自分が楽しむことが大事。
関西在住の女性S様から「二年前にある日突然乳がんステージ4手術不可余命二〜五年の宣告を受けました。ガンであることを告白したのは七人ほどで、娘にも言っていません。言わない理由は『心配という呪い』をかけられることが嫌だったからです。坂爪さんにお願いがあります。関西に来られた時一度お目にかかって抱きしめていただけませんか?主人が亡くなってからずっと綱渡りのように頑張ってきて(仕方ない、当たり前やることをするだけと頑張ったつもりはありません)、だけれど最後も頑張らざるを得ないことにほとほと嫌になりました」と連絡をいただいた。正しい私の使い方である。
新阪急ホテルのロビーラウンジで待ち合わせ、私たちは合流した。S様は言った。今、家の整理をしている。本やDVDなど、自分の好きなものがたくさんあるのだけれど「余命24時間だとしたら、これらのものを手に取るか」という基準で部屋を眺めたら、ほとんどのものがガラクタに見えてきた。哲学書などが好きで集めていたが、最後に読みたいと思うのは和歌集だった。スターウォーズが好きで全部のDVDを持っているが、銀河戦争なんて本当にどうでもいいと思ってしまった。それよりも世界遺産とか世界の車窓からとかトワイライトエクスプレスの映像を見たいと思った。自分が好きだと思っていたものがガラクタに過ぎないと思った時は、強いショックを受けた。乳がんになってから、本当に色々なことがあからさまになった。
S様は続けた。坂爪さんに連絡をした時は弱気になっていたが、あれから、坂爪さんの記事を読んだりSMの女王様をやっている友達に会ったりしていたら、パッカーンと何かが開いた。女王様の友達には、彼氏がいた。だが、色々あって彼氏と揉め、現在は「私を好きな人の列の一番最後に並んでもらっている」関係性に変わったと言った。S様は、この言葉に衝撃を受けた。列の一番最後に並んでもらうだなんて、最高の発想だと思った。私は、相手のことをすぐに優遇して私の目の前に来させてしまう。だけど、列の一番最後に並んでもらうという発想を得てから、随分心が楽になった。女王様の友達は「自分が楽しむことが大事」と言った。自分が楽しんでいないと、お客さんにも伝わって、いい仕事ができなくなる。楽しむ側と楽しませる側に分かれるのではなく、主体と客体が溶けてなくなった時、ただ「楽しい」だけが残る。
私は女王様の言葉に共感した。S様を励ましたり元気づけたりすることを目的に会いたくなかった。そんなことより一緒に楽しみたかった。S様は言った。ガンの治療費を稼ぐために仕事は続けている。だけど「病気を治すため」というネガティブなモチベーションだけでは嫌になる。だから、ヘルシンキからサンタクロース村に行く『サンタクロースエクスプレス』か、世界自然遺産のカナディアンロッキーを五日間かけて走り続ける『ザ・カナディアン』という寝台列車に一緒に乗ってくれませんか。そのためだったら、頑張ってお金を貯められるような気がするし、働く意欲も湧いてくる気がします、と。私は「最高のアイデアですね」と言った。この世で一番正しい、私の使い方だと思った。
S様は言った。死を強烈に意識すると、色々なことがどうでもよくなる。病院に行くと深刻なことばかり言われるけれど、お医者さんの話を聞かないでいたら、がんの一部は石灰化してなくなった。まだ胸の一部にしこりはあるけど、ある日突然消えてなくなるのではないかと言う予感もある。長生きの秘訣は、傍若無人に生きること。自分は頑張って生きてきたと思っていたけれど、頑張ったと言うよりも「面倒なことを言われないで済む」範囲をうまいことやっていただけで、自分なりに、傍若無人に生きていたのかもしれない。引き続き、傍若無人に磨きをかけていきたいと思います。そう言って、私たちは別れた。夏の大阪に、良い風が吹いた。
今日はほんとうにありがとうございました。
おかげさまで「生きよう」から「生きてみせよう」という気持ちに切り替わりました。
「生きよう」は他者をどこか意識した言い方で「生きてみせる」は私自身に言っている感覚です。
フィンランド、カナディアンロッキーの旅、楽しみにしています。
また、会いましょう💕
おおまかな予定
8月1日(木)東京都品川区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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