日韓固有の海女文化守れ 無形遺産登録へ動き活発
日本と韓国固有の「海女文化」を両国で連携し、ユネスコの無形文化遺産に登録しようという動きが活発だ。2011年10月、国内最多の計約千人の海女がいる三重県鳥羽、志摩の両市で開かれた「海女サミット」で登録を目指すことを宣言、県も支援に意欲的だ。
登録活動は07年から韓国側の呼び掛けで開始。韓国では08年から「海女祝祭」が、三重県では09年から海女サミットが毎年開かれ、両国の交流を深めている。鳥羽市によると、11年のサミットには国内の12県と韓国・済州島の海女計78人が参加。済州島で無形文化財に指定されている「海女唄」の披露やアワビの稚貝の放流が行われた。
サミット実行委員長を務め、登録活動の中心を担うのは「海の博物館」(鳥羽市)の石原義剛館長(74)。10年には、約30年ぶりに全国の海女数を調査するなど、海女文化の保存に長年尽力してきた。登録活動も済州島で石原館長が講演したことを契機に始まっており「海女が仕事に誇りを持てば、漁村に活気が戻り、地域社会の活性化へつながる」と意気込む。
石原館長によると、産卵期はアワビを捕獲しないなどの規制が厳守されてきたが、乱獲や海の環境変化で激減。海女の後継者不足も深刻で、平均年齢が60歳代と高齢化している上、専業海女が減っている。活動を進めるのはこうした危機感もある。
鳥羽市で民宿を営み、義母と娘の3世代で海女の中川早苗さん(39)は、海女の魅力を「女性が独立でき、自然と一体になれるエコな仕事」と話す。娘の静香さん(20)は地元の大学に通う海女。3人で県内外の観光イベントに出席し、海女文化の紹介に努める。
鈴木英敬知事は「近く県の無形文化財に指定したい」と後押しを明言。無形遺産登録に必要な国の重要無形文化財指定を目指す。〔共同〕