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テーマ:ICM-全ての土台となるトーナメント基本戦略 vol.3

まえがき


今回の内容は、これからポーカーの座学に前向きに取り組み、最終的に「少しでも入賞する確率を高めたい」という方が対象のnoteになります。この記事を読むことで、「残り人数によって戦略が変化する」ことへの理解を得られることでしょう。

今回の記事のテーマは「ICM」です。
本記事は以下の構成になっています。
・ウォームアップ編:学習対象を明らかにする
・インストール編:実践への導入を検討する
・テクニック編
・まとめ

前回の記事はこちら

ウォームアップ編

ウォームアップ編では基本的な理論を参考文献のエビデンスを用いて紹介します。理論を把握しましょう。難しいスポットがあるかも知れませんが、一旦、スルーしてざっと読むことで後からわかることもあります。まずは、ざっと見てください。

ICMとは


近年のポーカーで、特にMTTではICMという単語が流行っているようです。そんな単語をあなたも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「ICMってなんなの?」
という素朴な疑問から紐解いていきましょう。

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ICM(Independent Chip Model)とは、1987 年にメイソン マルムースによって初めてポーカーに適用されたトーナメント スタックを金銭的価値に変換する数式です。
この数式は、トーナメントにおけるスタックを使用して、フィニッシュする順位の頻度を決定し、トーナメントエクイティを算出するものです。
トーナメントエクイティとは、ペイアウト、順位、スタック サイズを考慮して、プライズプールに対する、予想されるシェアのことです。
言い換えると現在のチップの価値を表示しているものと言えるでしょう。

このICMを利用するメリットとしては、キャッシュゲームではスタックが2倍になった場合、金銭的価値も2倍になります。しかし、トーナメントではスタックが2倍になったからと言って、キャッシュがペイアウトされるわけではないので金銭的に価値が2倍になったとは言えません。
したがって、チップに対して金銭的な期待値を付与することで、戦略決定を行い易くしてくれるものです。

ここまで読むと、ICMを計算できるように式も覚えないといけないんでしょ?という方がいると思いますが、安心してください。
ICMは、スタックとペイアウトを実際のトーナメントのエクイティに変換するために使用される複雑なツールであるので、これらの計算はゲーム内では不可能です。ICMを念頭におくことであなたの戦略への変化があります。
では、ICMを理解するメリットを紹介しましょう。

(計算ソフト・参考資料)

ICMのメリット


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ここまで、ICMとは、トーナメントエクイティを算出する数式ということがわかりました。この算出した期待値を一般的に$EVといい、ICMを考慮しない期待値をcEVと言います。

$EV:チップの価値を金銭的に変換したEV
cEV…チップの価値が金銭的価値と同等の時のEV

ICMのメリットは様々ありますが、一番大きいメリットは

トーナメントでの生存戦略に直結する

ということです。
なぜなら、ICMは、トーナメントにおける「生存している価値」を示しているからです。これにより生き残るかということに焦点をおきBB/100handの概念ではなく、瞬間における期待値を最大化するという目的を果たせます。

複数のメリット(引用)


  • トーナメントではキャッシュゲームよりタイトなレンジでスタックする。

  • マージナルスポットを避ける。
    トーナメントでは、際どい+cEVスポットは−$EVになる。

  • ミドルスタックはバブル付近でタイトにプレイする必要がある。

  • ビッグスタックは、スタックオフの際にリスクを少なくするため、小さなスタックを脅かす可能性がある。これは特にバブル付近で顕著である。

  • チップを得る価値は、同じチップを失う価値より小さい。

  • ペイアウトの仕組みに注意すること。大きなペイジャンプは、高いリスクプレミアムと関連している。

  • ショートスタックがバストしそうになり、ペイジャンプが発生した場合、最大スタックを除く全てのプレイヤーは、一般的に大きくタイトになるべきである。

引用元

上記のような複数のメリットがありますが、特に重要な点としてはマージナルスポットを避けるということです。
これは「チップを得る価値」と「チップを失う価値」を比較したときに生存していることに価値に重きを置いているため、

チップを得る価値<チップを失う価値

という構造になるため、失うリスクを避けるアクションが優先されます。

この不均一の構造は「リスクプレミアム」の効果が関与しています。

リスクプレミアムとは?


ICMの計算に基づくと、プレイヤーの獲得するチップは失うチップよりも価値が低くなります。これはトーナメントに参加するすべてのプレイヤーに当てはまります。ここで発生する追加のリスクが「リスクプレミアム」です。
この不均一な構造を例を用いて考えましょう。

リスクプレミアムとはICMプレッシャーにより追加で求められるEQ

トーナメントとキャッシュゲームのパターンを比較しながら検討します。

例)ブラインド50/100、Heads Upであると考えます。

スタックを以下とします。
SB プレイヤーA:1000
BB プレイヤーB:500

Aがオールインした場合、Bがコールするのに必要な額は400です。

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Bの必要勝率は、400/(500+500)=40%となります。
キャッシュゲームでは、BはEQ40%以上のハンドをコールする必要があります。
一方トーナメントにおいては、獲得するチップの価値<チップを失う価値になるため、追加のEQが生じます。

