IT業界では、ソフトウェア開発者が引く手あまたですが、彼らはソフトウェア開発以外のさまざまな業務に多くの時間を費やしています。開発者がソフトウェア開発に集中できるようにするために、企業は周辺業務を簡略化する必要があります。そのため、企業が取るべき対策やAI技術の活用について解説します。
調査会社RedMonkのアナリストであるスティーブン・オグレイディ氏は、近年のデータベースや開発ツール、インフラ用ツールの普及が開発者に多様な技術を提供した一方で、開発者の活動が分断され、非効率になったと指摘しています。彼は、企業が開発プロセスを高速化し、プロセス同士を連携させるために、開発工程を再構築することに重点を置いていると述べています。
経営陣がこの分野に投資する理由は、開発者が生産的で円滑に働ける環境を提供するためであり、これにより企業全体の生産性や革新性を向上させることが期待されています。
データベース管理システム(DBMS)ベンダーであるMongoDBの最高製品責任者であるサヒーア・アザーム氏も、アプリケーションのデータを分析し、洞察を得て、それをアプリケーションにフィードバックし、リアルタイムでアプリケーションのビジネスロジックを調整することが重要だとしています。
また、開発者の作業負荷を軽減するためのAI技術にも注目が集まっています。例えば、データ処理ツールベンダーIntegralは「Robin AI」というツールを開発し、ソースコードの変更をレビューする自然言語処理(NLP)機能を搭載しています。Robin AIはソースコードレビューを自動化することで開発効率を向上させ、開発者が高品質なソフトウェアの開発に集中できるよう支援しています。また、2023年にはRobin AIがオープンソース化され、世界中の開発者が利用できるようになりました。
Spotifyも開発者の作業効率向上に取り組んでいます。同社は「Backstage」という開発者用ポータルサイト構築ツールを開発し、開発ツールとインフラを一元管理するためのツールを提供しています。Backstageは2020年9月にオープンソースプロジェクトとなり、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)の管理下に置かれました。
IT業界ではCOVID-19の影響でソフトウェア開発に対する需要が拡大し、開発者の不足が問題になっています。調査会社IDCのアル・ギレン氏は、IT企業がソフトウェア開発にAI技術を導入し、自動化を推進することで、情報をより見つけやすくし、既存アプリケーションのモダナイゼーション(近代化)にも活用されるとしています。