超重量級ビッグサイズの恐竜7選

  • 文:幕田けいた
  • イラスト:服部雅人
  • 監修:田中康平(筑波大学 生命環境系 助教)
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約2億3000万年前に現れ、さまざまな姿や形態に進化した恐竜たち。今回は、超重量級のビッグサイズを全長26メートル、30メートル、37メートル級で紹介!

Pen最新号は『恐竜、再発見』。子どもの頃に図鑑や映画を通して、恐竜に夢中になった人も多いだろう。本特集では、古生物学のトップランナーたちに話を訊くとともに、カナダの世界最高峰の恐竜博物館への取材も敢行。大人になったいまだからこそ、気付くことや見える景色もある。さあ再び、驚きに満ちた、恐竜の世界の扉を開けてみよう。

『恐竜、再発見』
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※大型恐竜の全長の測り方

大型恐竜の全長は化石標本をもとに割り出すが、パーツが揃っていない場合は似た恐竜の化石で欠損部分を補い計測。体重の推定は、重さを支える上腕骨と大腿骨の周囲長から割り出す計算式を用いる。

26メートル級:アパトサウルス

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時代:ジュラ紀後期
北アメリカ大陸に生息していたディプロドクス類(竜脚類)で、40tもの体重があった。首の骨は幅が広く短い。かつては「ブロントサウルス」と呼ばれていたが、それ以前に見つかっていた恐竜と同じであることがわかり、アパトサウルスと呼ばれるように。ただし、最近の研究でこの2種は別々の恐竜であることがわかった。

26メートル級:ブラキオサウルス

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時代:ジュラ紀後期
「ブラキオ」とは「腕」という意味で、上腕骨が長く「腕トカゲ」の意味を持つ名前が付けられた。かつては「重い体重を支えるために水中で暮らした」と推測されたが、水中で生活していた証拠は見つかっておらず、完全に陸棲だった。体重は57tほどだと推測されている。ジュラ紀後期から白亜紀前期に、現在の北米大陸に生息。

26メートル級:ドレッドノータス

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時代:白亜紀後期
南米・アルゼンチンから産出した植物食恐竜。他のティタノサウルス類よりも完全な骨格が見つかっているが、頭部や首は発見されていない。その重量は59tと推定され、オスのアフリカゾウの8.5頭分相当以上である。名前は1906年建造のイギリスの戦艦「ドレッドノート(恐れを知らずの意)」にちなんでいる。

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30メートル級:トゥリアサウルス

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時代:ジュラ紀後期
ヨーロッパにおいて、これまでに発見されたティタノサウルス類の中で最大だと考えられている。現在のスペイン東部でほぼ全身の化石が発見された。体重は50t
ほどにもなったと考えられている。首の骨などに特徴があり、ティタノサウルス類の中でもトゥリアサウルス類というグループに属する。

30メートル級:ルーヤンゴサウルス

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時代:白亜紀後期
中国・河南省に生息していたティタノサウルス類(竜脚類)。白亜紀のアジアで発見された最大の恐竜のひとつ。全長は30mを超えると考えられているが、化石は胴体部分と2m以上もある大腿骨しか見つかっておらず、体重は大腿骨のみから推測された数値。30m超の全長も、他の恐竜の骨格標本との比較から推測。

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37メートル級:パタゴティタン

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時代:白亜紀後期
現在のアルゼンチンのパタゴニア地域に生息していた。化石標本は、上腕骨と大腿骨を含め、全身の大部分が最大6個体分も発掘されている。その化石から体重は69tとも推定されている。化石の付近からは多数の植物化石も産出しており、針葉樹が多い森林地帯に生息していたことがわかった。

37メートル級:アルゼンチノサウルス

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時代:白亜紀後期
アルゼンチンに生息していた史上最大級の竜脚類のひとつ。化石は脊椎や肋骨など、骨格の一部しか発掘されていないが、脊椎は約1.6mもあるものだった。体重を推定するために必要な上腕骨は見つかっていないが、アルゼンチノサウルスだと思われる大腿骨だけで推測すると、体重は95tにも達したようだ

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Penによる特別館内ツアーを8/23(金)に開催決定! ナイトミュージアムにご招待

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Penのオリジナル企画として、8月23日の金曜夜に、本展の特別な館内ツアーを実施。限られた当選者のために、識者によるナビゲートも予定。ぜひ、家族や友人とご応募ください。

【応募方法】
Penの公式Xアカウント(@Pen_magazine)をフォローの上、特別ツアー募集の告知投稿をリポストしてください。

応募方法と注意事項の詳細は、下記URLからご確認ください。

www.pen-online.jp/article/016499.html

【応募締切】
2024年8月4日(日)23:59
当選者の発表は、当選者へのDMによって代えさせていただきます。 
※当選通知は2024年8月中旬を予定していますが、諸事情により通知が遅れる場合がございます。

