大きいだけじゃない! 人間よりも小さい恐竜3選

  • 文:幕田けいた
  • イラスト:服部雅人
  • 監修:田中康平(筑波大学 生命環境系 助教)
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約2億3000万年前に現れ、さまざまな姿や形態に進化した恐竜たち。今回は、これまで見つかっている種の中で、小さな恐竜たちを紹介する。

Pen最新号は『恐竜、再発見』。子どもの頃に図鑑や映画を通して、恐竜に夢中になった人も多いだろう。本特集では、古生物学のトップランナーたちに話を訊くとともに、カナダの世界最高峰の恐竜博物館への取材も敢行。大人になったいまだからこそ、気付くことや見える景色もある。さあ再び、驚きに満ちた、恐竜の世界の扉を開けてみよう。

『恐竜、再発見』
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恐竜は巨大な生き物。そんなイメージがあるが、実際にはペットサイズの小型恐竜も生息した。人間が抱えられるくらいに小さいものや、空中を滑空する種もいた。

フルイタデンス(全長75㎝)

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時代:ジュラ紀後期
これまで見つかった恐竜の中で、最小の鳥盤類(恥骨と座骨が平行する骨盤を持つ類)のひとつ。見つかった下顎には、尖った牙のような歯があり、おもに植物や昆虫などを食べていた可能性がある。二足歩行で移動し腕は短く、長い後肢の骨は小型の獣脚類恐竜のように中空で軽くなっていた。体重は0.8㎏ほどと推測。

ミクロラプトル(全長80㎝)

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時代:白亜紀前期
北アメリカ大陸に生息していたディプロドクス類(竜脚類)で、40tもの体重があった。首の骨は幅が広く短い。かつては「ブロントサウルス」と呼ばれていたが、それ以前に見つかっていた恐竜と同じであることがわかり、アパトサウルスと呼ばれるように。ただし、最近の研究でこの2種は別々の恐竜であることがわかった。

イー(全長50㎝)

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時代:ジュラ紀中期
中国・河北省で化石標本が発掘された、体重0.38㎏の羽毛恐竜。鼻の先端から体の大部分を羽毛が覆っていた。樹の上に棲んでいたと考えられ、グライダーのように滑空していたと推測されている。この翼は独特で、上腕の細長い第3指から皮膚でできた膜状の滑空面を張った、コウモリの翼のようなかたちだった。

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Penによる特別館内ツアーを8/23(金)に開催決定! ナイトミュージアムにご招待

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Penのオリジナル企画として、8月23日の金曜夜に、本展の特別な館内ツアーを実施。限られた当選者のために、識者によるナビゲートも予定。ぜひ、家族や友人とご応募ください。

【応募方法】
Penの公式Xアカウント(@Pen_magazine)をフォローの上、特別ツアー募集の告知投稿をリポストしてください。

応募方法と注意事項の詳細は、下記URLからご確認ください。

www.pen-online.jp/article/016499.html

【応募締切】
2024年8月4日(日)23:59
当選者の発表は、当選者へのDMによって代えさせていただきます。 
※当選通知は2024年8月中旬を予定していますが、諸事情により通知が遅れる場合がございます。

『巨大恐竜展 2024』

期間:開催中~9/13
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 パシフィコ横浜 展示ホールA
TEL:050-5541-8600
開館時間:9時~17時(8/10〜8/18は19時まで) ※入館は閉館の30分前まで 無休
料金:一般¥2,400
www.giantdinos-ex.com

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ジュエリーメゾンが芸術の新たな扉を開く、ダンスフェスティバルが今秋開催

  • 写真:土屋崇治(TUCCI)
  • 文:岡見さえ
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10月4日に開幕する「ダンス リフレクションズ」のプログラムのひとつ、マチルド・モニエの『ソープオペラ、インスタレーション』。 photo: Marc Coudrais

2022年のロンドンを皮切りに世界をまわってきたフェスティバル、「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」が今秋日本で開催される。なぜハイジュエラーがダンスと関わるのか? プログラムのディレクターを務めるキーパーソンに話を訊いた。

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セルジュ・ローラン●ヴァン クリーフ&アーペル ダンス&カルチャー プログラム ディレクター。フランスの高等教育機関エコール・デュ・ルーブルで美術史や博物館学を学ぶ。1990〜99年までカルティエ現代美術財団でキュレーターを、2000〜19年までポンピドゥー・センターで舞台芸術企画部門の責任者を務める。19年より現職。

世紀を超えて紡がれる、ヴァン クリーフ&アーペルとダンスの物語

ヴァン クリーフ&アーペルとダンスの物語は1920年代に遡る。1906年にメゾンが最初のブティックを開いたヴァンドーム広場は、パリ・オペラ座ガルニエ宮から徒歩10分ほど。創業者のひとりルイ・アーペルはバレエを愛し、後にメゾンのアメリカ展開の核となる甥クロードを連れ、バレエ公演に通っていたという。メゾンは40年代にダンスの瞬間の美をジュエリーの永遠の輝きに昇華させた「バレリーナ クリップ」を発表し、卓越した技術と芸術性を証明しつつダンスにオマージュを捧げる。