リスクプレミアムを求める式は以下の式で求めることができます。

Risk Premium = BF/BF+1 −50%

BF = 負けた時に失う$EV/勝った時に獲得する$EV

※BFとは、Bubble Factorの略

Nearバブルとした時を考えます。インマネが$100とします。
負けた時に失う$EV=100
勝った時に獲得する$EV= 50とします。

BF= 100/50=2

Risk Premium = 2 / (2+1)−50% = 2/3−50%= +16.66..%

となりBのコールレンジはEQ40%以上でしたが、+16.66..%を足したEQ56.66…%以上のハンドレンジでコールする必要があります。

このように、ICMプレッシャーにより追加で求められるEQをリスクプレミアムとして表します。このことより、

リスクプレミアムは、カバーされているスタックに対してより高く、カバーしている小さなスタックに対しては低くなります。

ここまでの計算はプレイ中に計算することは難しいため、意識はする程度で良いでしょう。
重要な点として、

・Bubble Factorが大きくなるにつれて、追加で要求されるEQが大きくなる(リスクプレミアム)
・獲得したチップの価値は失われたチップよりも低くなること

ということです。

以上を振り返るとICMはトーナメントで重要であるということがわかります。しかし、そんなICMも万能ではないのです。ICMの制限がかかる時があります。

ICMの制限(引用)

・ICM は、すべてのプレーヤーが同等のスキルを持っていることを前提としています。
-
それにより、実際には、より熟練したプレイヤーが、スタックに比べてより多くの確率で勝利すると予想されます。
大きなフィールドのICM計算は計算的に困難です。
-
最近のアルゴリズムはこの分野で進歩していますが、大規模なフィールド MTT の ICM を正しく計算することは依然として非常に困難です。

ICMはプレイヤーの立場を考慮しません。
-
3BBスタックは、ブラインドよりも BTN での方がはるかに価値があります。
ICM はブラインドの増加を無視します。
-
ブラインドが増加することがわかっている場合、特にショートスタックが関係する場合、最適な戦略に影響を与える可能性があります。

ICM はチップ リーダーの利点を過小評価しています。
-
ICM のプレッシャーにより、大きなスタックが小さなスタックをいじめることがよくあります。そのため、ICM が示すよりも大きなスタックの勝率が高くなります。

引用)https://blog.gtowizard.com/icm-basics/

上記の内容のように、ICMを導入するにはかなり困難であることがわかります。注意点として、ICMが全てのプレイヤースキルが同等と判断していることでしょう。
実際でのトーナメントで考えます。
あなたは、FT(9人)に座っています。残り1人でインマネであるバブル付近です。しかし、スタックが7bb程度であり最もショートスタックです。
その一方、その卓にはリンプを頻繁にするプレイヤーが2人いるとします。このことにより、リンパーの2人が飛ぶ確率が非常に高いことが考えられます。
よって、あなたのハンドレンジは、ICMプレッシャーを考慮したレンジよりもさらに、タイトなレンジになることが考えられます。より正確にいうと、Bubble Factor式の分子が大きくなるため、Risk Premiumも共に大きくなると表現したほうがいいでしょう。

ICMの重要性と注意点について紹介してきました。本記事では理論を紹介することに重きを置かずに、いつ使えばいいか?という実践でのパフォーマンスを考えます。
では、トーナメントにおけるICMが重要になるのはいつであるかということに関して考えていきましょう。

ICMが重要になるとき


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ICMが重要になるときを探るために、いくつかの例を紹介して説明していきます。
まず、第一に「フィールドにおける残り人数」がどのくらいの時にICMの効果が発揮されるのかを調べていきましょう。

以下の内容は、GTO wizard Blogの例を抜粋します。とても良い内容です。

実験例1)50万トーナメントでのシュミレーション

200人参加のフリーズアウトMTTを50万回シュミレーションを行います。
BBは平均スタックの1/7とし、Push or Foldの戦略を取るとします。

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ペイアウトストラクチャー

設定)200 プレイヤーの MTT フリーズアウト
・ペイアウト:上位 15%
・Push or Foldの戦略をとる
・BB = 平均スタックの 1/7スタック
・6種類の戦略
・すべてのプレイヤーが互いの戦略を理解し、それに適応している

下図が
縦軸:各ICM(ICM100%,75%,50%,37.5%,25%,4.5%)ごとの戦略
横軸:ROI(投資収益率)
とした結果表です。

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引用画像1:https://blog.gtowizard.com/when-does-icm-become-significant-in-mtts/
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引用画像2:https://blog.gtowizard.com/when-does-icm-become-significant-in-mtts/

この引用画像1・2より、ICM戦略に早く切り替えるプレーヤーは、平均してより高いリターンを享受しています。

バブルのかなり前からICMが重要な要素である

ここまでの内容で、
「インマネするためにトーナメントプレイしているわけじゃないんだよ」
と思われたそこの強化人間のあなたに朗報です。
この実験の詳細結果にフォーカスを当てると面白いことがわかります。

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引用画像3:https://blog.gtowizard.com/when-does-icm-become-significant-in-mtts/

縦軸:プライズ(%)横軸:各ICM戦略
(※cEV95.5%/ICM 4.5%はFTからICMを用いています。)

上図より、一番右のFTまでChipEVを用いている戦略は

「1位を取るためにインマネを犠牲にしてより頻繁に1位を取っている」

ことがわかります。

さらに、実験例2を見ていきましょう。それは、「スタックの深さ」に関してです。

実験例2)平均スタック5bb,7bb,10bbを比較

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引用画像4:https://blog.gtowizard.com/when-does-icm-become-significant-in-mtts/

