オーバーロード〜約束の指輪〜   作:娘のパパの息子

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146話。神名

 いや、待て。まだだ。このまま会議を終わらせてはならない。

 なぜなら今このクレマンティーヌは聞き捨てならないことを言ったのだ。

 

「クレマンティーヌ、俺も?」

「アレス様も『ぷれいやー』様なのですよね?」

「違います」

「え?」

「違います」

 

 俺は変な記憶と力を持ってるだけの現地人です。

 

「アレスさん、それは無理があるかと」

「違いますぅ! 俺はカルネ村のハンス・エモットとメアリ・エモットの間に生まれたアレス・エモットですぅ! エンリ・エモットとネム・エモットのお兄ちゃんで何よりケラルト・エモットの旦那ですぅ!」

 

 だから俺は神ではなく現地人である。Q.E.D!

 

「しかしアレスは『剣神ペニー』なのだろう?」

「シャラップレメディオス!」

 

 話をややこしくするでないわ!

 

「『剣神ペニー』? アレスさん、剣神ってなんのことですか?」

「ちゃいますねんモモンガはん、これはちゃいまんねん」

「またエセ関西弁になっていますよ。まぁペニーさんほど『剣神』に相応しい人はいないと思いますけども」

「ですよね!」

「ケラルトも乗っからないでぇ……」

 

 俺、一度も自分から『剣神』って名乗ったことないからね?

 

「アレス様デアレバ武人建御雷様もオ認メニナルカト」

「我が創造主であられるたっち・みー様よりもお強い方であられる以上私も異存御座いません」

「コキュートスにセバスまで……」

 

 俺に味方は居ないのか?

それにセバスはたっち・みーこそって言うべきじゃないの?

 

「剣の神……」

「ふむ、クレマンティーヌよひとつ教えておいてやる。お前たちが神と呼ぶプレイヤーの中で最も強き者こそがそこにいるアレスさんだ」

「最強の……神様……」

「モモンガ! お前ェ!」

 

 支配者っぽい喋り方してるけどお前悪ノリしてるだろ!

 クレマンティーヌを見てみろよ! 完全に信じちゃってるよ!

 

「ちなみにそちらのケラルトさんもアレスさんと同じ存在である」

「本当ですか!? ケラルト様は何を司る神様なのでしょうか!?」

「魔を司る神、魔神です」

 

 俺がキリッとした顔で答えると、ケラルトは顔を赤くして俺の腕をペチンと叩いてきた。

 

「アレス!!」

「俺が『剣神』ならケラルトは『魔神』でしょうよ! 表裏一体!」

「アレスと表裏一体……それならアリですね」

 

 ヨシ!

 

「あの……一応会議中なのでイチャイチャするのは後でお願いします」

「「ごめんなさい」」

 

 モモンガに窘められたので素直に謝罪する。

 

「コホン……まぁ俺とケラルトはモモンガの友達ではあるけど、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルメンでは無いので神様ではありません!」

「そうだアレスさん、いつも色々助けて貰ってばかりなのでお礼を渡そうと思っていたんですよ。受け取って貰えますか?」

「え? 何? 今?」

「はい。手を出してください」

 

 促され右手を差し出すと、モモンガは指輪をひとつ取り出して俺の手に乗せた。

 

「ん!?」

「『リング・オブ・アインズウールゴウン』です。アレスさん、歓迎しますよ?」

「皆の者、新たに至高の御方となられたアレス様に忠誠の議を!」

「ちょっと待って!!!」

 

 なんでレメディオスとブレインも立ち上がって跪こうとしてるんだよ!

 ツアレとセリーを見てみろ、呆然と座っているけどあれが俺の求めている反応だよ!

 

 というかアルベドはスムーズ過ぎるだろ!?

 

「嫌なんですか?」

「別に嫌なわけじゃ無いけども……新規メンバーの加入はギルメン会議で決めないといけないだろ?」

 

 昔その会議の結果俺は加入を認められていたけどケラルト……当時のスーちゃんは人間種であったため認められなかった。

 なので俺たちは『外部協力者』や『同盟者』などというフワフワした立ち位置に立っていたのだから。

 

「ギルメン会議ならやりましたよ」

「何時やったんだよ」

「今です。今残っているギルメンは俺だけなので俺がアレスさんの加入を発議して俺が賛成しました。満場一致です」

「屁理屈かよ!」

 

 そりゃあ満場一致でしょうね! 投票者一人ですもんね!