『巨大恐竜展 2024』

期間:開催中~9/13
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 パシフィコ横浜 展示ホールA
TEL:050-5541-8600
開館時間:9時~17時(8/10〜8/18は19時まで) ※入館は閉館の30分前まで 無休
料金:一般¥2,400
www.giantdinos-ex.com

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ジュエリーメゾンが芸術の新たな扉を開く、ダンスフェスティバルが今秋開催

  • 写真:土屋崇治(TUCCI)
  • 文:岡見さえ
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10月4日に開幕する「ダンス リフレクションズ」のプログラムのひとつ、マチルド・モニエの『ソープオペラ、インスタレーション』。 photo: Marc Coudrais

2022年のロンドンを皮切りに世界をまわってきたフェスティバル、「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」が今秋日本で開催される。なぜハイジュエラーがダンスと関わるのか? プログラムのディレクターを務めるキーパーソンに話を訊いた。

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セルジュ・ローラン●ヴァン クリーフ&アーペル ダンス&カルチャー プログラム ディレクター。フランスの高等教育機関エコール・デュ・ルーブルで美術史や博物館学を学ぶ。1990〜99年までカルティエ現代美術財団でキュレーターを、2000〜19年までポンピドゥー・センターで舞台芸術企画部門の責任者を務める。19年より現職。

世紀を超えて紡がれる、ヴァン クリーフ&アーペルとダンスの物語

ヴァン クリーフ&アーペルとダンスの物語は1920年代に遡る。1906年にメゾンが最初のブティックを開いたヴァンドーム広場は、パリ・オペラ座ガルニエ宮から徒歩10分ほど。創業者のひとりルイ・アーペルはバレエを愛し、後にメゾンのアメリカ展開の核となる甥クロードを連れ、バレエ公演に通っていたという。メゾンは40年代にダンスの瞬間の美をジュエリーの永遠の輝きに昇華させた「バレリーナ クリップ」を発表し、卓越した技術と芸術性を証明しつつダンスにオマージュを捧げる。

同じ頃、ニューヨーク五番街にアメリカ初の店舗がオープンし、50年代からシティ・センターを本拠地とする振付家ジョージ・バランシンとクロードとの交流が始まった。このネオクラシック・バレエの巨匠は、67年にエメラルド、ダイヤモンド、ルビーにインスパイアされた珠玉のアブストラクト・バレエ『ジュエルズ』を世に送る。その後もバレエを中心とするメゾンのダンス支援は続いた。

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1940年代に初めて制作され、メゾンのアイコンとして長く愛されてきた「バレリーナ クリップ」。発表年は左から1941年、43年、45年。
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ニューヨークのブティックにて『ジュエルズ』の衣装につけるジュエリーを選定する、左から創業家2代目のピエール・アーペル、バレリーナのスザンヌ・ファレル、振付家のジョージ・バランシン(1976年頃)。

物語に新章を開いたのは2020年、コンテンポラリーダンス対象のメセナプログラム「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」の誕生だ。なぜバレエではなく、現代ダンスなのか? それはメゾンが舞踊芸術の歴史と進化に関心を抱いているからだという。「ハイジュエリーメゾンの歴史を、ダンスの出現とともに綴るアイデアがありました」と、プログラムを統括するセルジュ・ローランは語る。

パリの名だたる現代美術館の要職を歴任したローランは、ダンスを広い芸術の文脈で捉え、明確なヴィジョンをもって「ダンス リフレクションズ」を推進する。鍵となるのは、メゾンの哲学と響き合う「創造・継承・教育」という3つの価値だ。活動の第一レベルを成す「創造」については、世界各地のアーティストへの創作支援と、世界15カ国50組織のネットワークを通した上演支援を行っている。「一年中、世界のどこかでダンス リフレクションズがサポートするダンス公演が行われています」とローランは言う。

22年に始まったフェスティバルは、いわば「ダンス リフレクションズ」の第二レベルであり、「継承」「教育」とリンクする。毎回開催国が異なり、地域性よりいま見るべき振付家・作品が選ばれている理由について「さまざまな場所で観客にダンスを届け、私たちのヴィジョンを共有し、観客一人ひとりがダンスを通して新たな価値を発見することを望んでいます」とローランは語る。公演には振付家のトーク、初心者から経験者までのワークショップが伴い、多様な観客に向けた鑑賞にとどまらないダンス体験の機会が提供される。

「リフレクションズ」には、未知の美学との出会いを通した「反映」「内省」のふたつの意味が込められている。今秋のフェスティバルで多彩なダンスと出会い、響き合い、私たちはいかなる内省へと導かれるのだろう?

ダンス リフレクションズの詳細はこちら

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