5bb、7bb、10bbの複数のスタックサイズにおけるパフォーマンスを確認します。すると、cEV62.5%/ICM37.5%以下の戦略のパフォーマンスは統計的に有意に悪いことがわかります。
このことより、ICM37.5%以上を学ぶ価値が大きいと考察できます。

よって、ここまでの実験結果をまとめると

①バブルのかなり前からICMが重要な要素
②FTからICMを導入すると(cEVそれまでは)インマネを犠牲にして、1位を頻繁に取ることができる
③複数スタックサイズにおいても(cEV62.5%/ICM37.5%)以下の戦略のパフォーマンスは統計的に有意に悪い。

ということが言えます。

参考資料

ほっと休憩


ここまで読み進めていただいた皆さんは、きっとICMについての理解がある程度できたと思います。この程度でバテましたか?ウォームアップもあと少しです。さらにブーストをかけてやっていきましょう。
そんなあなたへのTipsです。
水を飲むと集中力が約20%程度Upすることがわかっています。水を飲んで集中力を最大にしましょう。
え、まさか、音楽を聴きながら読んではいないですか?
音楽を聴きながらタスクを行うと集中力が低下するということが証明されています。唯一、集中力を上げる音楽は自然音やブラウンノイズということが報告されています。
で、聴きながらMax集中しましょう。

関連記事

さて、ここまではICMについて理論的な側面から紹介しました。
次に、前頭部分で紹介したBubble Factorについて詳しく紹介していきます。

Bubble Factor(BF) とは?


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「Bubble Factor」という言葉をよく耳にする言葉です。
BFとは、MTTにおいて、勝つことよりも負けることがどれだけ痛いかを測るツールであり、「生存プレッシャーの指標」です。
BFの式を見ると直感的にわかります。

BF= 負けた時に失う$EV / 勝った時に獲得する$EV

https://gtowizard.com/glossary/bubble-factor/

つまり上の式を見ると、「負けた時に失う$EV」を「勝った時に獲得する$EV」で割っていることから、負けた時のリスクを指標にしていると直感的にわかります。
BFは、次の3つに影響されます。

  • ペイアウトストラクチャー
    PKOトーナメントとノーマルトーナメントではBFが異なります。今回の記事では詳細は割愛します。

  • トーナメントステージ
    インマネやFTに近づくほど、ICMプレッシャーは大きくなります。

  • スタック
    テーブルでのチップスタックの分布が最重要です。

ここでトーナメントステージスタックを詳しく見ていきましょう

トーナメントステージ

書籍『Kill Everything』の図を使います。
下図を見ると10,000人参加のトーナメントにおいて、Left15%に近づくにつれてBFが上昇しています。インマネ後の急激にBFが下がっています。これは、ペイアウトストラクチャーがトップヘビーであることが原因でもありますが、これは直感的に感じるでしょう。
ここで、FT間近で急激に上がっています。FTは高額賞金が争われるスポット
であるため、これは必然的です。

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https://blog.gtowizard.com/what-is-the-bubble-factor-in-poker-tournaments/

スタック

  • ビッグスタックの場合、ミディアムスタックを徹底的にターゲットにしましょう。なぜなら、ミディアムスタックのプレイヤーは得れるスタックが僅かなのに対して、失う価値が大きいためです。
    ビッグスタック同士の衝突は避けるべきです。衝突する場合は非常に強いハンドが必要です。また、ショートスタックはすぐに順位を確立する必要があるため、ビッグスタックに対して、よりディフェンスするでしょう。

  • ミドルスタックの場合、ビッグスタックとミディアムスタックとの衝突は避けるべきですが、ショートスタックをターゲットにします

  • ショートスタックはより緩やかにプレイする必要がありますが、他のショートスタックもターゲットにします。他のショートスタックにある程度の ICMプレッシャーをかけることができ、それらに対してオールインポットを獲得する利点はより大きくなります。

参考資料

ここまででBFを利用した立ち回りが把握できたかとおもいます。

それでは、ウォームアップ編、最後の内容です。ここまで、ICMに関しての理論を中心に紹介しました。次に重要なこととして、トーナメントの規模感を把握することです。なぜなら、ICMはトーナメントのペイアウトストラクチャーに影響を受けるためです。
よって、トーナメントにエントリーする際のフィールドサイズについて解説します。

フィールドサイズ


まず、フィールドサイズを2分すると

  • 大きいフィールド

  • 小さいフィールド

と分けることができます。この2つのフィールドを分散的観点、ICMの観点の2つで評価していきます。

分散的観点(シュミレーター使用)

まず、大きいフィールドのメリットを考えるためにシュミレートソフトを使います。
大きいフィールドとして、参加人数1,000人、ROI 10%、サンプル20、試行回数1000回とすると

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上図が1,000人MTTシュミレート結果です。
前提として、ROI 10%はかなり上手いプレイヤーであることが言えます。すると、ROI 10%であるにも関わらず収支がマイナスのサンプル数が多いことがわかります。さらに、長期間負けている期間が長いことが特徴的です。

