起こるべくして起きた「円高」はどこまで進むか 米利下げ・日利上げで「円売り投機」が巻き戻し

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もっとも、11月にアメリカ大統領選を控え、新大統領の下での経済政策がまったく読めない中、本当にFRBが順当な利下げを重ねることができるのかもまた読みづらく、円ショートポジションが淡々と縮小するという想定が本当に正しいのかという疑義も残る(結局、筆者は縮小には限界があるように思っている)。

円安「時代」の円高「局面」

あくまで筆者が強調したいのは、年初の本欄「2024年の日本は『長い円安』の途中で息継ぎをする」でも強調したように、これから訪れる円高局面はあくまで今後長きにわたって続く「円安時代における円高局面」という大局観だ。

1973年の変動為替相場制移行後、「円高時代における円安局面」は何度もあった。円が変動為替相場制で取引されている以上、局面としての円高・円安はいつでも何度でも繰り返される。しかし、時代として円高が円安に切り替わったという事実はそう簡単に覆されない。

「時代」と「局面」という時間軸を分けて丁寧な議論を進めるべきであり、目先の値動きで構造的な議論が糊塗されるようなことは適切ではない。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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