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はじめての老い -見えてきた! 私がキレる老人になるまでの道-

「老年キレ易く、学なり難し」
むかしの人はうまいこと言いますな。

ワカモノのみなさんにおかれましては、キレる老人マジで迷惑・はよ消えてくれ、と感じておられるかと存じますが、自分が50歳くらいになる頃からでしょうか、ああ、キレる老人になりたくないなあ、というキレる側に視点が移動してきたりします。音もなくスッとワカモノから老人になってくるから油断がならない。
そうなるともう外出先などでキレている人をみるたびに、クソが、というより早く、ああはなりなくないな〜、キレたくないな〜と思うわけです。
日々の暮らしの中で、理不尽なことが起きてムカッ腹がたった時、あれ、いまキレかかったかな? キレてた? キレてない?
ギリギリセーフ! キレテナイ! very キレテナーイ! と自分を顧みる日々です。

まあ、しかし、キレるんだろうないつかは、思うわけですよ。マジでキレちゃう5秒まえですよ。

さて、キレる老人を見た時、みなさんはその原因をどのようにお感じになられているでしょうか。まあ、いろいろあるとは思うけど! 巷でよく批判の対象になる
「昭和の価値観をアップデートできない」プライドばっかり高い男性
ってやつでしょうかね。いつまで威張っとんねん、というね。私も、人の理不尽な行いを見てそう感じることはあります。

しかし、いざ自分がキレかも側になってみると「価値観のアップデート」以外の部分が、気になってきます。これがいっぱいあるんだ、まとめて言えば、加齢による心身の衰えってやつなんでしょうけどね。
老人になると、感情のコントロールが難しくなるというのは、もう体の心身のいろーんなところの変化から説明されまくっております。
例えば脳みそ。前頭葉の収縮によって怒りを抑制する力が落ちるから、などと説明されてしまう。またはテストステロンが少なくなってきてイライラするんすよ、とかとか。もういっぱいあるの。脳の病気と関連が深いとされる「感情失禁」などという怖い言葉もある。感情の、、、失禁、、、、。失禁ですか、、、、。怖い!

このように「心身の衰え」とキレることが否応なくガッチリと結びついてる事実を見続けていると、なんといいますかねえ〜、だんだんと「老人はキレるのが普通」とさえ思えてきてしまう。別にキレたいわけではないけれど。抗いたいと思うけれど、抗わなければ普通にキレるようになってくるわけですよね。ナチュラルにキレてくる。言わば自然体でキレる。ナチュラル派のキレ。天然由来のキレちらかしですわ。
なんか、めちゃくちゃ嫌だな!

最近私が、老いってものをどういうイメージで捉えているかというと、「体とこころのあらゆる場所のゴムがゆっるゆるになってきてる」ということなんです。体で言えば、関節の膝とか足首あたりのゴムがゆっるゆる。感情面でいうと、これまで抑制を保つための心のゴムがもうビロンビロンになってきてる感じ。注意を持続する緊張感という名のゴムもヘロヘロになってきています。若い時はまだ心と体のピシッとしてた部分が、一斉にゆっるゆるになってきている感じがします。タガが外れるってやつなのかこれは。
このゆっるゆるが、年を重ねるごとにさらにゆっるゆるになっていくならば、そりゃいつかはキレる老人になるだろうさ、ああ、なるさ、きっとなるよ、なるんだよ! なってわるいか! この若造共が! みたにキレるのかな。勘弁してほしいね。

まあそれはそれとして、
「プライドばっかり高い男性の『アップデートできない昭和の価値観』」由来のキレが存在しないのかといえば、それはもちろん存在するでしょう。

ちょっと前に、歯医者に行ったんですよ。しばらく行ってなかった歯科医院を久し振りに訪ねたんですよ。そしたらなんだろ、ちょっと「アレ?」と思ったんですねね。なんかこう、先生の態度が変わったな、と感じたんです。些細な言い回しとかそういう部分で。
「あ〜〜〜(笑)、もうここ歯、時間の問題やけどね〜」
みたいな。
この(笑)部分に、ん? なんだこれは? と思ったわけです。ナンカコー「舐められてる感」が急に来た。子供に接するように? 大人の男性から、老人扱いへの移動が始まったかな? と思ったわけですよ。
そういうことは当然起こるだろうけど、不意打ちだったのもあり、正直「カチン」と来たんだよね。なんだコイツ、、、、と感じたわけです。

その時ね、咄嗟に思い浮かんだのは、
・俺がコワモテだったらこの医者はこういう態度はとらんやろな
・坊主で眉毛でも剃ったらどうなるかな
・顔面に入れ墨をいれるべきか
というようなこと。
つまり、こいつに舐められないために、ちょい怖い感じにしたろかな、ということです。そんな必要もないのに、舐められないためにね。そんなことをやらんといけないと思うことはバカバカしいよなーと。しかし、その瞬間に「あ!」と思った。これは聞いたことあるやつだ、と。これはそうつまりアレだ、女性がぶつかりおじさんに対抗する時の手段そのものだ! と、ああ〜〜、そうだったか。わかったわかった、よくわかっていなかった。まったくよくわかっていなかったことがわかった。そうか、これか。
必要ないのにコワモテにせざるを得ないってこれか。
私が持っていた男性の特権が、老年になるとシワシワになっていくことで、初めて気付いた。そうだった。

老人になることは、弱いものになることですね。そして弱いものになると「舐めてもいい存在」にもなる。そういうこと?

正直、こうした舐めてくる態度に対して、どうしたもんかよくわからない。弱者としては舐めんじゃねえぞと声を上げるべきだと思うが、同時に荒げることが「昭和の価値観をアップデートできない爺さん」仕草でもある。

とまあ、少々悩ましいと思いながらも、そんな悩みも忘れちゃって、そのうちキレ散らかすんだろうなとも思います。

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