つまり、フィールドが大きい場合、下振れ、上振れ期間が長く変化が激しいことがわかります。

フィールドが大きい場合、分散が激しくなり多くのバンクロールが求められる。

ということが言えます。
一方、100人MTTシュミレート結果を見てみましょう。

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上図より、100人MTTは、勝ち越しているサンプルが多いことがわかります。フィールドが小さい場合、分散が小さく常に厳しいICMプレッシャー下にあるということが考えられます。

ICMからの観点

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GTO wizard

ICMの観点から2つのフィールドを比較してみましょう。
GTO wizardのMTT  8max それぞれのICMを使用します。
1,000人、200人
(ICM /Left25%)
それぞれのBFを比較しましょう。

大きいフィールド(BF)と小さいフィールド(BF);Left25%

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左:1,000人、右:200人

上図を見てください。前述した内容の通り、テーブルにおいてミドルスタックのCOのBFが特に高いことが特徴的です。
では、左図と右図をみましょう。
それぞれのフィールドを比較すると、BFの値に差があります。

BF: 大きいフィールド<小さいフィールド

になっています。どちらも条件は同じであり、Left25%の状態です。しかし、小さいフィールドの方がBFが大きいのです。
このBFの差によって、大きいフィールドと小さいフィールドの戦略差があることがわかります。

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トーナメントの参加人数が多ければ多いほど、最終テーブルでの高額配当が遠ざかるため、そこに到達するためにはより多くのリスクを取る必要があるからルースになると考えられます。
一方、トーナメント参加人数が少ければ少ないほど、プライズプールに対するミニマムインマネの額が大きいため、よりタイトになると考えられます。

以上より、フィールドサイズが重要なファクターであるとわかりました。
ここまでがウォームアップ編でした。次からの内容として、ICMを考慮したプリフロップでの戦略を詳しく見ていきましょう。
参考資料


コラム : レイトレジスト


「レイトレジストが有利」ということがよく言われますが、果たしてレイトレジストは有利なのでしょうか?コラムとして、レイトレジストについて触れていきます。
多くのプロポーカープレイヤーの間で好まれるレイトレジストですがICMの観点を使って説明していきましょう。

例として、参加費$100の9人Sit&Goを考えます。図のようなPayOutです。
※SnGとは、人が集まり次第スタートする人数の少ないトーナメントのこと

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上図はトーナメント開始時のPayOut図です。図の一番右の列は、一人当たりのトーナメントエクイティは参加費が$100であるため、$100となっています。
1ハンド目で、SBとBBがHeads Upでオールインしてぶつかり、SBがバストしたとします。

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すると上図のようなPayOut状況になります。一番下のプレイヤーはSBであり、バストしてStack=0、Equity=0になっています。
ここで注目したいのは、1位のプレイヤーのトーナメントエクイティが$183.33であるということです。純粋にチップ量が倍になったからといって、トーナメントエクイティが倍になるわけではありません。
ここまでの内容をしっかり見ている皆さんならお気づきですね。

チップを得る価値<チップを失う価値

チップを得る価値が過小評価されるからです。

ここでさらに、面白いことが発見できます。
ダブルアップしたプレイヤーは、$83.33のエクイティを得ました。では、バストしたプレイヤーのエクイティは$0であるため、残りの$16.66($100 − $83.33 = $16.66)はどこに行ったのでしょうか。

他のプレイヤーのトーナメントエクイティを見てください。$102.38に増加していることが確認できます。
これは、$16.66 / 7人 = +$2.38 となり、7人で残りのエクイティを分配していることになります。

このことより、

フォールドすることによって、エクイティを得られるのです。

これはICMの鉄則であり、このエクイティ面で得られる以上のリスクを負うことになります

では、この状況が進み、4人がバストしたとします。すると、トーナメントエクイティはこちらの図のようになります。

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ここでレイトレジストが1人入り、レイトレジストが終了したとします。するとトーナメントエクイティの表は下のように遷移します。

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ペイストラクチャー

レイトレジストしたことによりプライズプールがUpしました。その影響により、1位のみが恩恵を受けています。これは、ペイアウト構造がプライズプールに対しての割合で振り分けられるからです。注目すべきなのは、1位とレイトレジストした6位のプレイヤーが+エクイティを得ていることです。

したがって、レイトレジストが有利であることがわかります。
しかし、ここまで読み「レイトレジストをして期待値を追ってやる!」と情報を鵜呑みにしたあなた、とても危険です。
確かに、レイトレジストは時給、低いSPRでの戦い、エントリーを複数できる、というように間違いなく利益が得られます。

一方、レイトレジストとすると、ICM の計算により、時間通りにレジストした場合に比べてトーナメントに勝つ可能性が低くなります。この理由は、上図のペイアウトストラクチャーを見てください。
確かに、+エクイティに注目するとエクイティ増加量ではレイトレジストは有利なことがわかりますが、トーナメントエクイティで比較するとスタック20,000とスタック10,000との間には、$90の差が生じています。
このことより、レイトレジストはトーナメントエクイティの増減上は有利であるが、優勝やトーナメントで勝つという頻度に焦点を当てると低いことがわかります。

