「今は『カードはお持ちですか？』と、いつでもどこでも聞かれることが増えましたよね。ラブホにもポイントカードがあります。“その日から使えて割引に”というようなシステムなので、旅行でもついつい……という話は、たまに聞きます」 　前田さんのバイト先にも、ポイントカードはあった。なるべく人と会わないシステムだが、“メンバー募集！ 当日から割引、ポイントプレゼントあり”とうたっているため、需要があったという。 「1回きりの人もいれば、“一泊無料券”が出るほど、利用してくださる人もいました。ポイントカードが見つからず、支払機の前でゴソゴソとしている人を見かけたこともありました。『結局、あの人カードあったのかな？』『チェックアウトのときに、ポイント後付けしてほしいって言われるかもね』という会話も、よくしましたね」 　前田さんは、「一緒にきている女性は、その姿に幻滅しないのか……」と、思っていたそうだ。　「最近、会社の先輩が、ラブホのポイントカードでイヤな思いをしたそうです」と、前田さんは教えてくれた。 「女性の先輩が出会い系アプリを始めました。数人と実際に会ったらしいのですが、どちらも年齢が年齢の大人なので、少し高めのお店で食事をして、『このあと、どうしますか？』という話になったそうです。それまでの男性に対する印象は、落ち着いていて会話も楽しいと思っていたみたいですが……」 　男性は「じゃぁ、僕の行きつけ……この中から選んでください」と、カードケースから3枚のカードをテーブルに並べたという。先輩は、「え、かなりスマートだし、行きつけのバーとか？」と、ときめいた。しかし……。 「テーブルに並べられたカードは、3枚ともラブホのポイントカード。固まる先輩を見て、『ここはコテージ風で』とラブホの説明が始まったそうです。『いい年して、ヤリモクだったみたい』と、怒りながら先輩は言いました」 　結局、言い訳をしてその場を切り上げたとのこと。 　少し話がズレてしまったが、そんなラブホのポイントカードにはどんな特典が付いているのかを、最後に前田さんに聞いた。 「価格には、ビジターとメンバーズ料金があり、入会当日から1000円～3000円くらい割引されたり、朝食が付いたりします。ポイントが貯まると、ドリンクサービスや低いランクの部屋の宿泊無料券とかまで、さまざまです」 　そのなかには、入会記念品として、さらに割引券がもらえるラブホもあるようだ。 ＜取材・文／資産もとお＞