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生成AIとルールベース技術の融合: ContractOneの挑戦

たまにウソつく生成AIに「契約書管理」は無理? 「40年の歴史」持つ言語解析AIが再評価されるワケ:万能ではないからこそ(1/5 ページ)
11/07/2024

2022年末のChatGPTの登場以来、ビジネスの世界では生成AI技術の可能性に沸き立っている。多くの企業が競うように最新のAI技術を自社サービスに組み込み、イノベーションの波に乗ろうとしている。しかし、生成AIが万能かというとそんなことはない。

Sansanが2022年にリリースした契約書管理サービス「ContractOne」は、最新の生成AI技術だけでなく、40年の歴史を持つルールベースの言語解析技術を中核に据えている。なぜSansanはこのような選択をしたのか。

ContractOneの事業責任者を務める尾花政篤氏

契約書関連の業務をデジタル化する、いわゆるリーガルテック市場は活況だ。コロナ禍に急速に普及した電子契約を皮切りに、人間に代わりAIが契約書のレビューをサポートする契約書レビュー、締結した契約書をデジタル化して保管・管理する契約書管理、そして案件受付から契約締結までの修正プロセスを支援するものまで、リーガルテックは多種多様だ。その中で、ContractOneがフォーカスするのが契約書管理である。

ContractOneの特徴は、生成AIとルールベース技術の融合にある。生成AIは自然言語処理において非常に強力であり、契約書の内容を理解し、適切なアクションを提案する能力を持つ。しかし、生成AIには限界もある。例えば、特定の業界や企業のルールに基づいた判断が必要な場合、生成AIだけでは対応しきれないことがある。

そこで、Sansanはルールベースの言語解析技術を組み合わせることで、生成AIの弱点を補完している。ルールベースの技術は、特定のルールやパターンに基づいてデータを解析するため、業界特有の要件や企業のポリシーに対応することができる。このアプローチにより、ContractOneは高い精度で契約書の管理を行うことが可能となっている。

尾花氏は、「生成AIとルールベース技術の組み合わせは、契約書管理において非常に有効です。生成AIが持つ柔軟性とルールベース技術の確実性を組み合わせることで、より高度なサービスを提供することができます」と語る。

また、ContractOneはユーザーインターフェースにも力を入れている。直感的な操作が可能なデザインを採用し、ユーザーが簡単に契約書を管理できるよう工夫されている。さらに、クラウドベースのサービスであるため、場所を問わずアクセスが可能であり、リモートワークの普及にも対応している。

ContractOneの導入事例も増えており、多くの企業がその効果を実感している。例えば、ある大手企業では、契約書の管理にかかる時間が大幅に削減され、業務効率が向上したという。また、契約書のレビューにおいても、AIが提案する修正案が非常に的確であり、法務部門の負担が軽減されたとのことだ。

今後もSansanは、生成AIとルールベース技術のさらなる進化を目指し、ContractOneの機能強化を図っていく予定だ。尾花氏は、「私たちは常にユーザーのニーズを最優先に考え、サービスの改善を続けていきます。生成AIとルールベース技術の融合は、今後もリーガルテック市場において重要な役割を果たすでしょう」と述べている。

生成AIとルールベース技術の融合は、単なる技術の組み合わせにとどまらず、ビジネスプロセスの革新をもたらす可能性を秘めている。ContractOneの成功は、その一例に過ぎない。今後もこの分野での進展が期待される。