AIやデータ分析の分野では、毎日のように新しい技術やサービスが登場している。その中にはビジネスに役立つものも、根底からひっくり返すほどのものも存在する。本連載では、ITサービス企業・日本TCSの「AIラボ」で所長を務める三澤瑠花氏が、データ分析や生成AIの分野で注目されている最新論文や企業発表をビジネス視点から紹介する。
Metaがオープンソース生成AIモデル「Llama 3」を公開し、生成AIビジネスの世界に衝撃を与えています。同AIモデルは研究促進の目的で公開されており、OpenAIの「GPT-4」をしのぐ性能を持つモデルを、制限付きながら商用利用できるのが特徴です。
Llama 3のリリース後には世界中の開発者がこぞってLlama 3のファインチューニングに取り組み、独自モデルの拡張開発を始めています。日本語特化も含め、さまざまな業界特化型モデルが登場し、活用シーンがさらに広がることが期待されます。
Llama 3はコンパクトで安価なコンピュータ「Raspberry Pi」でも高速に動作することが確認されており、エッジデバイスでの生成AI活用も現実味を帯びてきています。この傾向はMicrosoftの生成AIモデル「Phi-3」の登場によってさらに加速し、私たちの日常生活のあらゆる場面で、生成AIを活用できる未来が近づいています。
“そこそこオープンなAI” Llama 3の性能と責任あるAI開発への取り組み
Llama 3は、最先端の性能と拡張性を持つ大規模言語モデル(LLM)です。Metaによると、Llama 3は15テラトークンのデータを2万4000基のNvidia H100 GPUで学習しており、同規模のモデルの中で最高の性能を達成しているといいます。
商用利用は月間アクティブユーザー数が7億人以下であれば可能としています。