 

「てか、今の俺は加入条件満たしてないぞ? 社会人はいいとして、純人間種だし」

「加入条件の緩和もギルメン会議で決めましたよ」

「だろうね!」

 

 今の状況って完全にモモンガがルールだもんね!

 

「正式な加入は玉座の間でしかできないようなので今のところ仮加入ということで……」

「はぁ……分かったよ。今まで通りの感じでいいのか?」

 

 ここに住めって言われると……あれ? 別にそれはそれで……

 

 結局俺、ここの家の子になっちゃった?

 

「構いません。ただ、問題が発生した場合などは招集を掛けることもあるかもしれませんが……」

「それはいいよ。元々そのつもりだし」

「アレスさん……」

 

 おい、ちょっと熱っぽい視線を向けてくるな。

 

 というかギルメン会議ってギルドの方針を決める会議のことだよね?

 つまりギルド長であるモモンガの進退もギルド会議で決定されるってことだよね?

 

 ということは……モモンガ、墓穴掘ったな。アンデッドだけに。

 俺が発議して俺が賛成すればモモンガが反対したとしても過半数。

 これは実質モモンガはアルベドと結婚したと同義だろう。

 

「まぁ……うん。よろしく頼むよギルド長」

「そういうことですので、スレイン法国に降臨(笑)する時には御一緒願います」

「しまった! そうだった! ハメやがったなコノヤロウ!」

 

 神様ルート一直線じゃねぇか!

 

「アレス、顔を隠せば大丈夫です。後で一緒に兜を見繕いましょう」

「ケラルト……」

「『プロゲーマーズ』のギルド長が装備していた全身鎧で良いのでは? あれなら顔も隠れますし」

「『よっぴぃ』の鎧か……」

 

 あれ西洋甲冑だから武器が『神裂』だとちょっと似合わないんだよな。

 それならよっぴぃの弟のぐっぴぃが装備していた和風甲冑の方がいいと思う。

 あれなら般若っぽい面もセットだから顔も分からなくなるし。

 

「ぐっぴぃさんの鎧ですか。あれかっこいいですよね、建御雷さんの鎧と似てますし」

「武人建御雷様ノ鎧……」

 

 なんだかコキュートスが反応している。

 自分の創造主の鎧と似ていると言われたら興味を持つのも当たり前だろう。

 

「それで行こう。通り名は『剣神』でも『鬼神』でもどっちでもいいや」

「『剣神』は『剣神ペニー』が王国や聖王国で結構広まっていますので『鬼神』の方がいいと思いますよ」

「ケラルト、どれだけ広めたの……?」

 

 教祖じゃん……

 

「カリンシャとエ・ランテルで剣を使う冒険者のほとんどですね」

「どうして……」

「貴方を探すためですよ?」

 

 それを言われると何も言い返せない。

 

「なるほど、探し人を見つけるために名を広めるですか、いい手段ですね」

「まぁ『ケラルト・カストディオ』の名前が広まっても気付けないだろうし、それよりは『剣神ペニー』の方が気付きやすくはあったのかな?」

 

 でもエ・ランテルで広めたのは再会した後じゃんね。

 ホントなんで広めたんだよ……

 

「では俺も『モモンガ』の名前を広めて……」

「げっ歯類じゃん」

「俺の名前ですよ!?」

 

 可愛いイメージしかないよ。

 少なくとも『死の支配者(オーバーロード)』っぽくは無いね。

 

 神様の名前がモモンガとかげっ歯類にしか御利益ないよ。

 

「ということで改名しよ?」

「どういうことですか!」

「ほら、モモンガだってユザネじゃん? また別にゴッドネームを設定するということで……」

「ゴッドネーム!?」

 

 ほら、学名とかそんな感じ。知らんけど。

 

「クレマンティーヌ、法国民の名前ってどんな感じ? あとお前のフルネームは?」

「法国では名前・洗礼名・家名となります。私のフルネームは『クレマンティーヌ・ハゼイア・クインティア』です」

「なるほど、なら俺なら『アレス・ほにゃらら・エモット』になるんだね?」

 

 なら俺も何か考えておいた方がいいのかな?

