ANYCOLOR株式会社第7回定時株主総会・質疑応答メモ

本記事は2024/07/28に行われた、ANYCOLOR株式会社株主総会内で行われた株主からANYCOLORに対する質問のメモです。
前年に引き続きインターネット上の配信からの視聴で、本記事を書いています。

あまり経営・法律云々は詳しくないことや一部私の解釈のミスで、間違っている部分もあると思いますが、ご容赦ください。あくまで内容を何となく知りたい方向けです。
ANYCOLOR株式会社の公式見解は、正式な発表を参照してください。

株主総会は代表取締役・SEO田角陸のあいさつからスタート。
今回、株主数は24829名、議決権を行使した株主数は7079名。前年度の議決権行使した株主は4131名でした。
前年はカメラに田角SEOのみしか映ってなかったのですが、今年は周りに座る取締役も映るカメラアングルでした。あと、照明のせいかもしれませんが、去年により画質が若干きれいになったような……気のせいかもしれません。

通期決算及び業績予想や対処すべき課題などについては、ほぼ発表された資料通り。女性ナレーションが資料を読み上げる形で、進んでいきます。
こちらはANYCOLORのIRで公開されてる説明資料をご確認ください。

議案である取締役4名選任について説明後、株主による質問に移ります。

株主からのオンライン事前質問

事前にオンライン上で受け付けた質問の中から、多かったものについて回答。

・新任取締役鈴木氏の選任理由について聞きたい

資料の通り。
社内取締役と社外取締役のバランスを考え、社内取締役を増やした。

・株主優待を新設してほしい。外出先でさりげなく株主アピールできるものが良い。配当を検討してほしい。

設備投資などを通して成長・還元していきたい。
現時点では自己株取得で還元していきたい。

・にじさんじENの方針・海外対応策
・海外のVTuberに対する誹謗中傷について対策方針

現在ARライブ、3Dお披露目配信、NIJI ENcounterなどのコンテンツ発信を行っており、好評をいただいている。
ファンの構成に変化はあったと思うが、引き続き応援してもらえるお客様に向けて発信していきたい。まずはお客様を魅了できるコンテンツを充実させたい。
様々な文化圏向けに、国内とは違った手法を使って行きたい。
誹謗中傷の具体的な対応は回答を控えたいが、海外の弁護士と協力して対応をしていく。

・VTuberの卒業について。卒業を減らすための対応策、インセンティブ等

個人により理由は違うので、VTuber本人と誠実に話し合い対応していく。
最大限本人の意思を尊重する。
インセンティブについては中長期的に活動していけることを考えて、サポート体制を考えていきたい。

・既存VTuberのサポート体制、VTuberの間の待遇格差、プロモーションバランスについて

VTuberごとに格差はなく、平等にサポートしている。
プロモーションを充実させ、既存のVTuberのプロモーション体制も充実させていきたい。

・景品表示法の改正によりステルスマーケティング規制強化に対策で来ているか?

弁護士の協力を踏まえて、適切な表示を行うなどの対策を行っている。

・VTuberの健康管理について、どのような対策を実施しているか。
・スタッフの労働時間、体調に不安を感じた

当社を介さずに産業医の診察を受ける体制を構築している。
各VTuberのマネージャーが密にコミュニケーションを取るようにしている。
社員については、法令遵守、福利厚生、労務・人事の窓口設置、産業医などの対策を行っている。


会場に出席した株主による質問

・新任取締役鈴木氏は、経歴を見るとゲーム会社3社に合計2年在籍とあるが、これが「エンターテイメント業界に関する豊富な経験」に当たるか疑問。本人から、どのような経験があり、御社で活かしているか聞きたい。

田角社長から回答。
2019年から在籍。VTuber事業の統括で会社に貢献してきた人物。
会社をリードしていく人物として期待。

筆者によるメモ:
鈴木貴都さんは国内VTuber事業統括プロデューサー。
にじさんじアーカイブス2019-2020にもディレクターとして名前が載っており、かなりの古株。インタビュー記事などもあるため、名前を見たことがあるファンもそれなりにいると思う。前職ではなくANYCOLOR内での業績を評価しての昇格と思われる。

・誹謗中傷対策チームについて、弁護士法第72条の非弁行為に当たるのではないか?

