西武は2日、育成選手としてプロ3年目を迎えている菅井信也投手(20)と支配下選手契約を締結したと発表した。新しい背番号は「71」となる。
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みそスープに浮かんだ辛みそを溶かして食べる「赤湯ラーメン」で知られる山形・南陽市の出身だ。「やっぱり関東のラーメンより赤湯が好きですね。家系ラーメンとか最初はちょっと油っぽくて苦手だったんですけど、最近は普通に食べられるようになりました」。上京から3年、さらさらヘアーの好青年は上京生活にも慣れてきた。
プロ野球選手になりたかった。中学卒業時、日大山形と山本学園で迷った。「日大山形なら甲子園に行けるよ、と言われて。でも山本学園の指導は合いそうだしプロになれるよ、と。自分はプロになりたかったので」と山本学園を選んだ。甲子園には行けなかった。
調査書は3球団から届いた。育成指名ではプロに行かないと決めていたが、西武の思いは強かった。気持ちが揺らぎ、指名を受け入れた。ドラフト会議当日のことは忘れない。
「うちの野球部、人数は少ないんですけれど、みんなが待っててくれて。でもやっぱり支配下では呼ばれなくて」
マスクを着けて待つ長時間。支配下指名が終わっての中断時間に、トイレに行った。「かかんないかもしれない」。隣の友達につぶやいた。
「大丈夫だから」
友は励ましてくれた。育成3位で指名されると、仲間たちが大きな拍手を響かせてくれた。「あれは忘れないですね」と懐かしむ。
雪国で育った。控えめながら愚直に努力を重ねてきた。西武時代の内海投手コーチ(現巨人コーチ)に教えを受けて作ってきたフォームは、チェックポイントがいくつかもある。確かめるように何度も静止しながら、焦らず作ってきた。
「一番大事なのはスタートの位置だと。スタートの位置がずれるとそこからもう全部ずれる、そう教わってきました」
左肩の筋力は平均より弱めながら、動きは人より柔らかい。一方で、肩甲骨の動きはやや悪い。独特の腕の振りが相手打者を惑わせ、昨秋のフェニックス・リーグでは日本シリーズを控えた阪神打線を6回1失点に封じてみせた。
控えめでさわやかなビジュアルで、ちゃんと立ち止まってあいさつできる若者は、実はなかなかの負けず嫌い。個性をチームに溶かしながら生きていく。【金子真仁】