エーテルのきせき

夢咲蕾花

序幕 忌術師

 妖術や魔術、呪術や法術——本来人々に忌み嫌われるそれら異能を扱うはぐれ者、「忌術師」たちは、もともと人の目を忍んで暮らしていた。

 しかし六十七年前の史上最悪の呪術テロによって忌術師の存在は明るみに出て、その存在を暴露された。

 以来怪異や妖怪、忌術の類は一般に浸透し、知れ渡った。


 忌術師は今や一事務所が保有し運用する労働力となり、人々にとって当たり前——とまではいかなくとも、それなりに知られた存在となっていた。

 けれども怪異や妖怪に対する忌避が消えてなくなったわけではない。

 いまだ人々は未知の多い怪異を恐れる。或いは、謎多き妖怪にある種の憧憬を抱く。そして、彼らの力を扱う忌術師に畏れを抱く。


 これはそんな時代、そんな場所で過去に因縁を持つ青年が、逃げ出した過去に追い縋られそれに清算をつけるまでの物語。

 過去の因縁、宿業と宿痾の、戦いの——エーテルのきせき。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る