任期満了にともない11月に市長選が行われる福岡県八女市。現職の三田村統之市長が高齢などを理由に引退を表明し、現在、元経済産業省課長補佐の簑原悠太朗氏(34)と、元八女市副市長・松尾一秋氏(64)の2人が立候補の意向を表明している。
現時点で、若手元官僚とベテランの元副市長による一騎打ちとなる公算が高いが、世代交代が叫ばれるなかで、人口減少や企業誘致、災害対策などの課題が多い八女市を誰に託すのか市民の関心も高まりつつある。
先月30日に開催された八女市制施行70年・合併15年式典において、同市出身の作家の五木寛之氏が「どんなに福島(八女市中心部)の街並みが変わろうとも、子どものころの原風景への思いは変わらない」というメッセージを寄せたが、地元に住む市民も、就職や進学、結婚などで地元を離れた人たちも共通する思いだろう。
「八女は年長者の発言が強いから変わらない」と取材していくと耳にすることが多いが、市民の多くは、八女市の現状に決して満足しているわけではない。
八女市は、八女茶をはじめとする農産物や八女福島仏壇といった伝統工芸など、全国に誇る産業が根付いているが、その後継者問題などの課題に直面している。八女市の将来への不安を、市民の誰もがもっている。
今月に入って、自民党八女支部や福岡県農政連八女支部の会合が相次いで開催されたが、いずれの会合でも誰を推薦するかどうかという話は、公にはなく、結論は出ていない。業界団体の一部には松尾氏を推す動きがある。
地元関係者によると、八女市を含む福岡7区の衆議院議員・藤丸敏氏(自民党)は、現職の三田村市長が、松尾氏を後継指名したことを受け、暗に松尾氏を支持するとも受け取れる発言をしているという。
しかし、幼少期や山村留学で旧星野村に居住し、若く、改革志向の簑原氏に期待する市民も少なくない。自民党支部や農政連支部内においても、若手を中心に「ぜひ、簑原さんの話を聞きたい」という声が出ており、市長の後継で組織・団体がまとまるという流れではないようだ。市職員でつくる八女市職員労働組合にも副市長支持が多いが、市長選への対応について結論は出ていない。
24日に行われた全国高等学校野球選手権福岡県大会決勝で、八女市にある西日本短期大学附属高校が優勝した。同校の夏の甲子園出場は3年ぶり7度目となる。市長選においても、しがらみや利害関係ではなく、高校球児のように正々堂々とフェアプレーの政策論議を展開していただきたい。
【近藤将勝】
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