さらに、ペイアウトストラクチャーがフラットである場合、優勝や上位に残るインセンティブは少なくなります。そのため、インマネすることの価値が高くなるため、レイトレジストが非常に有利であると言えます。
一方、ペイアウトストラクチャーがトップヘビーである場合は、強烈なROIを優勝や上位に残るによって得ることができます。そのため、トップヘビーのストラクチャーである場合は、レイトレジストが必ずしも有利に働くとは言えません。ただし、インマネと幾つもトーナメントに出れば全体的に+ROIを得やすいことに変わりはありません。

トップヘビー:レイトレジスト▲
フラット:レイトレジスト○

と言えます。レイトレジストしない方がポーカーを楽しむことができるため、十分に楽しみたい場合は最初からレジストしましょう。バストしたとしても、リエントリーをすることで+エクイティを得れます。

参考資料

GTOwizard




インストール編:プリフロップ


ここまでの内容では、ICMについての理論的な内容を紹介しました。理論をやったところでどうやって使えば良いのかということが言えます。
ここからは、実践へ導入するため、ICMプリフロップを研究していきましょう。

プリフロップ-ICM-


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本記事ではGTO wizardのICM対応プリフロップを使います。前述の内容より、ICM戦略に早く切り替えるプレーヤーは、平均してより高いリターンを享受することができるということがわかっていますね。
では、全てのパターン(例えば、Left100%〜FTまでのように)を覚えようとすると非常に効率が悪いでしょう。
そこで今回はLeft37% プリフロップから見ていきましょう。

50BB-Left 37%〜NearBubble 200人


こちらの図のようにUTGがミドルスタックである時を考えます。
「ICMプレッシャー下であるとタイトになればいいんでしょ?」と考えがちですが、果たして本当にそなのでしょうか。UTGのOpenレンジから見ていきましょう。

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MTT200人 Left37% 卓内の状況
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図1:ICM版のBFとそれぞれのスタック

UTGは卓内ではミドルスタックのためBFが高くなるはずです。上図のBFを確認します。すると、BFは他のスタックより高く、ICMプレッシャーを十分に受けていることがわかります。

下図は、50bb UTGのOpenレンジです。

UTG Openレンジ


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左図:ICM、右図:cEV

UTGは十分なICMプレッシャーを受けているため、よりタイトになっています。特に、ミドルカード(T8s〜98s、KTo〜KJoを含む)での参加を制限しています。これは、3betされた際のリスク、ヒットした時にキッカー負けのリスクが原因だと考えられます。
ここで特徴的なレンジとして、AXsKXsのレンジの減少率がそれほど大きくないということ、55s以下のポケットペアでのRaise頻度の減少・消失です。
K6sなどのRaiseレンジは消失しているもののK8sのRaiseレンジは依然として存在しています。さらに、A3s以上はRaiseレンジです。
一方、55s以下のポケットペアは、AnteがありFlop到達確率が高く、Flop以降で非常にEQRが低くなってしまうため、Raise頻度がなくなっています。
以上のことより、

ICMプレッシャーがある程度かかったとしてもAXs、KXsの価値が減少しづらい

FLOP以降にEQが実現しづらいLowポケットの価値は減少しやすい。
マージナルハンドの価値は減少しやすい。

ということが考えられます。

さらに、ICMをLeft37%、Left25%、NearBubbleと遷移させてみました。

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タイトになるということは間違いなさそうですがポケットペアの頻度低下であると言えそうです。

では、UTGがOpenし、3betをBTN、COのそれぞれから受けた時のリアクションを見ていきます。(BF図1参照)

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UTGのBFは以下の通りです。
vs CO(34bb):BF= +3.6%
vs BTN(63bb):BF=+5.0%

スタックをカバーされているBTNとの争いの時に、BFは非常に高くなっています。一方、vs COはこちらがスタックをカバーしているため、1番BFが低くなっています。それでは、それぞれのケースにおける戦略です。

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比較図1:vs CO時のBF=+3.6%、vs BTN時のBF=+5.0%

左図:vs CO 3bet(BF = +3.6%)

青がFOLD、緑がCALL、オレンジ色がサイズ2xの4betです。
まず、CALLレンジは3種類に分けられます。

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CALLレンジ
・セットマイン(ポケットペア)
・スーテッドコネクター(特に65sなどのLawストレート目)
・AQs、AJs、KQs

このレンジはEVが0〜0.2未満になっています。このレンジの特徴として、4betしたとして、vs5betに抵抗できないようなレンジであることが言えます。つまり、vs5betに抵抗できないが、EV0以上のハンドと覚えることで応用の幅は効きますね。

次にRaiseレンジです。Raiseレンジはオールイン/4betという構成になっています。

Raiseレンジ
・オールインレンジ:AKo、A5s、JJs、TTs、99s〜66s(低頻度)
・4betレンジ(2x):AAs〜QQs、TTs、A5s〜A4s、K5s、AQo〜AJo、ATs、KJs〜KTs

オールインレンジは、相手COのスタック量をカバーしているため(BFが比較的低いため)、存在しているようです。相手の3betハンドに対して大きくドミネイトしているAKo、A5sをブラフAIレンジ、JJs〜TTsをピュアValueAIレンジにしています。
99s〜66sは、FOLD/CALL/RaiseがIndifferentレンジになっています。
4bet(2x)レンジは、ピュアValueレンジのAAs〜QQsです。このような強いハンドは1撃オールインすることはなく、相手のAIマージンをとっています。一方、A5s、K5s、ATs、KTsはある程度の頻度で4betになっています。A5s、ATsなどはよく知られている4betハンドレンジでしょう。K5sのようなハンドが入っているのが印象的です。A5sと同じ理由でブラフ4betとして作用しています。

