教団が世界に保有する富の資金源は日本

数多あるアメリカの教団系企業の中でも、最大の成功を収めたのが「トゥルー・ワールド・フーズ」だ。40種類以上のサーモンや5種類の鯛、イクラの加工品などの魚介類だけでなく、鰻のたれ、ゆずなどの柑橘類、さらには包丁まで、アメリカの寿司職人が必要とするおよそすべての商品を扱っている。

写真はイメージです
写真はイメージです
すべての画像を見る

現在では、アメリカ17州に加えて、イギリス、カナダ、スペイン、韓国、そして日本にも支社を持つまでに成長を遂げた。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」の記事「The Untold Story of Sushi in America」(2021年11月5日付)によれば、トゥルー・ワールド・フーズは、2021年度、アメリカとカナダに8300以上の顧客を持ち、日本支社はアメリカに年間1000トン以上の鮮魚を輸出している。

アメリカの高級・中級の寿司店向けの鮮魚販売の実に7〜8割を同社が占め、グループ全体の年間売上高は5億ドル(当時の為替レートで約570億円)を超えるという。

あのウコン飲料に鮮魚販売、学習塾も…知られざる旧統一教会系企業のビジネス展開「日本は教団が世界で保有する富の最大の資金源」との声も_2

だが、トゥルー・ワールド・フーズの成功や、同社を筆頭とするアメリカの統一教会系企業の隆盛は、日本の統一教会による霊感商法や事実上強制的な献金が下支えしていたのだ。

アメリカの教団系企業の多くが、70年代後半から80年代前半に設立されているが、日本で霊感商法がピークに達していた時期と重なる。いわば、日本人の被害によって、教団が言うところのアメリカン・ドリームは成就したのだ。

英紙「フィナンシャル・タイムズ」(2022年7月16日付)は「教会の指導者らが、日本から米国へ送金された数十億ドルをふくむ信者の労働力と資産を、企業帝国を築き上げるために搾取している」との批判があると指摘し、「日本は教団が世界で保有する富の最大の資金源」というのが多くの識者の一致した見方だとしている。

文鮮明教祖は1975年から日本の統一教会に月20億円の送金命令を下し、約10年間で送金された額は2000億円に上ったことが元幹部信者の告発で明らかになっている。「ニューヨーク・タイムズ」(2021年11月5日付)が報じた、日本の統一教会元財務担当者の供述と内容が一致する。

「文が信頼する日本人会計士の秘書が約180万ドルを詰めたブリーフケースを持ってアメリカに到着した。1976年から2010年まで、日本統一教会はアメリカに36億ドル以上を送金することになる」

アメリカの教団系企業の成功を支えたのが、資金面では日本からの送金だったが、人的に大きな貢献をしたのもまた日本から渡米した数百人の信者だった。選抜されたエリート信者たちはアメリカに入国すると、国際合同結婚式でアメリカ人とマッチングする。

こうしてアメリカ市民権を取得した後、教団系企業で薄給、あるいは無給で、寝食を忘れて献身的に働き続けたのだ。