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個人の投資心得は常に「下がりましたけど、何か?」

知っ得・お金のトリセツ(146)

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野尻哲史さんの投稿野尻哲史

株式市場が大荒れだ。2日の日経平均株価の下げ幅は、2200円を超えた。経済指標の発表後、にわかに強まった米経済のハードランディング(硬着陸)懸念に、日銀の利上げを契機とした円高進行、地政学リスク等も加わり「フリーフォール(自由落下)状態」との声も上がる。

今年から新しくなった少額投資非課税制度(NISA)を使い、恐る恐る「貯蓄から投資」へ踏み出したばかりの新人投資家はさぞ驚いたことだろう。だが、慌てることはない。マーケットとはこういうもの。大きく下がる日もあれば急速に上げる日もある。そもそも6月半ばに一時3万8000円を割った株価が、あれよあれよと言う間に4万2000円台まで押し上げられたのは7月中旬、ついこの前のことだ。3万6000円の水準でも去年の今ごろよりまだ3000円以上高い。

この時として激しくなる値動き、すなわちリスクこそがリターンの源泉だ。NISAやiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)など非課税の器を使ってコツコツ長期投資の航海に出た人であればなおのこと、今してはいけない行動はただ一つ。慌てて売却することだ。

慌てて売るべきでない理由①〜個人には決算期がない

大きな下落を目の当たりにすると「大損した」と思いがちだが、それは「含み損」であり、元値と現値の差は単なる机上の数字だ。売らない限り「実現損」にはならない。そこに四半期ごとに運用成績を査定されるプロの投資家との大きな違いがある。

こういう局面でいわゆる「売りが売りを呼ぶ」展開になるのは、人のお金を預かっているプロが損失を最少化するために売らざるを得ないから。投資期間を自由に決められる個人投資家であればその特権を生かすためにも、反対売買の必要があるレバレッジ取引からは適切な距離を置いておこう。必要となるタイミングが決まっていない余裕資金で行うことも投資の鉄則だ。

かのカリスマ投資家、バフェットも言っているではないか。「好きな保有期間は永遠」と。

慌てて売るべきでない理由②〜下げは積み立て投資の養分

長い投資期間が取れる個人にとって、相場下落は貴重な仕込み時期と捉えることもできる。毎月など同じ間隔で同じ額を投じ続ける積み立て投資が威力を発揮するからだ。NISAのつみたて投資枠やiDeCoに加え、会社員の人の確定拠出年金(DC)もそうだし、100円から可能な投資信託の購入なども積み立て型の一例だ。

値動きのある金融商品に対し同じ額を投じ続ける「ドルコスト平均法」なら、価格が下がれば買える量が多くなる。1000円の予算でリンゴを仕入れる時、1個100円なら10個しか買えないが、翌月同じリンゴが半額に下がれば20個買える。翌々月は逆に500円に値上がりすれば2個しか買えない。3カ月合計では投下資本3000円に対し手にしたリンゴは32個で単価は94円弱。1個100円に比べ仕入れコストは引き下げられている。簡単な算数だが、積み立て投資とは自動的にこの「コスト引き下げ効果」を発揮してくれる装置なのだ。つまり下げ局面が貴重な養分になる。

バブルの最高値から始めても積み立てなら利益

日経平均の値動きで見てみよう。バブル最高値(3万8915円)を付けた1989年から毎年毎年、NISAのつみたて投資枠で可能な年120万円の投資を続けたと仮定する。36年間の元本は4320万円に膨らむ。仮に高値圏で一括投資していれば3万6000円割れの水準では当然1割弱の損失を抱える。ところが積み立て投資の場合、下げ局面で増やした購入量の増加がモノを言う。2日の急落後の水準でも5000万円以上の大幅な含み益を持つ計算になる。このメカニズムに納得がいけば、時折訪れる荒れ相場は貴重な仕入れ機会と思えるはず。今売ってしまえばその機会を逸する。

とはいえ、荒れる相場のさなかで投資を始めるのは怖い。ちょっと落ち着いてからにしよう、そう思うかもしれない。だがあまり意味はない。何せ長期投資の毎月積み立てで考えれば、10年なら120分の1、20年なら240分の1のインパクトしかない。いくらで投資を始めるか、「始値」にはあまり意味はない。

「強制退出」にならないために コントロールできるものをコントロール

一方、出口の「終値」は大きなインパクトを持つ。一括投資でも同様だが、特に積み立て投資の場合、それまでせっせと仕込んだ量の増加があるだけに、決定的に重要だ。だからこそ暴落時にマーケットから退出するのが最悪の選択だ。

そうならないようにできることは何か? 自分のリスク許容度との相談につきる。急いで現金化する必要がなければ、投資はいったん休止して相場の回復を待つ選択肢を持てる。投資に振り向ける額は途中退出しないですむ金額に設定しよう。今回の下落で耐えられないほどの痛みを感じたら、それがサインだ。投資金額を調整する。その後は日々の値動きに一喜一憂せず目線を高く保とう。投資の目的はなにか? 投資で何を実現したいのか? どんな投資家になりたいか? それを考えるのが途中で退場せずに投資を続けられる秘訣だ。ようこそ、長期投資の大海へ――。

(2021年6月の記事を基に再構成しました)

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年からマネー・エディター、23年から編集委員兼マネー・エディター、24年から編集委員兼論説委員。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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    野尻哲史合同会社フィンウェル研究所 代表
    ひとこと解説

    こういう時こそ、改めて「なんのために運用を続けているのか」を考えて欲しい。資産運用を始めた時には目的があったはずで、その目的を実現する時に初めて現金化するべきだ。資産運用は相場に合わせるのではなく、自分の都合に合わせて欲しい。退職後の生活費として運用しているのなら、現役世代はまだ現金化するのは何十年も先の話だ。売り急ぐことは全くない。

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