 

「『アレス・ペニー・エモット』でいいじゃないですか」

「ワンチャンそれもあり。でもペニーよりスーがいい」

 

 アレス・スゥ・エモット……悪くないね。

 

「それじゃあ『アレスゥ』みたいでカッコ悪くないですか?」

「ぶっ殺。じゃあお前は『モモ・ン・ガ』ね。よろしくモモちゃん」

「そこで分けるの!?」

「そこしか無くね?」

 

 四文字だもの。

 

「いや、でも『モモ・ン・ガ』はちょっと……」

「だったり今すぐ考えろ」

「ええ……そんな急に無茶ぶりされても……」

「決められないなら俺が決めるよ? 三分割した名前なんだしピッタリのがある」

「なんですか?」

「『アインズ・ウール・ゴウン』だよ」

「ちょ、それギルド名……」

 

 だけど条件にピッタリじゃん。

 三分割した名前で、かつ広めることでギルメンに気付いてもらえるそんな名前……それでいてかっこいいのだから超お得!

 

 これしか無くね?

 

「なるほど。私はいいと思いますよ」

「だよね?」

「ケラルトさんが賛成しちゃった……」

「モモンガ?」

 

 分かるよね? ケラルトが賛成した時点で決定だよ?

 

「いや、でもこの名前はみんなのものです。俺が独占する訳には……」

「俺は新規だけど言わせてもらうね? モモンガがその名前を名乗ることに反対するギルメンは居ないよ」

「私もギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の同盟者としてアレスの発言に賛同致します」

「えぇ……」

 

 モモンガの様子を見る限り嫌がっている訳では無さそうだ。

 その名前を自分が使うことに重圧(プレッシャー)を感じていると言った感じかな?

 

「他のギルメンがやって来て『ダメ』って言うなら戻せばいいよ。その時は一緒に謝るから」

「誰も否やは無いと思いますが……その際には私も一緒に頭を下げます」

「それなら……」

 

 モモンガが『アインズ・ウール・ゴウン』を名乗る限り俺たちが支えてやる。

 

 その思いを胸に立ち上がり、この場にいる全員に向けて俺はその名前の是非を問う。

 

「今、この瞬間からモモンガは『アインズ・ウール・ゴウン』へと名を変える! 異論のあるものは立ってそれを示せ!」

「ご尊名伺いました。いと尊き御方に絶対の忠誠を……『アインズ・ウール・ゴウン』様、万歳!」

「「「『アインズ・ウール・ゴウン』様、万歳!」」」

 

 この場にいるナザリックのNPCたちが一斉に跪き、守護者たちが口々に賛成の意を示す。

 

「至高の御方に私どもの全てを捧げます」

 

 うっとりした顔でシャルティアが告げる。

 

「「恐るべき力の王よ」」

 

 尊敬の眼差しでモモンガを見つめながら、アウラとマーレが声をそろえる。

 

「この世の全ての者が、御身の偉大さを知るでしょう」

 

 デミウルゴスが歓喜に打ちひしがれたように声を発する。

 

「全テを超越セシ我ラノ王」

 

 その王に剣を捧げると決めたコキュートスが覚悟の籠った低い声で唸る。

 

「死の支配者……オーバーロードに栄光を!」

 

 最後に、守護者統括として凛々しい顔をしているアルベドが締める。

 

「お前たちに厳命する! 『アインズ・ウール・ゴウン』を不変の伝説とせよ!」

「ちょ……アレスさん言い過ぎ!」

 

 高らかに宣言して悦に浸っている俺にしか聞こえないようにモモンガが小さな声で叫んでいた。

 

 これから神様になるんだからもっと堂々としていなさいよ。




NEXT
8月3日土曜日12時10分の予定でしたが遂に平均評価が8を切ってしまってショックです。
なので8月2日金曜日も12時10分に更新するので高評価を……高評価を下さい……
赤ゲージがいいです……

日曜日まで4日連続で投稿しますので……何卒……m(_ _)m



あと今回のお話でアレスが二人中一人が賛成すれば過半数だと思っている描写がありますがアレスの勘違いです。
二人中一人は過半数じゃないです。ちゃんと知ってます。

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