この場では回答を控えたい。
今後も誹謗中傷対策は適切に行っていきたい。

・ニコニコ動画がダウンしているが、過去のニコニコ動画での売上も考えて、影響について聞きたい。

具体的な数値については回答を控えたい。
サイバー攻撃については被害を最小限とする対策を行っている。
今後もサイバーセキュリティ対策を行っていく。

・今年の75億円の自己株式取得はスピーディーだったが、何か意図があるか。

VTuber業界への投資を第一に考えていく。
投資対象はスタジオや投資が主になっていく。人材は営業費用内から排出。キャピタルアロケーションとしては、VTuber事業への投資をしながら、残った部分で自社株買いなどをしていく。

・ライバーの卒業について詳しく聞きたい。特に田角社長が直接面接した元一期生・二期生の卒業について。

個別の卒業については回答は差し控える。
卒業の理由についてはそれぞれ。VTuber以外の活動がしたくなった、コンプライアンスやルールなどを守っていくのが難しくなったなど。
ライバーにとっては窮屈な部分はあると思うが、中長期的に見てコンプライアンスやルールは守らないといけない。
サポート体制の充実で防いでいきたい。

・2017年からVTuber業界に大きな変化があったが、今後の変化について意見を聞きたい。

VTuber業界は、日本を代表するアニメやゲーム文化がSNSやYouTubeで消費されたことで生まれた業界。日本を代表となるコンテンツになる可能性がある。
VTuberはタレント性とキャラクター性の両方を持った存在。両面で活動の幅を広げていく。
YouTube以外のテレビなどで活動していく、小売店にグッズを置いてもらうなど、一般に認知を広げていき、日本を代表する存在にしたい。

・事業別にみると売上がコマース領域に偏っているが、コンテンツとしてはライブストリーミングが核になると思っている。2027年時点では、どのような構成になっていると予測しているか。

アニメーション業界でもコマース領域が大半を占めている。VTuberでも同じ傾向なのは不思議ではない。
コマース領域以外もしっかりと成長させたい。

・従業員の平均勤続年数が2.1年と新しい会社ということを考えても短い。原因は何か?

課題感を持って取り組む事項として認識。評価・インセンティブ制度などの改善に取り組んでいる。
中長期で活躍できる人材の育成に取り組みたい。

・VTuberとAIとの親和性はどう考えているか。また、AIに対する投資をどの程度行う予定か。

AIにどの程度投資するか、具体的に決めていない。
AIはより魅力的・効率的にする可能性を持っている一方で、法規制などのリスクもあるので、社内で勉強しつつ慎重に取り組んでいく。

・中華圏での展開について、リスク等をどのように考えているか。

中華圏に限らず、日本の文化の違う海外では一定のリスクがある。
その国に配慮した発言が必要と考えている。

・新任の社内取締役に田角CEOの役割が一部移されると思うが、田角CEO自体はどのような部分に注力するなどはあるのか。

具体的には申し訳にくいが、元々鈴木と役割分担しながらやっていたので、引き続き役割分担をしながら業務を執行していきたい。

・現在だと新人ライバーへの施策が目立つが、既存ライバー一人一人の売上を伸ばす施策としては、どのようなことを考えているか。

普段からしている業務の一部なので、資料には記載しなかったが、番組作成・イベントなど既存ライバーをプロモーションしている。
特定の業務ではなく、色々なコンテンツで幅広いお客様に楽しんでいただきたい。

・VTuber版のUUUMというイメージがあるが、UUUMと同様に今後落ち込まないか。

YouTuber事務所はマネージメントが中心だが、VTuber事務所はコンテンツ制作がメインになってくる。
よりトレンドやお客様の要望に応えやすいと考えている。
コンテンツを制作する会社として見てほしい。