右図:vs BTN 3bet(BF = +5.0%)

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次に右図のvs BTN 3betレンジを見てみましょう。こちらのレンジはBFが高くスタックをカバーされている時のレンジです。

CALLレンジ

比較図1を見てください。BFが高くなった影響でCALL頻度が減少しています。QQs〜TTsが3betCALL頻度が高くなっています。さらにAQs、KQsのEVが減少していることがわかります。しかし、76s、65sなどのLawボードが出た時にほぼBDFD/BDSDが形成できるLawスーテッドはCALL頻度は依然としてCALL頻度は高いです。
やはり、BFが高くなるとCALLレンジは非常にタイトになるようです。タイトになっているハンドレンジの傾向としては、QQs以下のペアハンド、AQs〜AJs、KQsの3種類です。

Raiseレンジ

AAs以外のハンドのEVが全て減少しています。Raiseレンジは一部のAKoを除いて4betをしています。AAs〜QQsがValueレンジとなっています。特徴的な部分としては、K5s、K9sです。これはIP側の3betがリニアーレンジになっているため、4betレンジよりポラーにしていると考えられます。
このことより、BFが高くなると明確にポラーレンジを作るということが考えられます。

では、BFが高いNearバブル vs CO 3betにしてみましょう。

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NearBubble vs CO 3bet

上図を見てください。COのスタックをカバーしているものの、Nearバブルでは、BF=+8.1%と先ほどの戦略よりもBFが高くなっています。4bet(2x)レンジがAAs〜KKs、AKo、KJs〜K8sなどのようにJJs〜TTsでのRaiseが消失し、よりポラーになっています。
以上より

BFが高くなるとvs 3betの戦略はポラーなレンジを好む

と言えるでしょう。そもそも4betレンジはポラーですが、QQs〜TTsレンジが、CALL or FOLDのIndifferentになるということですね。

ここまではUTGのOpenレンジを紹介しました。次にBTNのOpenレンジを見ていきましょう。

BTN Openレンジ


下図は、50bb BTNのOpenレンジです。
BTN Openレンジ

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左図:Left37% 50bb、右図:chipEV 50bb

BTN OpenレンジであるLeft37%(BF>+6%)とchipEVを比較してみましょう。
Left37%はレンジ50.3%でRaise、cEVはレンジ54%でRaiseを行っています。Raise頻度の減少はJ2s、T3s、74sなどの弱いスーテッドハンドとオフスートコネクターの一部です。BTNまでFOLDで回ってきた場合、基本的にレンジが広くICMプレッシャー下においても50%程度でOpenすることができるようです。
ここで、BTNが卓内のチップリーダーであるため、レンジが広いという可能性があります。しかし、BFはvsSB,BBだとしても+6%以上です。

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上図を見てください。試しにBBをチップリーダーとしました。それにも関わらずBTN openレンジはそれほど影響を受けていないことがわかります。
では、ICMプレッシャーをキツくしてみます。

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Left25%

こちらの画像は、Left25%としたときのBTN Openレンジです。ややタイトになっていますが、それでもOpenレンジは広いことが確認できます。

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上図はそれぞれのBFごとのBTN Openレンジです。主なレンジ変化としてはオフスートレンジの減少です。特に扱いづらいQXo、JXoがこの対象となっています。


では、BTN Openしたのちに、ブラインドから3betされた時のBTNレンジをみていきましょう。

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比較図2

上図はBTNがSB,BB のそれぞれに3betされた時のレンジです。BFは各6%、6.2%です。

両者を比較するとCALLレンジはレンジは相似しています。それぞれのアクション頻度を表にしました。すると、CALL頻度はほとんど変わっていませんが、Raise頻度とFOLD頻度には差があることが視覚的にわかります。

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下左図:vs SB3bet、下右図:vs BB3bet

表の赤矢印はそれぞれの差分を示しています。
ΔRaise頻度=5.3%、ΔFOLD頻度=5.8% です。
この二つの値がとても近いことから、FOLD or RaiseのIndifferentレンジの減少・増加と考えられます。
vs SBの場合は4bet率は12.8%に対してvsBBでの4bet率は7.5%と減少しています。一方、FOLD率は vsSB→vsBBにかけて5.8%増加しています。このことから、BB3betに対して、FOLD/RaiseのIndifferentレンジ群のFOLD頻度を上げると考えられます。
具体的には、K6s〜K2sの4betレンジの消失と、AXoの4bet頻度の低下です。このレンジに注目して比較図2を見てください。Raiseレンジの消失が確認できます。この理由としては、SB 3betはリニアーかつある程度広いレンジで行っているが、BB 3betはCALLオプションがあるにも関わらず3betを選択しているため、非常に狭いレンジとなっているからです。

下図は、BTN Openを受けた時のSB,BBの戦略です。SBはリニアーレンジ、BBはポーラライズドレンジで3betしています。特にBB 3betレンジは特徴的でAXoで3betを行っています。この部分はのちほど詳しく紹介します。

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では、vs SB3betのBTN戦略を見ていきましょう。

