携帯電話の契約や銀行口座の開設時に必要な本人確認について、政府はマイナンバーカードに搭載されたICチップ情報の読み取りを原則義務化する。本人を装った犯罪行為を防ぐ狙いだ。開始時期は未定だが、SNS(ネット交流サービス)上では「カード取得の強制だ」などと批判が噴出。強引な進め方に、専門家も疑問を投げかける。
募る不信感
「携帯の機種変更ができないんじゃ、嫌でも作らないといけないのかな」。熊本県に住む70代の女性はため息をつく。マイナンバーカードも運転免許証も持っていない。これまで携帯ショップでの本人確認には、健康保険証と公共料金の領収書を示してきた。
マイナンバーカードは誤登録などの問題が相次ぎ、女性は不信感を募らせる。今年12月には「マイナ保険証」への移行に伴い現行の保険証は廃止されるが、カードを作る気にはなれない。ただ手持ちの携帯電話は10年以上使い、そろそろ古くなってきた。「義務化が始まる前に機種変更すれば、カードを作らなくてすむのかな……」
非対面はマイナに一本化
政府は6月、「国民を詐欺から守るための総合対策」をまとめた。その中で、携帯電話の契約や口座開設などで法律に基づく本人確認をする際、①オンラインなど非対面では「マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証など(の画像)を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類などは廃止する」②店舗など対面でも「マイナンバーカードなどのICチップ情報の読み取りを義務づける」――と明記した。
デジタル庁幹部は、非対面で本人確認に使えるのは「…
この記事は有料記事です。
残り1894文字(全文2556文字)