同じ頃、ニューヨーク五番街にアメリカ初の店舗がオープンし、50年代からシティ・センターを本拠地とする振付家ジョージ・バランシンとクロードとの交流が始まった。このネオクラシック・バレエの巨匠は、67年にエメラルド、ダイヤモンド、ルビーにインスパイアされた珠玉のアブストラクト・バレエ『ジュエルズ』を世に送る。その後もバレエを中心とするメゾンのダンス支援は続いた。

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1940年代に初めて制作され、メゾンのアイコンとして長く愛されてきた「バレリーナ クリップ」。発表年は左から1941年、43年、45年。
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ニューヨークのブティックにて『ジュエルズ』の衣装につけるジュエリーを選定する、左から創業家2代目のピエール・アーペル、バレリーナのスザンヌ・ファレル、振付家のジョージ・バランシン(1976年頃)。

物語に新章を開いたのは2020年、コンテンポラリーダンス対象のメセナプログラム「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」の誕生だ。なぜバレエではなく、現代ダンスなのか? それはメゾンが舞踊芸術の歴史と進化に関心を抱いているからだという。「ハイジュエリーメゾンの歴史を、ダンスの出現とともに綴るアイデアがありました」と、プログラムを統括するセルジュ・ローランは語る。

パリの名だたる現代美術館の要職を歴任したローランは、ダンスを広い芸術の文脈で捉え、明確なヴィジョンをもって「ダンス リフレクションズ」を推進する。鍵となるのは、メゾンの哲学と響き合う「創造・継承・教育」という3つの価値だ。活動の第一レベルを成す「創造」については、世界各地のアーティストへの創作支援と、世界15カ国50組織のネットワークを通した上演支援を行っている。「一年中、世界のどこかでダンス リフレクションズがサポートするダンス公演が行われています」とローランは言う。

22年に始まったフェスティバルは、いわば「ダンス リフレクションズ」の第二レベルであり、「継承」「教育」とリンクする。毎回開催国が異なり、地域性よりいま見るべき振付家・作品が選ばれている理由について「さまざまな場所で観客にダンスを届け、私たちのヴィジョンを共有し、観客一人ひとりがダンスを通して新たな価値を発見することを望んでいます」とローランは語る。公演には振付家のトーク、初心者から経験者までのワークショップが伴い、多様な観客に向けた鑑賞にとどまらないダンス体験の機会が提供される。

「リフレクションズ」には、未知の美学との出会いを通した「反映」「内省」のふたつの意味が込められている。今秋のフェスティバルで多彩なダンスと出会い、響き合い、私たちはいかなる内省へと導かれるのだろう?

ダンス リフレクションズの詳細はこちら

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メゾンが大切にしてきた、ダンスと日本とのつながり

「ダンス リフレクションズ」は、2020年に始動して以降、日本でもさまざまな公演をサポートしてきた。パートナーシップを結ぶ「彩の国さいたま芸術劇場」「ロームシアター京都」「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」における近年の支援例を紹介する。


岡田利規
『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』
彩の国さいたま芸術劇場(2022年)

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言葉と身体との関係を更新し続け、現代社会の課題に批評的な視点から切り込む演劇作家の岡田利規。岡田がテキストと演出を担い、ダンサーの湯浅永麻がそれらを身体に取り入れ、語り、踊る。言葉が誘発する、新たなダンスのかたちとは? photo: 大洞博靖


ルース・チャイルズ&ルシンダ・チャイルズ
『ルシンダ・チャイルズ1970年代初期作品集:Calico Mingling, Katema, Reclining Rondo, Particular Reel』
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭(京都市京セラ美術館/2023年)

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2022年より「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」とも結び付きを強めてきた。本作は、3つの柱のうちのひとつ「継承」をテーマに、モダンダンスの巨匠の作品を現代に蘇らせた。 photo: 守屋友樹


ディミトリス・パパイオアヌー
『INK』
ロームシアター京都(2024年)

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世界各地の劇場やダンスカンパニーとのネットワークを活かし、世界的に人気の振付家の招聘もサポート。本作は、2004年アテネ五輪の開閉会式の演出も手掛けたパパイオアヌーによる、シュルレアリスムの美学に満ちた幻想的な舞台で、会場を大きな熱狂の渦に巻き込んだ。 photo: Julian Mommert


ノエ・スーリエ
『The Waves』
彩の国さいたま芸術劇場 / ロームシアター京都(2024年)

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「ダンス リフレクションズ」は創設以来、振付家やダンスカンパニーの支援だけでなく、世界各地の劇場とパートナーシップを結んでいる。日本では彩の国さいたま芸術劇場とロームシアター京都と提携し、フランスの新進気鋭の振付家、ノエ・スーリエの招聘をサポートした。 photo: 大洞博靖


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