・株主数を増やすために、個人株主向けの説明会を開催してほしい。機関投資家向けの説明会はしているが、半分以上が個人株主なので、バランス的にも個人株主向け説明会をしてほしい。
・株主優待もしてほしい。女性株主向けの優待を行えば、株主者数も増えるのではないか。

個人投資家向けの説明会についてはおっしゃる通り。前向きに検討していきたい。

・外注クリエイターとしてかかわった時にブランディングへの情熱に感心した。一方で、ライバーとクリエイターの間に立って調整をするスタッフが足りないと感じた。スタッフの質や量の強化について何か考えはあるか。

おっしゃる通りだと感じている。VTuberのブランディングをサポートする体制を強化していきたい。

・ライブストリーミングの減収・目標との乖離について

一部VTuber、特に海外圏のVTuberの活動が難しくなったことが影響している。
YouTubeのショート動画などにより、収益体制にも変化があった。メンバーシップなどが主な収益源になっていくと思う。
ライブストリーミングの分野ではファンをより魅了する場として、コンテンツ作りに取り組んでいきたい。

・元KRなどアジア圏での展開やライバーへのサポートはどう考えているか。

元KR・IDはバイリンガルなライバーによって展開。音楽などの非言語的なコンテンツを中心に取り組んでいる。
アジア圏は我々の文化圏に近く重要な地域と認識。
元KR、IDはにじさんじに統合したことでサポート体制は改善しつつある。
グローバル展開の第一歩として取り組んでいきたい。

・子会社のアクセサリーブランドDinamisで、VTuberとコラボ商品も発売されているが、一部がステルスマーケティングに該当するのではないか?

Dinamisとの関係性については、この場では回答を控える。
景品表示法のガイドラインに従い、PR表示など問題なく運用している。
景品表示法改正後の対策も、弁護士と協力して適切に対応している。

筆者メモ:
Dinamisが子会社であるという話はどこから出てきたか不明。

・会社の雰囲気を知るために、他の取締役の声も聴きたい。

(少し戸惑い、後ろの社員を相談する田角CEO)
具体的な質問内容をいただいて、それにお答えする形でいいでしょうか。

質問者:仕事の意気込みか、自己紹介「逆に何を質問すれば他の方が答えてくれますか?」
(ここで少し笑う田角CEO)
取締役2名から自己紹介をすることに。

釣井CFO
2019年5月入社。コーポレート関連を担当。
社内の雰囲気としては、30歳前後の若い会社。多種多様な人材がそろっているのが特徴。
従業員自身も自社コンテンツが好きだという人が多い。

前川監査等委員
監査等委員は取締役の業務執行を監査するのが業務。会社の仕組みが出来ているかを見ている。
ベテランの社外取締役と、若い社内取締役の組み合わせがうまく行ってる。
経営会議では忖度なしで「喧々諤々」熱心な議論が交わされている。会社をよくしようという全員励んでいる。

・新スタジオは10月から稼働と公表されているが、人的リソースを考えると最初からフル稼働は難しいと考えている。いつ頃から本格的な稼働が出来、業績に影響してくるか。

採用活動等を迅速に進めており、秋の稼働への取り組みは順調に進んでいる。
業績への影響は具体的な数値を出しにくいが、コンテンツ制作やコマース事業部など色々な事業部が使用しているので影響は大きい。
よりよいコンテンツを作れることを目指している。

・個人投資家としては、どうしても配当に目が行く。配当を出すとしたら、どんなタイミングで出すか。

配当しても、大半の株を取得している田角に行ってしまう。少数の株を持っている株主に報いるためにも現在は自己株式取得にしている。
配当もいずれは検討したい。

・他社と比べると海外比率が低い。グローバルのIPビジネスをわかる人材を入れてほしい。
・現在の人材がいなくなった時の長期プランを考えてほしい。
・商社が獲得するようなビジネスをする人材を確保してほしい。

ボードメンバーだけでなく、社内のメンバーとしても取り組んでいきたい。グローバル展開は重要課題として考えている。

・競合のCOVER社と比べて、どのように差別化をしているか。

具体的な会社との比較は避けるが、男女人間以外のVTuberなど多種多様なVTuberが所属することで色んな層に支持していただけている。
若い層が中心だが、ファンの男女比率のバランスよさなど、色んな層に支持していただけているのが強み。

