中曽根康隆氏、清水真人氏、中曽根弘文氏が旧統一教会と接点 12市長は全員「関係ない」

2022年8月20日 06時00分
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係を巡り、本紙が群馬県関係の国会議員10人を対象としたアンケートで、自民党の中曽根康隆氏(衆院1区)は県内の旧統一教会の教会で選挙支援を求めてあいさつしていたことが分かった。中曽根氏と、自民党の清水真人氏(参院群馬)は旧統一教会の関連イベントに祝電を送ってもいた。ともに同党の井野俊郎(衆院2区)、笹川博義(衆院3区)の2氏は回答しなかった。県内12市の市長に対しても同様のアンケートを実施した結果、全員が「関係はない」と回答した。(池田知之、羽物一隆)
 アンケートは①旧統一教会や関連団体関係者との面会や、主催集会への出席、祝電を送るなどの関わりの有無②自身の選挙活動の手伝いや、票の取りまとめの有無―について質問した。

◆中曽根康隆氏 教会で選挙支援のあいさつ

 中曽根氏は①に「ある」と回答。2021年9月、前橋と高崎の両市にある教会2カ所であった「中曽根康隆衆院議員を励ます会」の会合に出席し、関係者を前にあいさつした。
 また、20年1月19日、前橋市であった関連団体主催のイベント「孝情ファミリー大新年会IN群馬」に秘書が代理出席し、祝電を送った。中曽根氏は「今後、旧統一教会や関連団体などの主催行事の参加や祝電は一切断る」とコメントした。

◆清水真人氏 関連団体主催の新年会に事務所が祝電

 清水氏も①に「ある」と回答。同じ新年会に対し、地元事務所から祝電を出した。また21年5月、東京都内で関連団体が関わる議員向け研修会で秘書が受付で名刺を渡し、資料を受け取った。会場には入らなかった。いずれも清水氏本人は詳細を確認していなかったという。
 清水氏は「旧統一教会との関係はなく、今後も持つつもりはない。秘書や事務所スタッフとも認識を共有し、同様なことがないよう努める」とコメントした。
 この新年会には、旧統一教会の幹部も出席。当時県議会議長だった自民党の狩野浩志県議(前橋市区)は来賓としてあいさつしている。

◆中曽根弘文氏 関係会社発行の月刊誌から取材

 また同党の中曽根弘文氏(参院群馬)は、①について「その他」とした上で、03年に、旧統一教会の関係会社が発行する月刊誌「Viewpoint」から教育基本法改正に関する取材を受け、記事が掲載された。取材を受けた経緯は「不明」とし、「旧統一教会との関係性は理解しておらず、多くの取材の一つとして受けた。同教会の活動にお墨付きを与えるようなものではない」としている。

◆井野俊郎氏、笹川博義氏は回答せず

 笹川氏の事務所はアンケートについて「回答はない」と返答。回答しない理由については明確にしなかった。井野氏の事務所は「調査中」として、締め切りまでに回答しなかった。
 ともに同党の福田達夫(衆院4区)、小渕優子(同5区)、尾身朝子(同比例北関東)、羽生田俊(参院比例)、公明党の福重隆浩(衆院比例北関東)の5氏は①②とも「なし」と回答した。福重氏は「一般常識として、政治家は社会的な問題やトラブルを抱える団体との接触を控えるべきだ」と見解を記した。

◆政治家が「反社会的団体」を宣伝

 九州大法学部の南野しげる教授(憲法学)の話 旧統一教会は他の宗教とは全く異質だ。裁判所は、刑事や民事で同教会の違法行為や不法行為を繰り返し認定している。ここまで数多く認定されている宗教法人はほかにはなく、「信教の自由」を隠れみのにした「反社会的団体」と評価せざるを得ない。
 旧統一教会を巡っては、多くの被害者がいる。法外な高額商品を買わされるだけでなく、家や土地を取られ、財産を身ぐるみはがされ、家庭崩壊する例もあるなど、度を越している。
 そうした団体と政治家が関係を持つと、一般市民からは「まともな団体」と思われ、イメージアップにつながってしまう。政治家は反社会的団体の宣伝に使われてはいけない。関わった政治家は認識が甘過ぎる。今後、関係を一切断つことが必要だ。

◆群馬県知事「関係一切ない」

 群馬県の山本一太知事は10日の定例会見で、旧統一教会との関係について「一切ありません」と全面的に否定した。
 その上で「接近を試みられた事例」として、参院議員だった2015年に出席した「日英有識者フォーラム」で、後援していた関連団体「平和大使協議会」の幹部らと写真撮影をしたことを明かした。「他の出席者とともに撮影したので、強く拒否しなかった。違和感を覚えたので、当時のブログにもそう書いた」と説明した。(羽物一隆)

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