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【東京ゲームショウ2003】

「具だくさん」に生まれ変わる アトラス
「真・女神転生III -NOCTURNE マニアクス」イベントレポート

期間:9月26日~28日(26日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ

 「真・女神転生III -NOCTURNE」が、さまざまな追加要素と共に、新たなテーマを提示して生まれかわることとなった。「マニアクス」を冠したタイトルは、開発者の意志によって、より深く、濃く、進化を遂げ、さらにカプコンの「デビル メイ クライ」の主人公「ダンテ」が作品内に登場するという、驚きのコラボレートが実現した。
 「東京ゲームショウ2003」の最終日に行なわれたこのイベントは、2部構成となっており、ファンの前で開発者によるこの作品への熱い“想い”が語られることになった。

■現場とのキャッチボールで生まれた「具だくさん」
 
 第1部のステージに登場したのはこの作品でクリエイティブディレクターをつとめる金子一馬氏と、チーフディレクターである山井一千氏。
 
 ではまず、「真・女神転生III -NOCTURNE」では“創世”というテーマに入り込みやすくするために、多少削った部分もあったという。この部分を「真・女神転生III -NOCTURNE マニアクス」に盛り込み、さらに人間側の視点で書かれていた物語に、「悪魔側の話」を盛り込んだシナリオが加えられるようだ。新たなキャラクタ、新たな悪魔も登場し、ボリュームたっぷりだった前作から、さらにパワーアップした内容になるという。
 
 「悪魔は2度生まれる」というのが本作のキャッチフレーズ。金子氏によるイメージイラストでは、主人公の頭上にたくさんの「魔人」達が描かれている。「ゲームショウで展示してあるものは、下の部分だけで、もっと上の方にはさらに魔人達が描いてあります。彼らは“死”を象徴している。“生まれた瞬間死が待っている”、という意味を込めて描きました。ゲーム的な視点で語れば、これ以上の悪魔を詰め込んだよ、と、そんな意味も含んでます」とのこと。
 このコメントだけではなく、金子氏は「具だくさん」という言葉をさかんに使って本作のイメージを強調する。さまざまなダンジョンや悪魔が追加され、特に「シリーズを通してプレイをしている人達には、ニヤリとさせられるところが多くなるだろう」とのこと。「『真・女神転生III -NOCTURNE』を2周も、3周も、5周もしてくれるユーザーがいるのがうれしかった、そういう人達にも満足をさせられるものを作りたかった」と、金子氏。前作のセーブデータを持っていると、より一層楽しめるかも……とのことだ。
 
 本作には様々な新たなアイデアが詰め込まれることになった。それを可能にしたのは山井氏を含む、「現場」スタッフの強い思い入れ。まず現場から様々なアイデアが出され、それを金子氏がさらに強い思い入れで投げ返すという“キャッチボール”を経て、「具だくさん」な作品へとなっていったという。
 
 金子氏いわく「『マニアクス』はドラマなどで言えばスペシャルバージョン、あるいは劇場版といった位置づけで、さまざまなアイデアを盛り込まれている。それとともにシンプルな、“ゲームとして楽しめる”、“RPGってなんだろう?”という部分に焦点を当てた、遊べるゲームを作ったので、いつまでも楽しめるゲームになった」と言う。ちなみに「完全新作も……」という話がポロリ。こちらは今後の情報に期待したい。
 
■ムービーでカプコンを説得? “ダンテ”登場の経緯
 
 本作の大きな目玉である「デビル メイ クライ」の主人公「ダンテ」の登場。イベント第2部には岡田耕始氏と、カプコンの第一開発事業部プロデューサー 田中剛氏が、このコラボレートを語ってくれた。
 
 以前から岡田氏を初めとしたゲーム開発者は「業界として、作り手として、活性化を図るために、例えばメーカーを超えた何かができないか?」という考えを持って話をしていたという。ちょうどそのとき制作スタッフから、「“ダンテ”を出したい!」という声が挙がってきたという。「うちのスタッフは、もちろん『真・女神転生』が大好きなんですけど、『デビル メイ クライ』も好きだというのも多くて、そういえば彼は“デビルハンター”だし面白いかなと……」と、岡田氏。ダンテの登場は、アトラスの現場サイドからの企画が実現させたコラボレーションなのである。
 
 田中氏はアトラスのスタッフの「本気」に、驚かされたという。「会社経由でアトラスの企画書が来てダンテを出したいと言うことだったのですけれども、ほぼ同時に『ビデオがあるから見てよ』といって、その中で既にダンテが動いてたんですよ!」と、田中氏。

 この作品は岡田氏の指示によるもので、「企画をする上で、また、実現させるために、本当にダンテが『真・女神転生』の世界観に入ってこれるかを試す意味でも、まず作ってみたんです。攻略本とか、設定資料集とか見て、ダンテの服装や、細かいところまで作りこんでですね、で、いけると。これで説得しようと」。岡田氏とスタッフが作り上げたのはダンテと主人公の邂逅シーン。ビルの上から、一気に飛び降りて、ダンテが主人公に銃を突きつける。というもの。田中氏も「すごいなあ」と感心させられたという。

 このムービーに込められたスタッフの熱意が、アトラスとカプコンのコラボレートを実現させた。しかも、ただ出るだけではなく、アクションから、RPGへ「手法」の変わるダンテのチェックには田中氏を初めとしたカプコンスタッフもかかりきりになり、綿密な打ち合わせが行なわれたという。「デビルハンターだから、追っかけてこなくては」といったシーンの演出から、彼のセリフひとつひとつにまで、細かいチェックが入ったという。

 「ダンテが『真・女神転生』の世界にいるというのは、ある意味、“違和感”が生じる。その違和感もコラボレートの意味であり、特徴だと思う。そこもまた注目してもらいたい」と、岡田氏。また、岡田氏は今後とも、こういったコラボレートを企画することで業界を盛り上げていきたいとも語った。

第1部に登場したクリエイティブディレクターの金子一馬氏 (右) とチーフディレクターの山井一千氏 (左)第2部にはスペシャルゲストとしてカプコンの田中剛第1開発事業部プロデューサー (右) を迎え、アトラスの岡田耕始氏との対談が実現


□アトラスのホームページ
http://www.atlus.co.jp/
□アトラスの東京ゲームショウ2003ページ
http://www.atlus.co.jp/cs/news/tgs2003.html

(2003年9月29日)

[Reported by 勝田哲也]



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