・VTAの週一配信がなくなった。ライバーのルール違反やデビューできないライバーのファンが不安が思うことが原因だと思うが、粗削りな配信を楽しんでいた。配信しないと視野が狭くなりがちだと思うので、ぜひ配信を再開してほしい。

VTAではコンプライアンスやルールの遵守を継続したうえで活動していけるように教育しており、リアクションや歌唱などのスキルも育成している。
いただいた意見を社内で検討したいと思う。


その後、議案採決。すべて過半数賛成で可決。
採決で新任となった取締役鈴木氏による挨拶があり、株主総会は終了。

私的な感想

前年に引き続き質問は全て田角社長が回答。終始落ち着ていました。
事前に用意した内容で回答する形式らしく、余計なことは言わないし、新情報も出てこないので、あんまりおもしろい株主総会ではないと思います。(面白い必要は一切ないので、これで良い)

資料説明、質問ともに「コンテンツ」という単語が頻出したように思います。UUUMとの比較でも語られましたが、タレントに頼るだけではなく優れたコンテンツを作成できる能力を見につけることで、ライバーへの依存度を下げ、会社としての価値を上げようという考えなのかもしれません。

資料内の説明では、VTAには毎回1万人の応募があり、その中から年間50~60人の候補生を選定。そして、VTuber数を154名の年10~15%増加=15~23名という計画のようです。卒業による自然減を差し引いても、倍率200倍のVTAに入っても、半分近くが落ちる狭き門になってます。
そういう意味ではタレントの質の向上にも力を注いでる様子。ここは知名度の高さを活かしている感じがあります。

将来のビジョンとしては「我が国のアニメ市場のありかたを変える必要がある」「VTuberが日本のアニメ市場を代表する存在になる」と、かなり大上段に構えていました。
一方で、VTuberが日本のアニメ文化の中で受容されているという現状も把握しているように思いました。2018年ごろは、VTuberはメタバースやVRとの関連で話されたり、完全に新しい存在として将来を語られることも多かったのですが、ビジネスの市場としては既存のアニメ文化圏内で受容されている現実に立脚した発言とも言えます。
AIに対しても慎重な発言をするなど、投資家受けしそうな流行のワードには飛びつかないようにしているようです。

にじさんじENでは、ライバーの契約解除・卒業に伴う一連の騒動、会社・ライバーへの誹謗中傷、また売上が下がっていることもあり、ファン・株主ともに注目度が高くなっています。そのため質問が多くありましたが、基本的には目新しい情報は出ませんでした。
グローバル展開は重要であると一貫して言い続けているので、引き続き施策は行っていくようです。

質問者は前年に引き続き、にじさんじファンらしき方が多い印象ですが、純粋な投資家の方も増えてきた印象。株主還元を大きく打ち出したためかもしれません。

田角社長は見た感じ元気そうでした。スーツ姿にも見慣れてきました。

以上です。

個人で書いたメモなので、誤りなどもあるかもしれません。投資判断等、重要な決定には使わないようお願いします。


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コメント

阿斗乃真釣
Dinamisについては、2023年1月のANYCOLORによるにじさんじタレントモデル広告に関するプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000555.000030865.html)時期に公開されていた旧ホームページ(https://dinamis.stores.jp/tokushoho)内の「特定商取引法に関する表記」を確認すると、事業者がANYCOLOR株式会社、代表者が田角陸、との記載があります。

その後、同年10月のDinamisによる2度目のにじさんじタレントによるモデル広告掲載(https://panora.tokyo/archives/73383)時期にはホームページも一新され、事業者はCyberZ関連の株式会社 eStreamに変更されています。
したがって、過去はさておき、現時点ではDinamisはANYCOLOR社の子会社ではなくなっているものと思われます。

なお、同件の景品表示法、ステルスマーケティングの抵触については不明です。
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ANYCOLOR株式会社第7回定時株主総会・質疑応答メモ|ジョン・オービン
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