Left37% Avg50bb BTN vs SB 3bet 


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こちらは、左図がBF=+6.2%でBTNがSBの3betに直面した時の戦略、右図がcEVでの50bbでの戦略です。
ICMとcEVの大きな違いは、ICMでは2.2xの4betをしているのに対して、cEVではALL INをしています。
この4betレンジに注目すると、レンジの使い分けも違うことに気づきます。特に、「KXsとAXo」:「KXsとAXs」の4betレンジです。

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ICMでは、ブラフ4betレンジがKXsとAXoですが
cEVでは、ブラフ4betレンジがAXsとKTs、一部ポケットになっています。
(※このブラフ4betという言い方は正確ではありません。表現上利用しています。)
どちらも4betはポラーなレンジで行いますが、BFの影響によって、ポラーなレンジ構成が変わっています。ここまで再現する必要があるかは懐疑的ですが、この理由としてはSBの3betレンジが原因であることは明白です。
ICM Left37%のSBレンジは、cEVと比べるとCALL頻度が低下していることにより、 3bet頻度がやや増加し、ややポラー気味になっているからでしょう。言い換えるとcEVの場合のSBレンジは、比較的リニアーな3betレンジと言えます。

このことにより、

ややポラーレンジの3betに対してはKXs、ポラーレンジに、
リニアーレンジの3betに対しては、AXsをポラーレンジにする

と考えられます。

実際にSB vs BTN Openの戦略を比較してみましょう。
こちらはSB戦略 vs BTN Openです。左図がICM、右図がcEVです。

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SB戦略

では、BFによってこの4betレンジはどのような遷移をしていくのでしょうか。4betが、ポラーレンジ3betに対してはKXs、リニアーレンジ3betに対してはAXsとなるのであれば、BFが上がるにつれて相手の3betレンジはリニアーになると予測されます。よって、4betブラフとしてはAXsに遷移すると予想されます。

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上図は、Left37%、Lefft25%、NearBubbleと変化させた時のBTN戦略です。
KXs→AXsへ4bet(ALL IN含む)へ遷移していることが確認できますが、K2s〜K3sのようなハンドを2x-4betレンジへ、A2s〜A4sをALL INレンジになっていると捉えることができます。

では、次にBTN vs BB 3betを見ていきましょう。

Left37% Avg50bb BTN vs BB 3bet


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左図がLeft37%でのBTN戦略、右図がcEVのBTN戦略です。
Left37%のCALL頻度とcEVのCALL頻度に注目してください。Left37%の場合のCALL頻度は29%であるのに対して、cEVは41.8%となっています。ICMプレッシャー下にあるBTNはタイトになっていることがわかります。vs SB 3betと比較すると、ICMとcEVでのCALL頻度の差が顕著になっていることに気づきます。

ここで、vs SB、vs BB戦略をそれぞれのcEVとICMで比較してみましょう。
(※注意点:vs SB,BBでは異なるBFですが、それぞれのBF=6,6.2%となっているため大きい差にはならないとしました。実際にBTNがSB,BBにカバーされている状態で試したところ有意な差は確認できませんでした。)

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cEVとICM(Left37%)

cEVとICMを比べるとICMプレッシャー下において、vsSB、vs BB共にCALL頻度が減少しています。特にvs BBでのCALL頻度が大幅に減少しています。
つまり、ICMプレッシャー下におけるvs BB3betではcEVよりも大幅にタイトになるべきということがわかりました。
次にRaiseレンジ(2x,AIレンジ合計)においては顕著な変化がないことより頻度に対しては変化がないようです。
理論上のプリフロップにおいて、ICMプレッシャー下ではFOLD頻度を増やすということに加えて、実践におけるvs BB 3betを考えると、OverFoldをしても問題ないと考えられます。

では vs BB 3bet戦略のレンジを詳しくみてみましょう。

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CALLレンジ

CALLレンジはAXs、K7s〜KQs、Q9s〜QJs、55s以上のポケットあたりが目に付きます。下限として、44s〜、Q9s以上と覚えるといいですね。
さらに、ATo、AJo、KJo、QJoでもCALLしていることがわかります。QJoがIndifferentであることは直感的に感じます。印象的なのは、AAsです。AAsは純粋にCALL頻度100%です。これは相手BB 3betレンジが非常にタイトであることを利用し、AAs vs 相手タイトレンジである場合、驚異的なEQを持っていることが起因していると考えられます。
この情報はかなり応用のきく考え方であり、もし、SB 3betをBBに似た非常にタイトレンジで行うプレイヤーが相手の場合は、CALL頻度を多くしても良いと考えられます。

Raiseレンジ

Raiseレンジは4bet 2xレンジとALL INレンジの二つに分かれています。
まずALL INレンジです。ALL INレンジは非常に少ないです。
その構成はAKoの一部、AQo、TTs(JJs)、88s、44sとなっています。ALL INレンジはAQoとTTsでほぼバランスをとっています。これは相手BB 3betレンジが非常にポラーなため、リニアーレンジでAIを返しています。

次にRaise 2xレンジです。
Raise 2xレンジの構成はAK、AQs、JJs〜KKs、KJs、AToになっています。特定のAXoは低頻度で4betするようです。

