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千田有紀

千田有紀認証済み

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武蔵大学社会学部教授(社会学)

報告

提言すべての人は差別なくスポーツをする権利をもっているのは当然の前提として、スポーツには公平性や安全への配慮も不可欠である。スポーツによっては、性別や体重等でカテゴリーを区分するのも、こうした配慮があるからである。しかし一言で「性別」といっても、こうしたケースへの対応の問題はずっと燻ってきている。トップアスリートになればなるほど、「典型的な女性」の状態から逸脱するひとが現れがちだからだ。 国際ボクシング協会が性別適格性検査に合格させなかったものを、IOCが「パスポート」に基づいて資格を与えたことで、当該選手の身体にことさら注目が集められてしまうこととなった。詮索、ましてや非難は謹んであげて欲しい。プライバシーの侵害である。 こうした配慮をした上で改めて、テストステロン値が高い思春期を過ごしたひと、またいまだ高いひとの出場カテゴリーについての議論は続けられるべきであろう。

コメンテータープロフィール

千田有紀

武蔵大学社会学部教授(社会学)

1968年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京外国語大学外国語学部准教授、コロンビア大学の客員研究員などを経て、 武蔵大学社会学部教授。専門は現代社会学。家族、ジェンダー、セクシュアリティ、格差、サブカルチャーなど対象は多岐にわたる。著作は『日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか』、『女性学/男性学』、共著に『ジェンダー論をつかむ』など多数。

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