススケジュールは公式ホームページで確認できるので、早めに席を確保しましょう。
高い場所に吊るされたボールを尾ビレで跳ね上げ、再びバシャーン!と水中に潜るシャチのルーピングキックは見事。さらに、尾ビレを上手に使って客席に水を浴びせるのも名物です。プールに近い席で見る場合はズブ濡れになる可能性が高いので、オルカスタディアム内のショップでポンチョ(400円)を購入してしっかり準備しましょう。
シャチを見ながら食事が楽しめるレストラン
「ブルーオーシャン オルカスタディアム」は、窓越しにシャチを見ながら食事ができるブッフェレストラン。兵庫県は北に日本海、南に瀬戸内海、内陸部には山地が広がり、海の食材も山の食材も豊かなんです。水族館内のレストランで提供されるメニューもバラエティに富んでいるので、ぜひいろいろと味わってみてください。一部メニューはライブキッチンになっており、オーダー後にシェフが仕上げてくれますよ!
席の指定はできないため、近くでシャチが見えるかどうかはその日の運次第。シャチの見える窓際席を利用したい場合は、早めの入店がおすすめです。8月3日以降は席によって事前予約が可能なので、詳細は公式ホームページで確認を!
かわいらしいシャチグッズのお土産をゲット!
「ブルーフラッグ オルカスタディアム」にはシャチのグッズをはじめ、オリジナルのお土産や神戸銘菓とのコラボ商品などが揃います。1回1200円の「オルカくじ」も毎日実施。景品には色や大きさの違うシャチのぬいぐるみがハズレなしで用意されているので、来館の記念にチャレンジしてみるのもいいですね!
078-731-7301(10時~18時)
兵庫県神戸市須磨区若宮町1-3-5
10時~18時(時期により異なる) ※最終入館は閉館1時間前。営業時間の詳細は公式HPを確認
不定(メンテナンス休あり)
【高校生以上】3100円【4歳~中学生】1800円【65歳以上】2500円 ※時期により異なるため詳細は公式HPを確認
須磨海浜公園駅より徒歩5分/阪神高速 湊川ICより10分
なし(須磨海浜公園第一駐車場を利用 ※有料)
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まとめ
現在国内にいるシャチは、実は全頭が血の繋がった大家族なんですよ!大きくて賢くて、そして何といってもかわいらしいシャチたちに、ぜひ会いに行ってみてくださいね。
※この記事は2024年7月17日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
※掲載の価格は全て税込価格です。
小林 亜紗子
岐阜県生まれ。旅行情報誌『東海じゃらん』編集部を経てフリーに。コーヒー、温泉、音楽好き。民芸や郷土食、地域の慣習など、無名の人々に継承されてきたものに惹かれます。二人の子どもたちを各地の温泉に連れ回し中。