次に最も頻繁に遭遇するであろうBBでのDFを見ていきましょう。

ICMプレッシャー下のBB


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BB vs UTG

下図はBB戦略の具体的レンジです。Left37%、Left25%、NearBubble、cEVとそれぞれの戦略になっています。

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まず、こちらの折れ線グラフを見てください。それぞれのアクション頻度を縦軸、Bubble Factorを横軸に設定し、グラフ化しました。このグラフを使いBFとCALL頻度(FOLD頻度)の関係性を視覚化してみました。

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縦軸:アクション頻度(%)、横軸:Bubble Factor

Bubble Factor(横軸)が増加するにつれて、FOLD頻度が増加すると思いきや、cEV〜Left25%までCALL頻度が増加しています。一方、Left25%〜NearBubbleにかけて急激にFOLD頻度が増加しています。
cEV〜Left25%まではスタックのカバー度がバラバラになってしまったためと考えられます。そのため、cEV〜Left25%までは状況によって変わる可能性があり、CALL頻度大きい変化がないまたは、CALL頻度がわずかに減少するとした方が良いでしょう。
しかし、Left25%〜Near BubbleにかけてのFOLD頻度(赤く丸で囲ってある部分)をみてください。FOLD頻度の増加が15%〜20%程度であることが確認できます。これは有意な差であるため、Left25%〜NearBubbleにかけてタイトになると言えます。
では、どのあたりのレンジがFOLDすることになるのでしょうか。

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左がLeft25%、右がNearBubbleでBFが約2x程度になっています。
Left25%→NearBubbleになるとCALL頻度は15%ほど減少しています。タイトになっていることがわかります。
具体的には、赤枠のレンジがFOLDになっています。
ギャップがかなりあるスーテッドハンド(J2s〜62s)がFOLDになっていることがわかります。さらに、K8o以下レンジがFOLDになっています。この理由としては、ギャップスーテッドは非常にFLOP以降のプレイアビリティが低いためと考えられます。

次にRaiseレンジを見るとどちらも非常にタイトになっています。
特徴的なところとしては、AXsとKXsの関係です。BBの3betレンジは通常ポーラライズレンジで行いますが、上図を見ると非常にリニアーになっていることがわかります。
明確なバリューとしてはAAs〜KKsのみで行い、QQs以下のポケットペアではCALLをしています。このことより、非常に高いICMプレッシャー下では、AAs〜KKsのみ3betバリューを行うことがわかります。(50bb)
一方、3betブラフはBFが増加するほど、AXs→KXsへと遷移しています。4betレンジとは逆なことがわかります。

BB vs BTN

次にBB vs BTNを見てみましょう。ICMプレッシャー下においても相手BTNレンジが広くOpenしていることが既知の事実ですね。すると、BBの抵抗レンジも変わらないと安直に考えてしまいますが、ICMプレッシャー下のOOPということです。
さて、下図がそのLeft37%〜NearBubbleにおけるBB抵抗レンジです。

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まず最初に、こちらの折れ線グラフを見てください。それぞれのアクション頻度を縦軸、Bubble Factorを横軸に設定し、グラフ化しました。

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グラフより、Left25%→NearBubbleにかけてFOLD頻度が増加しています。どうやら、BFとFOLD頻度の関係値がLeft25%からNearBubbleにかけて非常に密接であると言えます。予想通りNearBubbleであるとタイトになるのは間違いなさそうです。
このことより、NearBubbleでBTNにプレッシャーをかけるということがあるようですが、ALL IN頻度が生じ、Raise頻度が低下していることよりプレッシャーをかけるのであればALL INが良さそうです。
ここで、戦略を見ていきましょう。上図の戦略図をみてください。

全体的に、cEV〜NearBubbleの戦略を見ても、FOLDレンジはほとんど変化していないように思えますが、NearBubbleの場合はJXoのギャップがかなり開いているJ6o以下やT6o以下をFOLDレンジに含める傾向が見られます。通常、BTN Openに対してBBはほとんどFOLDしない傾向にありますが、実際のシーンでは相手のBTN Openレンジが思ったよりもタイトであることを考えると、NearBubbleではよりタイトにプレイすることが望ましいでしょう。

次に、cEV 戦略を見るとBBはJ7s、T7sなどを交えてポラーなレンジで3betをしています。しかし、ICMプリフロップではA2o〜A7o、K2o〜4oを3betレンジにしています。4betが来たときに素直にFOLDできるようなハンドであることがわかります。
NearBubbleにおいても、AXo、KXoが3betレンジになっています。このようなプレイアビリティがとても低いオフスートを3betし、AQo、A2oの一部でALL INするのはとても良い戦略でしょう。

ここまでの内容はAvg.50bbでのICMプリフロップを紹介しました。しかし、ICMプレッシャーが大きくなるLeft25%〜NearBubbleの時点でAvg=50bbであるシーンはほとんどないでしょう。
Left25%〜NearBubble(Left37%を含む)ではAvgスタックが40bb以下であることが一般的です。この40bb以下のICMプリフロップが非常に重要であり、最頻です。
では、ここからスタックサイズ 25bb〜40bb ICMプリフロップ戦略を見ていきましょう。

最頻 "20bb〜40bb" Left37%〜Near Bubble


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Openレンジ -40bb以下-


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UTG Openレンジ Left37%〜NearBubble

Avg.40bb

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上図はAvg.40bbでのそれぞれのステージにおけるUTG Openレンジです。

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